摩天楼の誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 15:05 UTC 版)
「ニューヨーク市の歴史」の記事における「摩天楼の誕生」の解説
1898年に5区からなるニューヨーク市が形成され、1904年には全ての区をくまなく結ぶ事となるニューヨーク市地下鉄が開業。移民形態も変化しアフリカ系アメリカ人の大移動が南部より拡大し、ハーレム・ルネサンスが起こる。ルネサンスは禁酒法時代最大のムーヴメントであった。また高層ビル建設ラッシュも起こる。 ニューヨーク市地下鉄は現在MTAが一括管理しているが当時はインターボロー・ラピッド・トランジット、ブルックリン・マンハッタン・トランジットに分割管理されていた。インディペンデント・サブウェイ・システムの始まりにより1904年に統一され、5区に人口が一気に広がることとなる。1903年のウィリアムズバーグ橋、1909年のマンハッタン橋の完成はマンハッタンとの交通をより活性化させブルックリンのベッドタウンが発達した。1923年2月1日には世界最大の鉄道ターミナルとなるグランド・セントラル駅が開業(以前から同じ場所にターミナル自体は存在した)。ペンシルベニア駅は1910年に完成している。 この時代はヨーロッパからの移民のピークであり、東ヨーロッパ系から西ヨーロッパ系の移民へとシフトした時代でもある。1904年7月15日にはイースト・リバーで蒸気船スローカム号が炎上し1,000人以上の人々(大半がドイツ人移民)が亡くなった。この事件はドイツ人街の終末に向かう事件にもなった。ドイツ人コミュニティは貧しい移民と共にロウワー・イースト・サイドにその人口を増やしていった。1911年3月25日にグリニッジ・ヴィレッジで起こったトライアングル・シートウェイスト工場の火災は工場で働いていたユダヤ人やイタリア人女性、約145人の命を奪った。これらの事件はニューヨーク消防局の発展に繋がったと共に、国際女性服飾労働組合の発展に拍車を駆た。組合はさまざまな左翼的活動を行い、エマ・ゴールドマンなども一員として参加していた。 1905年、第2次ボーア戦争の後南アフリカの金融再建のためとしてイギリスがニューヨーク証券取引所に多額の借金をすることとなった。これは世界の金融の中心をロンドンがニューヨークに明け渡した出来事となった。 第一次世界大戦中、ニューヨーク市は兵士をヨーロッパに送り出す港の中心となった。ブラック・トム大爆発事件によりドイツ系移民のサボタージュが懸念されていた時期でもあった。 この頃になると経済的に安定した移民たちはマンハッタンの外へと出て行き住居を構え始めた。1920年の国勢調査ではブルックリンが初めてマンハッタンの人口を抜いている。出身地域ごとに移民の制限を設けた1924年の排日移民法によりヨーロッパからの移民は突然止まり、その代わり南部よりアフリカ系アメリカ人の大移動が始まりハーレム・ルネサンスの発端を作った。 タマニー協会からの知事ジミー・ウォーカーは禁酒法下のもぐりの酒場などで市の財政を豊かにした。 1920年9月16日、市内の共和党過激派は(現在の)JPモルガン・チェース本社前でウォールストリート爆破事件(英語版)を起こし数十人が死に百人以上の怪我人が出た。ランチタイムに起こったこの爆破は多くの一般民衆を狙ったテロとなった。1995年にオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件が起きるまで、この事件はアメリカ国内最悪の政治テロだった。市はアナーキストと共産主義者を徹底的に非難(1919 United States anarchist bombings)、パーマー・レイドの左翼狩り運動を加速させた。爆弾が爆発する数分前ブロードウェイとシダーストリートの角のポストに脅迫状が投函された。その脅迫状には『これだけは覚えておけ、俺達はもうこれ以上待つことはできない。いますぐ政治犯を釈放しろ。さもなくばおまえら全員が死ぬ事になる。アメリカン・アナーキスト・ファイター』と書かれていた。事件から20年が経過した1940年、FBIは事件簿を公開したが犯人の名はなかった。 ティン・パン・アレーはブロードウェイ・ミュージカルの発展に尽力し、1927年の『ショウボート』の公開に踏み切った。 ニューヨーク市マンハッタンで競うように建てられた高層建築は人々を魅了した。アール・デコを利用したクライスラービルや449mの高さを誇るエンパイア・ステート・ビルなどの高層建築は1930年前後に完成している。 1924年大統領選挙でニューヨークは、共和党のカルビン・クーリッジに投票した。
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