財政再建と保存・運営
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 16:05 UTC 版)
「夕張市石炭博物館」の記事における「財政再建と保存・運営」の解説
夕張市の施設を第三セクターの株式会社石炭の歴史村観光が受託管理する官設民営方式により運営されていたが、第三セクターに出資している夕張市の財政再建団体申請に伴う事業見直しにより、2006年(平成18年)10月22日限りで休館となった。 休館後の2006年(平成18年)11月29日に第三セクターが札幌地方裁判所に自己破産を申請し、夕張市が直接管理、冬季間も文献調査などには対応を行っていた。 こうした休館に危機感を抱き、貴重な炭鉱遺産を守ろうと北海道産業考古学会を含めた道内外の研究者から「採炭機械などが保存されている国内で他に例がない貴重な施設」としてが存続を求める声が上がり、2006年(平成18年)11月25日と26日に存続を訴えるシンポジウムの開催や署名集めも行われた。 また、元炭鉱員たちが自主的に模擬坑道を補修するといった実務面での協力も行われたほか、元館長の青木隆夫たちが運営の受け皿になる団体を設立して存続を図る構想も示された。 こうした動きもあり、2007年(平成19年)以降の運営について民間委託等も含め検討を行った結果、2007年(平成19年)2月に加森観光が運営を受託することが決定した。 そして、加森観光の関連会社である夕張リゾートの運営で2007年(平成19年)4月27日に再開した。 再開後は歴史村全施設一括のパスポート方式導入されており、2009年(平成21年)には新設の施設との相乗効果などで前年同期より40%以上入場者が増加している。 この再開に当たっては、元館長の青木隆夫が夕張リゾートの社員として入社しているが、青木の報告によれば「博物館の資料を所有する市は予算がなく、外部への提供もできない状況」となっており、その資料の活用法を探るシンポジウムも開催された。 こうした資料の収集・調査・研究などの博物館機能がどう担われるのかを巡る問題点の指摘もあり、2009年(平成21年)には夕張市が市内の廃止施設に保管する旧北炭の地質資料を市職員の手で整理・保存して行くための作業も開始している。 その他にも、老朽化から修繕が必要になっていることもあり、2010年(平成22年)に夕張市が「石炭博物館のあり方検討委員会」を設置して当館の再評価が行われることになった。 そして、同委員会が同年11月24日に「存続を前提に、市民に開かれた博物館として運営すべきだ」とする報告書をまとめ、藤倉肇市長に提出した。 2011年(平成23年)には立て坑やぐらやエレベーターなどを対象に大規模修繕が行われた。 2013年(平成25年)に「郷土文化施設」となり、観光施設から文化施設に行政上の扱いが転換されたことに伴い、国の補助金も活用した改修を行って存続する方向となった。 また、2008年(平成20年)10月末には施設の老朽化による採算性などを理由に一部施設の指定管理が返上され、2013年(平成25年)11月にも同様に施設の老朽化による採算性などを理由に追加で一部施設の指定管理が返上されることになった。 こうした状況の中、加森観光は2015年をもって指定管理者を返上し、再び運営は停止した。 これを受けて夕張市は2016年から2か年で7億5千万円を投じて開館後初の大規模改修を実施し、2018年4月28日に営業を再開した。この改修は、炭鉱文化と再生への街の歩みを発信する重要施設として踏み切ったものである。1階を無料開放のホールに転換の上、2階に有料展示を集約し、炭鉱閉山後の観光開発や財政破綻に関する内容を追加し街の盛衰を辿る内容に刷新した。また、同年より指定管理を岩見沢市のNPO法人「炭鉱の記憶推進事業団」が受託する。
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