現在の韓国政府の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 15:04 UTC 版)
「済州島四・三事件」の記事における「現在の韓国政府の対応」の解説
長年「反共」を国是に掲げてきた韓国では、責任の追及が公的になされていない。また、事件を語ることがタブー視されてきたため、事件の詳細は未解明である。 2000年に金大中政権のもとで4.3真相究明特別法が制定され、4.3委員会が設置された。21世紀になって、2003年2月25日に韓国大統領に就任した盧武鉉は、自国の歴史清算事業を進め、2003年10月に行われた事件に関する島民との懇談会で初めて謝罪し、済州四・三事件真相糾明及び犠牲者名誉回復委員会を設置した。さらに2006年同日の犠牲者慰霊祭に大統領として初めて出席し、島民に対して正式に謝罪するとともに事件の真相解明を宣言した。 事件から逃れて日本に渡った済州島出身の在日韓国人は、その恐ろしい体験から「また酷い目にあわされるのではないか」と祖国へ数十年も訪れることのない人々も多かったが、韓国政府が反省の態度を示し始めたことで、60年ぶりに祖国を訪れる決心をした人物も現れ始めた。 しかし、その後の保守派の李明博政権(2008年2月25日~2013年2月24日)、朴槿恵政権(2013年2月25日~2017年3月10日)の時代には進展は見られなかった。むしろ2010年以後は中国観光客の増加と中国人による済州島不動産買い占め懸念が問題化し、過去の事件は忘れられつつあった。 2017年5月10日に大統領に就任した文在寅は、就任後初めての4・3事件犠牲者追念日である2018年4月3日の追悼式に2006年の盧武鉉以来、大統領として12年ぶりに出席した。 文在寅大統領は追念辞で「私は今日、その(金大中政権と盧武鉉政権の取り組みの)土台の上に4.3の完全な解決を目指し揺らぎなく進むことを約束します。これ以上4.3の真相究明と名誉回復が中断したり、後退することは無いでしょう。それと共に4.3の真実はどんな勢力も否定することのできない明らかな歴史の事実として、位置付けられたことを宣言します。国家権力が加えた暴力の真実をきちんと明らかにし犠牲となった方たちの怒りを解き名誉を回復するようにします。このために遺骸の発掘事業も悔いが残らないよう最後まで続けて行きます。遺族たちと生存犠牲者たちの傷と痛みを治癒するための政府としての措置に最善を尽くす反面、賠償・補償と国家トラウマセンターの建設など立法が必要な事項は国会と積極的に協議いたします。」と事件の完全解決に意欲を示した。 文在寅はまた、「未だに4.3の真実を無視する人々がいます。未だに古い理念の屈折した目で4.3を眺める人々がいます。未だに韓国の古い理念が作り出した憎悪と敵対の言葉が溢れています。もう私たちは痛みの歴史を直視できなければなりません。不幸な歴史を直視することは国と国のあいだでだけ必要なことではありません。私たち自らも4.3を直視できなければなりません。古い理念の枠に考えを閉じ込めることから逃れなければなりません。」「恒久的な平和と人権に向かう4.3の熱望は決して眠ることはないでしょう。それは大統領である私に与えられた歴史的な責務でもあります。今日の追念式が4.3の英霊たちと犠牲者たちに慰安となり、わが国民たちにとっては新しい歴史の出発点になることを願います。」と強調した[出典無効]。 事件から71年目となる2019年3月4日、軍と警察が初めて公式に謝罪の意を表明した。
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