産業保健とは? わかりやすく解説

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さんぎょう‐ほけん〔サンゲフ‐〕【産業保健】

読み方:さんぎょうほけん

企業において、従業員の安全と健康を確保し生産性の向上を図ることを目的として実施される活動


労働安全衛生

(産業保健 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/11 07:19 UTC 版)

安全衛生旗

労働安全衛生(ろうどうあんぜんえいせい、occupational safety and health)とは、就業環境における安全保健豊かさを守ることを目的とする分野である。労働安全衛生プログラムの目的の一つには、安全性を改良し就労環境を健全にすることにある[1]

労働安全衛生は、倫理的、法的、経営的にも重要である。すべての組織は従業員および関係者に対して、常時安全性を確保する義務を負っている[2]

労働災害

建設現場入口にて労働安全を呼びかける看板(中国)

物理・機械的な災害

生物・化学的な災害

バイオハザード

ケミカルハザード

心理社会的な災害

多くの経済協力開発機構(OECD)各国においては、雇用主雇用者の身体的健康を守るだけでなく、精神的健康をも考慮する義務がある。事業リスク管理のひとつとして、心理的・精神的な災害(リスクファクター)も考慮・管理される必要が出ている[3]

職業性ストレスや職場の暴力などの問題は、精神的リスクと関連性があり、世界的に労働安全衛生の課題であると認識されている[4]

欧州労働安全衛生機関(EU-OSHA)の調査による、最も重大な精神的リスクには以下が挙げられる。

  • 労働契約の不安定性
  • グローバル化による労働者の不安定化
  • 新型の労働契約
  • 仕事への不安感
  • 労働力の高齢化
  • 長時間労働
  • 労働の重圧化
  • リーン生産とアウトソーシング
  • 感情労働の高度化
  • ワークライフバランスの劣化[3]

産業別

皮手袋、安全メガネ、ヘルメットは建設現場の安全管理において重要である

建設業

農業

サービス業

鉱業

医療・福祉

医療従事者の現場では、健康に害をもたらす環境が数多く存在し(バイオハザード)、彼らは長時間労働・シフト制・肉体労働・暴力・感染症や危険な化学薬品などによる疾病リスクに晒されている。

米国労働省の統計によれば、2011年には米国の病院において253,700件の労働災害が確認されており、これはフルタイムワーカー100人あたり6.8件に相当する[5]。病院セクターにおける労災の発生率は、これまで伝統的にリスクが高いとされていた建築業や製造業よりも高率であった。

米国のOccupational Health Safety Network (OHSN)は、米国国立労働安全機構(National Institute for Occupational Safety and Health, NIOSH)によって設立された、医療従事者における健康・安全リスクにおけるセキュアなオンライン監査システムである。OHSNはこれらのデータを元にし、医療従事者における労災リスクの研究を行っている。病院およびその他の医療機関は、OHSNへ労災データをアップロードすることが可能であり、集められたデータは機密情報として扱われ、どの施設か分からないよう調整したうえで分析データとして用いられる。

NIOSHとOHSNは共同で労災をタイムリーに分析し、対策立案および問題介入を行っている。現在のOHSNでは、最もリスクの高くかつ予防可能であり、かつ医療従事者に肉体的障害をもたらす3つの外傷に注力しており、それは患者取扱中の肉体的外傷、滑走・転倒・転落、そして職場の暴力である。OHSNへのデータ登録は、すべての医療機関に対して開かれている。

各国の規制

EU

ノルウェーにおいては、労働安全衛生管理者(Occupational Health and Safety Practitioner)の責務は以下が挙げられる[6]

  • 労働環境のシステマティックな評価
  • 職場における疾病削減・予防指針についての承認
  • 従業員の保健状態に関する情報提供
  • 労働衛生、エルゴミクス、職場環境における危険リスクなどに関する情報提供

オランダにおいては、安全衛生管理者に求められる責務には以下がある[7]

  • 非営利な健康診断
  • 従業員向けの、労働環境に関するカウンセリングルーム
  • 健康アセスメント(業務関係で必要ならば)

米国

日本

危険予知

安全衛生責任者

脚注

  1. ^ Oak Ridge National Lab Safety Document
  2. ^ Employers Safe Working Practices, Health & Safety Policy”. Citation.co.uk. 2013年2月15日閲覧。
  3. ^ a b https://osha.europa.eu/en/publications/reports/7807118
  4. ^ EU-OSHA (2007). Expert forecast on emerging psychosocial risks related to occupational safety and health. Luxembourg: Office for Official Publications of the European Communities.
  5. ^ Occupational Safety and Health Administration. Facts About Hospital Worker Safety. https://www.osha.gov/dsg/hospitals/documents/1.2_Factbook_508.pdf Retrieved February 3, 2014.
  6. ^ Hale A, Ytehus I, 2004, ‘Changing requirements for the safety profession: roles and tasks’, Journal of Occupational Health & Safety – Australia and New Zealand
  7. ^ Hale, A et alia. 2004

関連項目

外部リンク



産業保健

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 01:53 UTC 版)

産業医学」の記事における「産業保健」の解説

産業保健とは労働者健康対策を行う領域である。労働者以外の健康対策を行う領域としては学生対す学校保健や、母親と子どもに対す母子保健母性保健乳幼児保健)、さらには老人保健がある。産業保健は日本国憲法に基づき労働基準法労働安全衛生法によって法的に定められている。労働基準法労働時間休暇休業補償など労働者勤務条件定めるのに対して労働安全衛生法安全管理産業医選任健康診断など物理的労働環境についてを定めている。その他、関連する法律としてはじん肺法作業環境測定法などが存在する近年では産業精神保健必要性取り上げられている。

※この「産業保健」の解説は、「産業医学」の解説の一部です。
「産業保健」を含む「産業医学」の記事については、「産業医学」の概要を参照ください。

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