日本におけるアマチュア競技
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 10:19 UTC 版)
「アマチュア」の記事における「日本におけるアマチュア競技」の解説
日本のスポーツ牽引してきた要素として学校スポーツと企業スポーツがある。これらはいずれもアマチュアスポーツとして発足したが、オリンピックと同じく現状でアマチュアである事に意味を見出せなくなっている。現状でもこれらがアマチュアスポーツであるという理解の仕方は存在するが、アマチュアの定義や学校スポーツ・企業スポーツの現状を無視したものであり、ややクラシカルな認識、定義の方法である。 学校スポーツは高校や大学の体育会系で行われているスポーツである。特に後者については企業スポーツが整備されるまでは日本のスポーツの牽引役を担ってきた歴史がある。柔道などでは形式上企業スポーツに移行した選手でも実体は出身校などの学校スポーツで普段練習しているケースもある。現状においてはこれらのトッププレイヤーはスポーツで活躍する事を期待して入学を許可されていたり、その見返りとして学費や部費の免除が与えられている。これらは「スポーツ特待生制度」などと呼称されるが、これは経済的な見返りであり、この時点で「アマチュアではない」という状態になる。特に私立学校の選手はステート・アマの一種とみなされることもある。 企業スポーツは会社内の同好会やサークルとして始まったものである。1960年代以降全国規模のリーグ戦が実施されるようになって企業アマ(あるいはコーポレート・アマ)と呼ばれる形態が成立し、それ以前の大学スポーツに代わって国内スポーツのけん引役を担うようになった。企業アマとは社員・職員の福利厚生や健康増進、若しくは企業の対外的な宣伝効果を名目として、所属する企業からお金を出させるシステムである。例えば就業時間内に練習をしても、あるいはスポーツ活動専業で社業に従事していなくても、就業したものと見なして賃金を払わせたり、体育館やグランドの整備に会社からのお金を出させるという仕組みであった。こうした企業アマについてもステート・アマと同じく「アマチュア」と呼んでいいのかについて議論の余地が存在する。企業によるスポーツ活動はあくまでも企業メセナの一環であり、会社の業績如何、若しくは全体的な好不況の如何によって整理、廃止される事がある。リーグ自体が存在できなくなったという場合も想定できる。 西ヨーロッパで重要な位置を占めているアスレチッククラブ、スポーツクラブなどでの社会スポーツの形態は日本ではレクリエーションスポーツや習い事としては盛んである。チャンピオンスポーツ・トップレベルの選手育成をこの社会スポーツに主流をおいているのは水泳、アーティスティックスイミング、フィギュアスケート、体操、ゴルフなど一部の競技に限定されてきた。1990年代以降になってJリーグはこうしたスポーツクラブの形態を積極的に推奨した。また、バブル崩壊以降の景気後退の局面で、経済的な判断によって企業によって放り出されたチームが積極的に企業スポーツから社会スポーツに転換する例も見られるようになった。こうした経緯によって、社会スポーツは既存の学校スポーツや企業スポーツに次ぐ第三のスポーツの場として、日本でも重要度が増してきている。Jリーグにおいては年代別チーム(ユース、ジュニアユース、ジュニア)の所有を義務付けられており、また、これ以外にも女子チームやアマチュアチームを所有するクラブが存在する。またサッカーに限らず幅広いスポーツの普及、選手の育成に乗り出すクラブも存在する。Jリーグ主導のクラブは既に収入を得る仕組みを有しているためクラブ財政が許容する範囲で選手にお金をかける事が可能である。また、これ以外のスポーツクラブについてもトップレベルの選手を商業的に利用したり、クラブが独自にスポンサーを得ることによって運営資金を得ている。この範囲の中で選手にお金をかけるのはJリーグクラブと共通である。また、柔道やレスリング、相撲などを除くマイナー格闘技、マイナー武道や武術の世界はトップレベルの選手育成も含め社会スポーツ中心で古くから行われている。この社会スポーツが「真のアマチュア」と捉えられているが、自らや家族の金銭的支出が多く、貧困層の参加が困難であり、スポーツ界における経済力での差別を生む要因および「スポーツの貴族回帰」との批判がある。 日本では野球やボクシングを除いて全てのスポーツが程度の差はあるが上記のような現状であると理解して構わない。トップレベルの選手は既にアマチュアでないことが多いが、アマチュアでなくてもオリンピックやその他国際大会には出場可能である。また国内大会でも国体やインターハイ、インターカレッジも出場可能な方向へ徐々に改められている。このため、アマチュアでないことに対して特段問題になる事はないため選手の実態についても問題にされる事はない。
※この「日本におけるアマチュア競技」の解説は、「アマチュア」の解説の一部です。
「日本におけるアマチュア競技」を含む「アマチュア」の記事については、「アマチュア」の概要を参照ください。
- 日本におけるアマチュア競技のページへのリンク