解読の歴史
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1802年、G.F.グローテフェントは、ペルセポリスの碑文の写本を利用し、古代ペルシア語の解読に努力した。 アッカド語楔形文字(英語版)の解読には、1621年に発見されたアケメネス朝ペルシャのベヒストゥン碑文(磨崖碑文)が、ヘンリー・ローリンソンによって1835年に再発見され、利用された。ローリンソンはイギリス陸軍の士官で、ペルシアのベヒストゥンの崖でベヒストゥン碑文を発見し、そのいくつかを写し取った。碑文はダレイオス1世の治世下(紀元前522-486年)に刻まれており、ペルシア帝国の三つの公用語、古代ペルシア語(古代ペルシア楔形文字)、アッカド語(アッカド語楔形文字(英語版))、エラム語(エラム楔形文字(英語版))で書かれた同一のテキストであった。ベヒストゥン碑文がアッカド語楔形文字解読に果たした役割は、ロゼッタ・ストーンがヒエログリフ解読に果たした役割に相当する。 ローリンソンはまず古代ペルシア語の解読に成功した。これとは別に、アイルランド人のアッシリア学者エドワード・ヒンクスもまた解読に貢献した。 古代ペルシア語を翻訳した後、ローリンソンとヒンクスは次の解読を始めた。ポール・エミール・ボッタが1842年に都市ニネヴェを発見したことで、二人は大いに助けられた。オースティン・ヘンリー・レヤードによって発掘された宝物のうちには、アッカド語楔形文字に覆われた焼かれた粘土板数万点を有するアッシュールバニパル王家の文書庫、アッシュールバニパルの図書館の遺跡があったのである。1851年までに、ローリンソンとヒンクスは200のアッカド語を読むことに成功した。 ローリンソンとヒンクスはほどなく、新たに二人の異なる解読者と協同するようになる。ドイツ生まれの若い学者ユリウス・オッペルトと、学識に富むイギリス人東洋学者ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットである。 1857年には4人がロンドンで会合し、解読の正確さを試す有名な実験を行った。イギリス王立アジア学会の書記エドウィン・ノリスが、4人それぞれに、最近発見されたアッシリアの皇帝ティグラト・ピレセル1世の治世下に書かれた、碑文の写しを渡した。翻訳中は4人の情報交換は禁止された。 そして学識経験者からなる審判が集まり、4人の翻訳結果を精査し、その正確さを評価した。 4人が行った翻訳はすべての主要な点で、「ここは間違いないだろう」と自信を持った所は他の翻訳者と一致した。「もしかしたら違うかも知れない」と思った所は些細な異同があった。4人のなかでは経験の浅いタルボットは多くの間違いを犯し、オッペルトの翻訳は英語に不慣れなことから来る、幾つかの意味が取りにくい部分を含んでいた。しかしヒンクスとローリンソンの翻訳はほとんど同一であった。 審判は結果に満足したと発表し、またアッカド語楔形文字で書かれたアッカド語の解読は達成されたと宣言した。 この後、ある壷に描かれていたアッカド語楔形文字とヒエログリフが、全く同じ意味である事が発見され、解読達成の裏づけとなった(これが、楔形文字を研究するアッシリア学の公式な成立とされている)。 1930年代にはアッカド語をツールとして、(シュメール語)楔形文字で書かれたシュメール語の解読も開始され、1940年代にサミュエル・クレイマー(英語版)により解読された。 しかし、エラム楔形文字(英語版)で書かれたエラム語の解読は1840年代から行なわれているが、今日に至るも比較対象の資料に乏しく、さらに研究が継続されている。
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解読の歴史
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詳細は「古代エジプト文字の解読」を参照 中世を通じてもヒエログリフは多くの人々の関心を惹き付けていた。近代に入ると多くの学者達がヒエログリフの解読に挑んだ。特に有名なのは16世紀のヨハンネス・ゴロピウス・ベカヌス(英語版)と17世紀のアタナシウス・キルヒャーであるが、解読に失敗したり、全く根拠のない独自の解釈に終わった。初めて解読に成功したのは19世紀のフランス人学者ジャン=フランソワ・シャンポリオンであり、彼はキルヒャーの収集した資料を研究し、ロゼッタ・ストーンの解読を行うことで読み方を解明した。これが突破口になり、その後も研究が進んだため、現代ではヒエログリフは比較的簡単に読むことができる。
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