李白観瀑図鐔とは? わかりやすく解説

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李白観瀑図鐔

りはくかんばくずつば
江戸中期享保
鉄石目地丸形高彫象嵌
縦;77.2ミリ
横;76.5ミリ
筑前黒田家伝来
重要刀装
土屋安親は弥五八称し庄内藩士忠左衛門の子で、寛文十年出羽庄内鶴ケ岡生まれ。はじめ酒井家家老松平内膳御用などを務めていたとも言われるが、後に庄内奈良派の祖とも伝えられる佐藤久に師事して金工技術学び金工を本稼とするべく職を返じ師の娘を娶るその後元禄十六年には単身にて出府奈良辰政門を叩くとともに江戸文化を自らのものとし、正徳年間守山藩松平大学頭頼貞に抱えられ大塚松平邸内移り多く作品製作する享保はじめ頃には同家辞して神田に居を定め、ここを活動拠点とする。享保十五年、六十一歳で剃髪して以降は安親の工銘を実子譲り、自らは東雨の号銘を用いる。町彫巨匠仰がれる安親の作風は、奈良派の作を基本とした写実的な絵画風のものから文様風のもの、あるいは陰陽透し巧みに用いた透し鐔等まで幅広く、いずれにおいても優れた意匠構成感覚示しているが、図案具現化する技量もまた同時代の他工に抜きん出ている。特に人物の描写について多様性満ちており、同じ構成からなる同図のみられる木賊刈図鐔とくさかりずつば)を例に採ると、老農夫の姿表情はいずれ異なっており、作品ごとに表現変えたであろうとも思われる一方、安親が自らの位牌として刻んだ伝えられる達磨立像モデル自身であるとみられているが、安親の作品中にこれと似た容姿人物表現されているものが多数あるところから、自らの心情反映させたのではないかとも想像される李白観瀑と題されるこの図は、唐代代表する詩人李白が、流浪の旅途中で訪れた盧山(ろざん)の瀧を目の当たりに、自然のあるがまま様子心打たれてただ立ち尽くす姿を捉えたもの。李白の図はまた酔李白(すいりはく)とも題されるように、李白は友と酒を酌み交わすひととき至福愛し、酒を題に採った多くの詩を残している。直截的表現からなる李白心情は、人種言葉文化異なろうとも、世界人々心と通じ合いそれゆえ人々心を捉え離さないのである。安親もまた李白生き方感銘受けた一人であろう地を丸形仕立てて表面石目地に仕上げ、鋤出と鋤下の彫法を以てたなびく遠景薄肉彫り出し近景配して深山幽谷の趣ある盧山の瀧を描写写実的彫刻による安親独特の構成にて、童子連れて立つ李白の姿を高彫象嵌しており、遠く瀧の落ち水音のみ轟きわたる、神秘的とも言い得る遠大な空間表現している。李白の顔は仔細に観察する豊かに付いた頬肉弛み結んだ口元優しげ目尻様子に、先の安親立像の顔に似たところがみられ、これもまた自己投影したものであろう興味深い。瀧を眺め李白の顔は銀象嵌とされているが、その酔いを楽しむ自然味ある表情は、こころなしか赤味帯びてさえ見え題意充分に咀嚼し表現技法窺える地面石目仕上げによって日常空間超越した幽玄境地感じさせ、木草の葉は独待の形の金象嵌落下する瀧水には銀の象嵌施されているが、地と溶け合ってここも不思譲な色合い呈している。
李白観瀑図鐔



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