輸出候補地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 11:18 UTC 版)
タイバンコク - チェンマイ間(670 km)を結ぶタイ高速鉄道計画に新幹線を採用することを、日本・タイ政府間で2012年から検討してきたが、2015年5月27日に新幹線方式導入を前提に調査を始める覚書を締結。事業費は1兆円超を見込む。2020年にも開通する見通し。タイでは、中華人民共和国も一部路線を受注しており、競争が激化している。 ベトナムハノイ - ホーチミン間 (1,630 km) を最高速度350 km/hで結ぶベトナム高速鉄道計画があり、完成すれば現在30時間以上かかっている所要時間が10時間弱に短縮されると期待されている。資金は日本の政府開発援助(円借款)を充てる予定で、新幹線方式の導入が検討されていたが、2010年6月19日のベトナム国会でこれらの政府案は否決され、暗礁に乗り上げた格好となった。 インド2007年5月、インド国鉄はインド高速鉄道計画事前事業化調査のための説明会を開催し、日本やヨーロッパの車両メーカーも参加した。計画はアフマダーバード - ムンバイ間、アムリツァル - ニューデリー - ラクナウ間、パトナ - コルカタ間、チェンナイ - バンガロール間の4路線。このうち、ムンバイ - アーメダバード間(500 km)について、2017年着工、2023年開業予定。費用は9800億ルピー(147億米ドル)で、日本から最大で1兆4600億円の円借款で資金調達することが2015年12月の日印首脳会談にて合意された。 アメリカ合衆国・カリフォルニア州ロサンゼルス - サンフランシスコ間などを結ぶカリフォルニア高速鉄道の建設計画がある。州の予算や採算性の問題もあり建設時期は未定のままだが、具体的に進行し始めている。JR東海が積極的に新幹線を売り込んでいる。アメリカ西部は地震も多く、開業以来地震に対する対策を採ってきた新幹線はその点で各国の高速鉄道よりもアドバンテージがあるのでは、とする声もある。建設プロジェクトを紹介するインターネットのウェブサイトには、700系新幹線をイエローとブルーのツートンカラーにした車両のCG動画が公開されている。また、JR東日本も新幹線を売り込んでいる見込みである。 ブラジルリオデジャネイロ - サンパウロ - カンピーナス間にブラジル高速鉄道計画(路線距離550 km、最高速度320 km/h)がある。当初は2014年にブラジルで開催されるワールドカップに合わせて開通させたい意向で、日本は国土交通省と三井物産、三菱重工業、川崎重工業、東芝が官民共同で売り込んでいたが、提示条件の厳しさなどから入札の不調や延期を繰り返している。リオデジャネイロ - カンピーナス間は標高差が700メートル近くあり、長野新幹線の高崎駅 - 軽井沢駅間などの大きい標高差における建設、運行のノウハウを蓄積している新幹線は、その点で各国の高速鉄道よりも優位ではないかと評価する声もある。 ロシアモスクワ - サンクトペテルブルク高速鉄道運行プロジェクト(路線距離645 km、最高速度350 km/h)が進行中であり、同プロジェクト一行が日本企業と接触している。2009年12月からは同区間の在来線にICE3ベースの新型車両が導入され、最高速度250 km/hで運転される予定。さらにモスクワ - ニジニ・ノヴゴロド間、エカテリンブルク - チェリャビンスク間などにも高速新線の建設が計画されている。モスクワ - ウラジオストック間を結んでいる路線距離世界一 (9,288 km) のシベリア鉄道についても、一部高速新線(最高速度350 km/h)の建設を含む近代化計画がある。 インドネシアインドネシアでは経済開発を加速する目的で、2008年に「経済開発加速化・拡充マスタープラン2010 - 2025(MP3EI)」を策定。このプランの一部として、ジャカルタから西部に約700 kmにあるスラバヤまでのジャワ島東西を結ぶ路線と南東に約150 kmあるバンドンまでのインドネシア高速鉄道計画がある。2011年には「国家鉄道整備総合計画」が策定され、ジャカルタ - スラバヤ間の高速鉄道が位置付けられている。2030年をめどに開業を目指すとしている。日本はインドネシアのインフラ整備として、高速道路や発電所建設とともに、新幹線を売り込んでいる。しかし、インドネシアは高速道路や発電所と比べると高速鉄道は優先度が低いとして、新幹線の導入については慎重な姿勢である。2015年9月3日、インドネシア政府は高速鉄道計画の撤回を発表して入札を白紙化したが、9月29日に財政負担を伴わない中華人民共和国国案の採用を決定した。しかし計画は暗礁に乗り上げている。 マレーシアナジブ・ラザク首相は、2015年5月25日、日本経済新聞の取材に対して、「日本の新幹線は安全性や信頼性などで競争力が高い」として、候補の一つであることを明らかにしている。
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