社名変更の経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:22 UTC 版)
「パナソニックホールディングス」の記事における「社名変更の経緯」の解説
世界展開により、「松下 (Matsushita)」「ナショナル (National)」「パナソニック (Panasonic)」の名称を使い分けるデメリットが年々増大し、ブランドイメージの統一が課題となっていた。創業者松下幸之助も、将来的に社名変更の必要性を感じていたようであり、1975年 - 1984年に「グローバルな経営には松下という社名とナショナルというブランドは分かりにくいんじゃないか」と質問された際に、「いずれそういう時がきて必要であれば、社名を変えるのは意に介さない」と断言していた。幸之助と頻繁に接していた役員OBによれば、「彼は存命中にも社名変更を考えていた」という。そこで、1989年1月に入ってすぐに「パナ (PANA)」への社名変更が検討されたが、松下正治が激怒したため棚上げになった。 その状況が長く続いたが、松下電器は日本国外において自社のブランド名「パナソニック」が浸透していることを考慮し、2008年10月1日をもって社名を松下電器産業株式会社(まつしたでんきさんぎょう)から、パナソニック株式会社 (英称: Panasonic Corporation) に変更し、白物家電に使われてきた「ナショナル (National)」ブランドも2009年度までに廃止し、「パナソニック (Panasonic)」へ一本化する意向を、同年1月10日の記者会見で(当時の大坪文雄社長が自ら)公式発表した。6月26日の2008年度定例株主総会にて採決がなされ、全会一致で社名変更は正式決定した。松下やナショナルが付くグループ会社も基本的にパナソニックを冠にした企業名に変更することを発表した。その後、同年6月26日の株主総会において、社名の「松下電器産業株式会社」から「パナソニック株式会社」への変更と、グループ会社名称の「パナソニック」への統一(一部例外あり)が承認された。 その第一段階として、これまで日本国内向けの松下製白物家電に使われてきた「ナショナル」ブランドは同年6月30日製造・出荷・発売分限りで公式使用を完全終了し、「パナソニック」ブランドへの移行は、翌7月1日発売の新製品から先行実施された。以降製造・出荷・発売の松下製白物家電(松下電工の製品含む)は(以前の「ナショナル」ではなく)全て「パナソニック」ロゴに変更されている(一部の「ナショナル」ブランド製品は品番を変更せずに「パナソニック」ロゴにのみ変更されているものがある。その第1号は電球形蛍光灯「パルックボールプレミアQ(クイック)」シリーズと細環型蛍光灯「スリムパルックプレミア」シリーズである)。同年8月25日に旧来の「ナショナル」製品在庫を9月30日までに完全にゼロとする計画を発表した。「ナショナル」製品は現在全て「在庫・展示品限り」となっており、「ナショナル」製品は完売次第、店頭から完全消滅する予定である。その後、9月16日に社名変更日と同日に発売される白物家電を一斉に公式発表した(製造開始時期の関係から旧社名での表記となった)。松下製白物家電各製品カタログは2008年8月発行分まで表紙ロゴは「National」のままだったが、一部製品(エコキュート・IHクッキングヒーター)は(2008年7月発行分から)索引欄に「ブランド」項が新設され、「Panasonic」も併記され始めた。なお、2008年9月発行分から松下製白物家電カタログの表紙ロゴは全て「Panasonic ideas for life」に変更された(シェーバーカタログは松下製白物家電のトップを切って同年8月発行分から表紙記載の商標を「Panasonic ideas for life」に変更。取扱説明書裏表紙における「松下電器産業株式会社」という社名表記は2008年9月30日製造・出荷・発売分限りで終了。翌10月1日以降製造・出荷・発売分からは「パナソニック株式会社」に変わっている)。ナショナルのブランドで発売されていたものを単にパナソニックのブランドに変更したのみの商品は品番の末尾にPを付けている。パナソニック電工が製造する美容・健康商品も同様だが、同社の他の商品は品番の変更なしにブランドを変更している。 系列店「ナショナルショップ」については(2008年度定例株主総会において)パナソニックへの社名変更が正式決定した2008年6月26日以降、看板・シャッターから「National」の文字を外し、名称を「パナソニックショップ」に変更するとともに「Panasonic」ロゴのみを表記した新デザインへの変更作業を順次開始。2009年度までには廃墟を除く全店舗の看板・シャッターが新デザインに切り替わる。後の2009年3月にパナソニックショップキャラクター「パナ坊」(1994年制定)の公式使用を2010年(平成22年)3月31日をもって完全終了を決定(「パナソニック」へのブランド統一に当たり「パナ坊」作者・五味太郎との契約を解除するため)。パナソニックショップ各店へ配布された同年4月発行のパナソニック各製品カタログにその旨の文書を同封した。 2008年9月27日、大阪府門真市の本社屋上の「松下電器」の切り抜き文字を完全撤去した。社名変更は、予定通り2008年10月1日に実施、「松下」や「ナショナル」を冠する子会社も、松下電器本体の社名変更と同時に社名を一斉に変更(「松下電工」→「パナソニック電工」など) し、企業グループも呼称変更した。さらに、パナソニック提供番組についても、社名変更に伴い、2008年10月改編時に、「ナショナル」を冠した番組名称が、「パナソニック」を冠するものへ変更された(「ナショナル劇場」から「パナソニック ドラマシアター」へ)。 パナソニックでは自社が運営する財団法人(松下政経塾、松下教育研究財団など)や松下記念病院といった関連系列団体の名称は維持し、グループ各社の社名変更後もこれらの関連系列団体の名称は変更しないことを表明していた が、松下教育研究財団をパナソニック教育財団とするなど一部の団体は名称変更した。尚、東京都台東区にある浅草寺の雷門にある大提灯の銘板は松下電器から変更されていない。中国では引き続き、日系企業の一社として「松下電器」の名称を使用している。
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