芭蕉布とは? わかりやすく解説

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ばしょう‐ふ〔バセウ‐〕【××蕉布】

読み方:ばしょうふ

バショウ繊維織った布。沖縄・奄美大島産し、夏の着尺地(きじゃくじ)・蚊帳座布団地などに用いる。《 夏》

芭蕉布の画像

芭蕉布

名称
芭蕉布
ばしょうふ

区分
重要無形文化財

保持
平良敏子
<たいら としこ>
沖縄県

解説
芭蕉布は糸芭蕉繊維を糸にして用いきわめて特色ある染織技法である。17世紀には琉球全島織られていたことが知られる琉球藍染,木灰使用などすべて天然材料による,かつ,手くくり絣,手織り等による素朴な古来技法伝える。近年沖縄県大宜味村喜如嘉中心に伝統的な技法基本しながら多彩な植物染料使用等芭蕉布の新たな可能性追い求める活発な制作活動が行われている。


芭蕉布

名称: 芭蕉布
ふりがな ばしょうふ
芸能工芸区分 工芸技術
種別 染織
認定区分 各個認定
指定年月日 2000.06.06(平成12.06.06)
解除年月日
指定要件
備考
解説文: 芭蕉布は、糸芭蕉繊維を糸にして用いきわめて特色ある染織技法である。一六世紀中ごろ沖縄では、すでに高度な芭蕉布作り技術があったことが記録の上知られる軽くてさらりとした生地風合いは夏の衣料適し沖縄奄美諸島伝統的な織物として発達した琉球藍染、木灰使用などすべて天然材料により、かつ、手くくり絣、手織り等による素朴な古来技法伝える。無地のほか、琉球藍車輪梅等の植物染料使用した縞、格子、絣等の模様織が制作されたが、大戦混乱その後の生活様式急激な変化技術者高齢化等によって生産反数激減し、ほとんど唯一大宜味村喜如嘉おおぎみそんきじょか】においてその技法伝えられてきた。
 近年伝統的な技法基本しながら多彩な植物染料使用等芭蕉布の新たな可能性追い求める活発な制作活動が行われている。芭蕉布は、歴史上芸術価値高く、かつ、地方的特色顕著に示す代表的な染織技法である。
工芸技術のほかの用語一覧
染織:  経錦  綴織    芭蕉布  首里の織物
漆芸:  沈金  蒔絵

芭蕉布

読み方ばしょうふ

沖縄代表する織物一つ芭蕉には実芭蕉(バナナ)、花芭蕉糸芭蕉があり芭蕉布には糸芭蕉使われる。現在は大宜味村喜如嘉その伝統が受け継がれている。芭蕉布は麻より繊維堅いため軽く張りがあり風通しが非常に良く、さらりとした肌触り特徴亜熱帯気候沖縄最適な織物として、王族から農民にいたるまで夏の衣類として広く愛用されていた。13世紀ごろからすでに芭蕉布は織られており、大交易時代薩摩侵入後は、献上品貢納品として大きな役割果たしてきた。

芭蕉布

読み方:バショウフ(bashoufu), バショウヌノ(bashoununo)

バショウの皮の繊維織った

季節

分類 人事


芭蕉布

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 23:46 UTC 版)

第二尚氏時代の縦縞四つ目模様の芭蕉布着物(東京国立博物館所蔵)
イトバショウ
首里城
芭蕉布の歌碑
芭蕉布の製造光景(戦前)

芭蕉布(ばしょうふ)は、バショウ科多年草イトバショウMusa liukiuensis)から採取した繊維を使って織られた織物)。別名蕉紗蕉布[1]

薄くて軽く、張りのある感触から、をかきやすい高温多湿な南西諸島や日本本土のにおいても、にまとわりつきにくく[2]、涼感を得られる。このため着物蚊帳座布団など多岐にわたって利用される。

日本では沖縄と奄美群島の伝統織物である[3][4]フィリピンミンダナオ島アバカイトバショウ)を素材とする伝統織物ティナラク英語版がある[5]

肌衣によく用いられる絹織物の芭蕉織[要説明]とは異なる。

分布

日本

芭蕉布は日本の沖縄各地で生産されていたが、第二次世界大戦後は主に大宜味村喜如嘉で作られている[3]。1974年に沖縄県大宜味村喜如嘉の芭蕉布が国の重要無形文化財に指定されている[6]。この他、鹿児島県与論島に芭蕉布製造技術が伝承されている[7]

中国大陸

台湾

ベトナム

フィリピン

インド

歴史・製法

日本周辺の芭蕉布にはおよそ500年の歴史があるとされ、琉球王国では王宮が管理する大規模な芭蕉園で芭蕉が生産されていた。や、江戸時代に琉球を支配した薩摩藩への貢納品にも含まれていた[2]

庶民階級では「アタイ」と呼ばれる家庭菜園に植えた芭蕉で、各家庭ごとに糸を生産していた。現在の沖縄島では大宜味村喜如嘉が「芭蕉布の里」として知られる。

一反の芭蕉布を織るために必要な芭蕉は200本といわれ、葉鞘を裂いて外皮を捨て、繊維の質ごとに原皮を分ける。より内側の柔らかな繊維を用いるものほど高級である[要出典]

これを木灰を入れた大鍋で煮て、ばさみでしごき、繊維質をより分ける精練作業を行う。一織り上げるのに2ヵ月を要する[2]。芭蕉の糸は白くはならず、薄茶色である[要出典]

無地織か、ティーチ(シャリンバイ)で染めた濃茶色の糸で織ったが県外では一般的な芭蕉布と認識されているが[要出典]、沖縄では琉球藍Strobilanthes cusia)で染めた「クルチョー」と呼ばれる藍色の絣も人気が高い[要出典]

太平洋戦争末期以降、沖縄を占領したアメリカ軍によって「の繁殖を防止する為」として多くのイトバショウが切り倒され、絶滅の危機に瀕している[要出典]

近年では、紅型の特徴的な美しい黄金色を染めるフクギアカネベニバナで染色した糸を用いることもある[要出典]

沖縄科学技術大学院大学で、身につけると暑苦しさをしのげる理由の科学的な分析・研究が行われている[8]

文化

俳諧では「芭蕉布」は夏の季語である[9]

吉川安一が作詞をし、普久原恒勇が作曲をした同名の歌がある[10]

脚注・出典

  1. ^ 『大漢和辞典』 9巻、大修館書店、904頁。 
  2. ^ a b c 【モノごころヒト語り】芭蕉布 身近な草木で紡ぐ暮らし『日本経済新聞』夕刊2018年8月18日(社会・スポーツ面)2018年10月15日閲覧
  3. ^ a b 沖縄県, 令和2年度 工芸産業振興施策の概要, p. 56, https://www.pref.okinawa.jp/site/shoko/shoko/kogei/documents/saishuisshiki.pdf 
  4. ^ 芭蕉布の復活を 奄美市”. 南海日日新聞. 2023年9月10日閲覧。
  5. ^ 鈴木勉「映画を通して見るフィリピン文化」『国を越えて アジアの芸術』彩流社、2022年3月16日。ISBN 9784779128035 
  6. ^ 喜如嘉の芭蕉布 文化遺産オンライン”. bunka.nii.ac.jp. 2023年9月10日閲覧。
  7. ^ 与論島の芭蕉布製造技術 文化遺産オンライン”. bunka.nii.ac.jp. 2023年9月10日閲覧。
  8. ^ 【かがくアゴラ】芭蕉布 涼感の秘密に迫る/沖縄科学技術大学院大学 野村陽子氏」『日本経済新聞』。2018年10月15日閲覧。
  9. ^ 高木蒼梧・伊東月草『俳諧新辞典』太陽堂、1939年、941頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1687326/1/474 
  10. ^ 芭蕉布/五つの沖縄民謡による組曲(日本音楽著作権協会)

関連項目

関連資料

本文の典拠ではないもの。発行年順。

  • Przybysz, Jane. "San Jose Museum of Quilts and Textiles." Surface Design Journal. 31(4)2007:52-53. ISSN 0197-4483 エブスコ(TWL利用登録制)仮題「サンノゼ・キルト布製品博物館」
  • Picton, John. "Cloth and the Corpse in Ebira." Textile: The Journal of Cloth & Culture. 7(3)2009:296-313. ISSN 1475-9756 エブスコ(TWLの利用登録制)仮題「Ebiraの遺体の着衣」
  • "Banana: Edible Textile Fiber." Textile Review. (2012) ISSN 0974-2530 エブスコ(TWLの利用登録制)仮題「バナナ:食べられる繊維」
  • Hazlett, Donald ; Torres-Herrera, Jennifer. "Socioeconomic Value and Growth of Naturalized Musa balbisiana L. A. Colla Leaves in Honduras." Economic Botany. 66(1)2012:60-70. ISSN 0013-0001 エブスコ(TWLの利用登録制)仮題「ホンジュラスにおける野生化したリュウキュウバショウ A・コッラ の栽培と社会経済的な価値」
  • Raskin, Laura. "Filling a Void." Architectural record. 205(7)2017:65. ISSN 0003-858X エブスコ(TWLの利用登録制)仮題「空白を埋める」
  • Dhinakarraj, C. K. ; Sivasankar, J. ; Senthilkumar, N. "Investigations of Micro-Milling Parameters in Woven Banana Fibre Reinforced Polymer Composite Filled with R

「芭蕉布」の例文・使い方・用例・文例

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