無駄に廃車を増やす事への批判と中古車市場への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 00:54 UTC 版)
「スクラップインセンティブ (自動車)」の記事における「無駄に廃車を増やす事への批判と中古車市場への影響」の解説
この制度では、まだ使用できる自動車(やその部品)であっても廃車(スクラップ)にすることを条件に各種優遇を行う仕組みとなっていた。だが、この方針は2005年版環境白書で言及されたMOTTAINAI運動に反するものである。また、下取り車が補助金によって中古車として流通せず廃車になったがために需給バランスが崩れ中古車流通量・価格に影響があったともされている。 特に廃車とすることで補助金が受け取れる特定の車種を探す場合はその問題が浮き彫りとなり、かつて『ドリフト天国』の読者コーナーに「出すところに出せば価値のある車両がエコカー補助金の後押しを受けて(そのことに関して無知であるか経済的な理由から前所有者が廃車にしてしまう為に)どんどん潰されてしまう」と言う内容の投稿が行われたことがあった。 旧車としての地位が確立されている車種(極例を示せばトヨタ・2000GTや「ハコスカ」GT-R/「ケンメリ」GT-R、フェアレディZ432など)や中古車市場で未だに人気のある車種(例えばハチロク)であれば市場原理やエンスージアストの存在など様々な要因によって残されていくこともあっただろうが、まだその地位が確立できておらずエンスージアストも少なく、さらに補助金の直撃をまともに受けたネオヒストリックカー(大体1980 - 95年くらいの車両)は上記の記事のように解体の憂き目にあう可能性が十分に考えられたのである[出典無効]。 例えば旧型車が登場する作品、著名な例でいえば『湾岸ミッドナイト』や『頭文字D』、『オーバーレブ!』などの影響で自分より年上の車種に興味を持つ(なお2016年現在18歳(1998年生まれ)であれば例えばスカイラインならR33以前のモデル、『頭文字D』登場車種ならThird Stage以前が全て「自分より年上」(車齢はデビュー年を基準とする)となる)ケースもある。またそうでなかったとしても何らかの理由で新車当時は買えなかったことから中古車となり価格下落したことを受け当時の憧れを叶えるというパターンもある。またカスタムという形でクルマを楽しむのであれば新型車は保安基準や排ガス規制他の関係、各種電子制御の弊害や1990年代末期頃からの車両仕様の極端な変化(市場のミニバンやハイブリッドなどへの極端な偏重、AT車の比率の極端な高さなど)などで不利になってしまう事が多々あり、チューニングカー業界でベース車の世代交代が一向に進まない一因となっている。上述の『ドリ天』の記事に象徴されるように、むやみに旧型車をスクラップにして結果的に残存数を減らしてしまうことは自動車文化の醸成という観点から見ると大いに疑問が残るのである。また旧車雑誌でも間々見られるようにいわゆる(新車当時は掃いて捨てるほどいた)大衆車や実用車を趣味の対象とするマニアもいるが、そのような車両はその価値を「旧者の王道」以上に理解されずスクラップや輸出に回されてしまい「見つけることが最大のハードル」と化してしまっている場合もある。 日本で1年間に発生する廃車は400万台あるとも言われ、その中でも無事故車や自走可能な車が大多数である事を考えると、膨大な数の旧型車が日々自動車リサイクルで消費されていることになる。時間と廃車の増加が平行することを考えると、実際の所自分の好きな車に乗れるのはその車と近い年代に生き、十分な金や環境を持つ人間に限られる。また日本では部品取りの推奨や走行可能な車両を廃車にすることを禁じたり、旧車の保存を後押ししたりするどころか逆に「一定期間過ぎた車両の税金を上げる」という旧車イジメとも言える国策を採っており、また結果的に高額となってしまう車検の存在、もはや時代錯誤とも称される「10年10万kmは廃車」と言う風潮と言った具合に大衆を修理・存続ではなく買い換えに向かわせる環境がある。また、2018年を基準とした場合、ハイブリッド車という例外を除き、2005年以前の自動車はクリーン化税制の対象となる。そのため、2000年に登場した低排出ガス車認定制度に認定されている自動車であっても、基本は指定期間経過後は重課となる制度なため、環境負荷を意識した自動車も重課の対象になってくるという問題もある。 「どんな車でも買い取る」という類の宣伝をする解体屋があるが、これは表向きは事故車や水没車、放置車など自走不可能な車も買い取るという意味だが、自走可能、無事故、機関良好な車でも買い取られてしまうという意味がある。程度や市場状況によっては中古車や中古パーツとして再流通する場合もあるだろうが、基本的には「有価金属クズ」でしかない(そのためその他の有価金属クズも受け入れる解体屋も間々ある)。これには自動車リサイクル法の影響もある。
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