競技の安全性確保
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/21 21:02 UTC 版)
「ラリー・モンゴリア」の記事における「競技の安全性確保」の解説
過去、多くの国際ラリーで競技中に少なからず死亡を伴う事故が発生してきた。競技という性格上ある程度やむを得ないことではあるが、危機管理・リスク対応など競技オペレーションによって最悪の事態を回避することも可能であることが多い。ラリーレイド・モンゴルも安全面には十分に考慮されたオペレーションがなされている。次にその例を挙げる。 PC(パス・チェック)の設置通過チェックとも呼ばれ、競技参加車が規定のルートを走行したかをチェックすることが本来の目的ではあるが、ここの通過記録により参加者の動性を掴むことが可能である。 RCP(レスト・コントロール・ポイント)休憩・給油をおこなう箇所である。おおむね各日のルートの半ばに設定されることが多い。ここでは、強制的に1時間の休憩が義務つけられる。 非常食および飲料水携行の義務化万一遭難した際に、72時間程度を自活するために2000Kcal以上の非常用食料の携行が、参加者に義務付けられる。また、飲料水として通常時で1.5リットル、砂漠地帯は3リットルの水の携行を義務付けられる。なお、前述の非常食の他に主催者より通称「ランチパック」と呼ばれる、飴や菓子を詰め合わせにした食料セットが毎日参加者に支給される。 無線機器の携帯非常時の緊急連絡のために、主催者よりトランシーバーが貸与される。バッテリー搭載のものではあるが、救援が長期化することに備えて参加車両には 12Vのシガーソケット・アダプターを取り付けることが義務付けられている(これは大会前の車検の時に審査される)。ただし、トランシーバーなので実際電波の届く距離は10kmから15km程度にとどめられる。毎時5分から10分間は、主催者側の無線機器がすべて波長を合わせ、競技参加者からの連絡に備えるようになっている。 医療スタッフの同行参加者の日常の健康管理と、万一に備えて支援部隊には医療スタッフが同行する。負傷時の診断や場合によっては簡単な手術を行うこともある。 医療機器単純な負傷に対応できる薬品や医療機器を常備する。伝染病などに対応するワクチンもある程度は用意されている。また、携帯式の簡易手術室も設営可能である。特に骨折などの負傷診断を確実にするために、レントゲン機器も用意されている(撮影は、大会に同行するカメラマンが行うことが多い)。 安全装備ヘルメットやニー(膝)パットの装着に加え、脊椎パットの装着も義務付けられている。また、コマ地図を装着するマップ・ホルダーなどをハンドル部に取り付けないなどの制約も設けている。 緊急輸送各日のルートは、主催者の用意するヘリコプターの航行可能距離の範囲内で設定される。また、ローカル空港を経由することも含めて、首都のウランバートルまで負傷者を搬送できる体制が整えられる。また、大会期間中は中国の北京、場合によっては日本まで負傷者を搬送できる体制が整えられている。 各大会とも若干の負傷者が発生してはいたが、第7回大会までは死亡事故はなかった。最終の第8回大会で二輪の競技参加者がクリーク(溝)に転落して死亡するという事故が起きている。この時は競技期間中に発見できず、モンゴル国警察と主催者およびモンゴル人競技参加者有志による捜索活動が長期にわたっておこなわれ、数か月を経て発見されるという結果となった。検死の結果、死因は頚椎骨折による即死であった。しかし総合的に見ても、大きな危険の伴う同種の競技大会としては、競技参加者・主催者側・報道関係者を含めて非常に負傷者の少ない安全な大会であったということができる。
※この「競技の安全性確保」の解説は、「ラリー・モンゴリア」の解説の一部です。
「競技の安全性確保」を含む「ラリー・モンゴリア」の記事については、「ラリー・モンゴリア」の概要を参照ください。
- 競技の安全性確保のページへのリンク