中部配電発足
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中部配電設立命令書の交付を受けて、1941年9月中に中部配電の設立委員会が立ち上げられた。委員は静岡市長稲森誠次と各社の経営陣から1名ずつの計11名が選任され、そのうち東邦電力代表取締役の海東要造が設立委員長に指名された。9月20日には名古屋市内の東邦電力名古屋支店内に設立事務所が開設される。以後統合財産の評価額算定作業が進められ、12月には資本金を2億円とすることや統合事業者に対する株式の割当高が決定。翌1942年(昭和17年)1月には静岡市会と各社株主総会で中部配電設立に関する事項について承認を得るという手続きも済んだ。 そして1942年3月30日、名古屋市内の名古屋商工会議所において中部配電株式会社創立総会が開催された。2日後の4月1日付で会社設立登記を完了するとともに、第一次統合を完了して開業した。同日付で他地区の配電会社計8社も一斉に開業したほか、水力発電設備その他の日本発送電に対する出資(第二次出資、第一次出資は前年10月1日付)も実行に移されている。 第一次統合11事業者に対する設備評価額ならびに中部配電株式の交付数(交付株式はすべて額面50円全額払込済み株式)は下表の通りであった。なお、中部配電と「配電株式会社と為るべき株式会社」である中部合同電気・信州電気の統合比率は、株式の払込額で比較すると対中部合同電気が1対1.15、対信州電気が1対1.12である。 第一次統合における統合設備評価額・株式交付数一覧事業者名統合設備評価額(単位:円)交付株式数(単位:株)静岡市15,182,000 303,640 伊那電気鉄道(株)7,321,007 146,420 揖斐川電気工業(株)1,249,734 14,094 日本電力(株)2,119,161 42,383 東邦電力(株)147,444,576 2,143,592 中央電力(株)2,107,853 42,157 中央電気(株)3,894,429 72,888 中部合同電気(株)5,127,273 92,000 長野電気(株)19,967,514 295,668 矢作水力(株)2,834,086 56,681 信州電気(株)21,874,367 246,120 11事業者合計229,122,000 3,455,643 第一次統合11事業者のうち、日本発送電に対する設備出資の対象(1941年10月・1942年4月の出資のみ)にも含まれる事業者は揖斐川電気工業・日本電力・東邦電力・中央電力・中央電気・長野電気・矢作水力・信州電気の8社である。11事業者のうち「配電株式会社と為るべき株式会社」にあたる中部合同電気・信州電気は中部配電設立と同日、1942年4月1日付で消滅。配電会社や日本発送電に設備を出資した各社は、東邦電力と中央電力が同日付で解散し、2日付で矢作水力、4月20日付で中央電気、5月1日付で長野電気もそれぞれ解散した。一方で伊那電気鉄道は鉄道会社、揖斐川電気工業は工業会社として配電事業を失っても存続し、日本電力も証券保有会社「日電興業」に鞍替えし存続している。 このうち揖斐川電気工業に関しては、中部配電・日本発送電に対する出資設備は全電力設備のうち4割(簿価で比較)のみで、残りは自社化学工業部門の自家用設備として認められ出資を免れた。第一次統合11事業者の中で発電設備を持ったまま存続したものは揖斐川電気工業のみである。
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