現在の雪まつりと課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 21:59 UTC 版)
「さっぽろ雪まつり」の記事における「現在の雪まつりと課題」の解説
大通会場の一部の大雪像の製作やつどーむ会場の雪像製作、会場運営は札幌市からの職員派遣のほか、市民ボランティアの参加も募っている。道外からのボランティアの参加も少なくないが、人員の流動性が高く、謝礼(共通ウィズユーカードの配布)を取りやめたこともあり、公募しても定員に達しないなど減少傾向にある。 雪まつりシーズンに合わせて、札幌近郊の宿泊施設の料金を1年で最も高く設定したり、飲食店が「特別メニュー」と称して実質値上げを行うなど、雪まつり期間中の「便乗値上げ」(雪まつり価格)も長年の問題となっている。近年はかつてほどの値上げは鳴りを潜めつつあり、宿泊施設の料金も「初夏のオンシーズンと同程度の料金」にまで落ち着いているとする見解もある。 さらに景気の低迷や地球温暖化などの影響も受けており、1990年代後半に入ると、民放各局で全国放送されていた雪まつり特別番組が姿を消したが、2017年の第68回で雪まつり特番がNHKラジオにて事実上復活した。2010年の第61回では、スポンサー減少などの影響で、全会場で展示される氷雪像が前年比で44基減少したほか、札幌テレビ放送(STV)が長年単独で運営していた大通西10丁目会場から撤退し、大通西4丁目会場を読売新聞北海道支社と共同で運営した(その後読売新聞が撤退)。近年は会場に企業の宣伝ブースやPRキャラクターの雪像が増える一方で、市民が参加できる「市民雪像」は高い抽選倍率にもかかわらず数が減らされ、2000年ごろに160基程度あったものが、2016年に80基まで半減されている。 また、2013年以降、右派系市民団体「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のメンバーなどが、雪まつりシーズンを含め、1年を通して会場周辺で韓国人への中傷などのヘイトスピーチを伴うデモ活動や街頭宣伝を行っており、札幌観光協会は「国際都市、多文化共生を掲げる市のプロモーションに悪影響を及ぼす可能性もある」として警戒を強めている。 2020年12月10日、札幌市長の秋元克広は、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを理由に、2021年2月開催予定であった第72回目の開催を見送り、オンライン開催する意向を発表した。来場型としての中止は史上初である。なおこの年は本来は「第72回」として行う予定だったが、この年は回次表示をせず、実質「第72回」は1年延期の形をとった。 2022年の雪まつりについては、コロナの感染再拡大を予防する観点から、2021年11月26日に大通り公園会場の1 - 7丁目のみに会場を集約し(大通り公園8 - 11丁目と、すすきの、つどーむの各会場は2021年度に引き続き中止)、目玉となる大雪像は作らず、また飲食・物販など協賛各社提供のブース・展示なども行わず、中小規模の雪像を10基程度(大通り公園4 - 7丁目)とイルミネーションの点灯(ただし、雪まつり自体が中止になってもイルミネーションは点灯する予定)に特化した通過鑑賞形式と、会場の様子をインターネット中継で上映するハイブリッド型で行うことを決定(ただし、今回の開催正式決定後においても、感染拡大などが発生した場合は開催中止や規模縮小を再検討すること、また規模縮小の内容を表現する副題を付けることも検討するとしていた)。このように規模縮小ながら会場に雪像を設けて鑑賞してもらう形での開催は2年ぶりとなる予定だった。 当初設置が予定されていた大通り公園会場の雪像には、「テアティナー教会」を再現したものを中心に、漫画「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」などのキャラクター雪像、さらに初音ミクの雪まつりバージョン「雪ミク」や、2023年から北海道日本ハムファイターズが専用球場として使用する予定であるエスコンフィールド北海道を再現したものなどを含め10基程度を公開する予定になっていた・。 2022年1月に入り、既に雪の輸送や雪像制作に取り掛かるも、雪像搬送の開始式典は中止。陸上自衛隊の雪像づくりへの参加も行わないなどの中で準備が進められていたが、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染が急拡大しており、札幌市長・秋元克広は実行委員会に対し、1月14日に開催規模の再縮小やオンライン開催への特化などを含めて再検討を要請、「今後感染者や病床使用率がさらに上昇する恐れがあり、現状では全国から多くの観客が予想される大規模イベントを行うことは困難な状態」として、1月19日、正式に大通り会場の雪像展示を含めた、会場展示型のイベントを完全中止し、オンライン開催のみとすることが発表(ただし「第72回」の回次はそのままオンライン開催のみでも生かされる形とする)され、来場型としては2年連続の中止となった。すでに大通り会場で製作中だった雪像も完成させずに撤去・解体され、代わって「雪ミク」など当初大通り会場に設置が予定されていた中小規模の雪像の一部を、羊蹄山展望台など札幌市内各地(羊蹄山以外は会場非公表、かつ原則入場不可)に設置、ないしはバーチャル大通り公園会場で公開し、その製作工程と作品を2月5-28日にオンライン上映する予定。
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