戦時下の供給
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第一次統合によって中部配電は121か所の水力発電所と6か所の火力発電所(内燃力発電所を含む)をもって開業した。電力国家管理政策により出力5000キロワット超の水力発電所と出力1万キロワット超の火力発電所は日本発送電へと帰属しており、中部配電の自社発電所は小規模なものが多く、数は多いものの開業時の総出力は12万8360キロワットに留まる。ただし単独系統に属する発電所であるとして姫川第二発電所(出力1万3280キロワット)と中房第四発電所(出力6700キロワット)は例外的に日本発送電に属さず、出力5000キロワット超ながら中部配電へ統合されている。 開業後の第二次統合により水力発電所の追加統合があったほか、1944年(昭和19年)にかけて3か所の自社水力発電所を新設して戦時下も自社供給力増強に努めた。しかしながら中部配電の主電源は一貫して日本発送電からの受電であった。日本発送電からの受電は社内全体の発受電電力量の7割前後を占める規模である。戦時下のピークである1944年度の電源構成を見ると、年間自社発電量が7億9502万キロワット時であったのに対し、日本発送電からの年間受電電力量は19億5531万キロワット時(その他からの受電を含めた総受電量は19億9061キロワット時)に及んでいる。なお中部配電の自社火力発電所はほとんど活用されておらず、戦時下でも稼働が継続されたものは離島専用発電所に限られる。 日本発送電における電源開発は戦時下の資材・労働力不足により円滑に進まず、竣工の延期や規模縮小を余儀なくされる状態にあった。また火力発電も燃料となる石炭の不足・炭質低下によって機能不全の状況にあり、配電会社発足前から水力発電量が減少する渇水期の電力消費制限が常態化していた。こうした制限下にあった中部配電の配電事業は、限られた供給能力を軍需産業を中心に振り向けたため、電灯供給・小口電力供給の部門が徐々に衰退していった。具体的な数字を見ると、総販売電力量に占める大口電力販売量は、1942年度は73パーセントであったが、1944年度には81パーセントへと上昇している。 大口電力需要家についての資料は限られるが、1942年上期時点では長野県に工場を持つ昭和電工(アルミニウム製造)や愛知県に工場を持つ大同製鋼(特殊鋼製造、現・大同特殊鋼)が突出した需要家であった。なお日本発送電が中部配電を介さず直接供給する大口需要家も愛知県所在の矢作工業(現・東亞合成)など少数だが存在する。
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戦時下の供給
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全国規模の発電・送電事業を経営した国策会社日本発送電のうち、北陸3県と岐阜県吉城郡を管轄した富山支店(1944年8月より「北陸支店」)に属する発電所は、1942年5月以後の既設発電所取得と新増設により1945年(昭和20年)8月には総出力80万3,370キロワット(うち火力1万キロワット)に達した。日本発送電ではその供給力のうち4割前後を北陸配電への供給に充てた。 北陸配電の側から見ると、日本発送電からの受電は電源(発受電電力量)のうち6割程度を占めた。また同社以外の主要受電先として日本発送電の統合対象から漏れていた黒部川電力がある。自社発電とこれら日本発送電その他からの受電の比率は1対3であった。その北陸配電自社発電所はすべて水力発電所である。1942年4月の会社設立時、北陸配電は北陸合同電気・京都電灯・金沢市からそれぞれ発電所を引き継ぎ、計58か所・総出力9万6,639キロワットの水力発電所を持った。以降も第2次統合・第3次統合に伴う発電所の取得や、既設発電所の改良による出力増強工事が行われた結果、1945年3月末時点で発電所数は68か所、総出力は10万855.7キロワットとなった。 戦時下の供給量は1944年度がピークであり、同年度の販売電力量は24億キロワット時に達した。電灯供給と電力供給の割合は4対96であり電力供給が圧倒する。供給先は軍需産業にかかわる重化学工業が主体であり、金属・機械工業および化学工業向けの電力供給だけで全販売電力量の89パーセントを占める。これらは富山県内に集中する。電灯供給は1944年度末時点で需要家数43万6942戸・使用灯数194万8060灯であった。
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