現在の養殖状況と課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:29 UTC 版)
ハマチ養殖事業は、筏の係留技術の向上による養殖場所の外海への移動と、餌のペレット化によって、21世紀に入って業態が大きく変わった。 潮の流れが速く、常に海水が循環する外海に筏を係留することによって、赤潮被害や残留飼料の海底への蓄積が起こりにくくなった。寄生虫も付きにくいため抗生物質の使用量も減り、出荷時の魚体内に抗生物質は残留していない。潮の流れが速いためハマチの運動量が増え、身の締まったハマチを提供できるようになった。味も天然物と比較しても遜色なく、一年を通じて状態が良いため、時期によっては天然物を遥かに上回る。また、餌のペレット化によって、以前は魚価に左右されていた餌の価格が一定になった。更に魚の成長過程に応じた必要な栄養素を与えられるようになり、養殖業者の収益率の向上につながった。このため従来は2年で出荷していた「ハマチ」をもう1年肥育し、「ブリ」として出荷しようという野心的な試みを行う業者も出現している。魚臭さを抑える技術も開発され海外への輸出も多くなるとみられる。 飼料にカボスやカカオポリフェノールを含ませることで、身の変色を遅らせる技術も開発されている。従来は脂の乗りが落ちる夏に出荷したり、生簀の飼育頭数を抑えて運動しやすくすることで食味を良したりする工夫も行われている。 フルーツ魚のブリのブランド名として、柚子鰤王、みかんブリ、すだちブリ、かぼすブリ、レモンのブリなどがある。 こういった養殖業者の努力が実を結び、近年では天然物よりも養殖物の浜値が良いという逆転現象が起きるほどである。しかし養殖ハマチに対し、上記のようなイメージを未だに抱く消費者もまだ多い。養殖業者としては、これらの悪印象を払拭し「安全で美味な養殖ハマチ」を普及させることが課題となっている。
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