捏造説そのものに対する指摘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 04:28 UTC 版)
「アポロ計画陰謀論」の記事における「捏造説そのものに対する指摘」の解説
捏造説そのものに関しては、以下のような指摘もある。 アポロ15号以降で使用されたLRV(月面車)が走行する映像では、舞い上がった砂が空気がないため煙を立てず、放物線を描いて落下している。CGのない当時、これを撮影するにはセット全体の空気を抜く必要があるが、そのような技術が当時存在したとの記録は一切ない。その他にも地球より直径の小さい、月面独特の現象が見られる。たとえば、テレビ番組で「セットの背景の継ぎ目が見える」として捏造の証拠とされたのは、地球よりも手前に位置する地平線である。 月面車から宇宙飛行士が撮影した映像の中には、太陽光によって照らされた延々と続く月面を映したものがある。これを地球で撮影しようとした場合、夜間に太陽並みの強い一つのライトで照らされた、広大な月面のセットを用いて撮影しなければならない。CGがない当時の時代背景、更に費用・技術面を考えるとセットでの撮影は現実的ではない。 アポロ11号の映像を初めて受信したのは、アメリカからの依頼を受けたオーストラリアのパークス天文台であるが、ここも陰謀に加担しているのだろうか。外国の者が陰謀に加担する必要があるのだろうか。 アポロのミッションは国際的に注目を浴びており、アメリカの他にもヨーロッパ各国や日本などその同盟国、更には冷戦下においてアメリカの最大の対立国であったソ連、おまけに世界中のアマチュア無線家及び天文台なども、リアルタイムで宇宙船の観測や無線の傍受を行っていた。これら全員を現在に至るまで騙すことはできるだろうか。 宇宙飛行士が月面に置いてきた地震計で月震の様子を1977年まで観測しており、同じくコーナーキューブのレーザー反射鏡を用いて月レーザー測距実験(地球・月間の距離測定)を世界各国で現在も行っているが、これらのデータも捏造だろうか。 陰謀を行うには、NASA・政府関係者をはじめ数〜数十万もの関係者を要することになる(臨時も含めると、アポロ計画のため約30〜40万人がNASAに雇用されている。オーストラリアなど周辺国にも関係者がいた)が、それら全ての人々に口封じを命じ、現在に至るまでそれを忠実に守り続けることは可能だろうか。 アポロ11号の月面着陸の年の初めに民主党のリンドン・ジョンソン大統領が退任し共和党のリチャード・ニクソン大統領が就任しているが、「月面着陸を捏造する」計画についてジョンソンからニクソンに円滑に引き継ぐことは可能だろうか。ニクソンが就任直後に暴露すれば民主党は再起不能になりかねないが、そのような危険を冒す必要があるのだろうか。 なぜ、一般市民にもおかしいとわかる映像・理屈が存在しながら、世界中に数万〜数十万はいる各部門(写真、宇宙工学や放射線など)の専門家が、この点について数十年余り何も指摘しなかったのだろうか。 もし月面での撮影がでっち上げだったとするのならば、NASAの関係者はどうして旗のような容易に人々に疑問を持たれるであろう映像・画像を、そのまま世に公開したのだろうか。それらをチェックし、撮り直すことは考えなかったのだろうか。 宇宙飛行士の月での活動がでっち上げであったと仮定すると、証拠捏造やその事実に関する隠蔽などにかかる諸経費も結果的には莫大なもの(これから先の未来永劫、隠滅のための工作を行い続けなければならなくなる)となり、アポロ計画の予算では到底収まらないものとなる。 有人のアポロ計画で持ち帰られた「月の石」は、ソ連が無人探査機で採取してきたものの約1,000倍もの量がある。これをでっち上げたとする場合、なぜ世界諸国の調査機関(東京大学なども含む)にこれらの石を渡したのであろうか。月の石の成分は地球の石のそれとは明らかに違う事が分析で判明しているし、ソ連の採取してきた月の石と比較すれば、すぐ捏造であることは分かってしまう。 アポロ計画が捏造だったというのなら、なぜアポロ17号まで6回も月面着陸を行いそれが発覚するリスクを高め、更にはアポロ13号のような事故を引き起こす必要があったのだろうか。特にアポロ12号以降は、関心の低下もあって世間から中止すべきという意見が多く出てきており、(当初20号まで予定があったところを)17号まで実施しなくても打ち切りは容易であったはずである。そもそも11号の着陸に至るまでにデータ取得用として何度も打ち上げテストが繰り返されておりそれだけでも莫大な予算がかかっていることは容易に想像できる。莫大な予算を捏造のために掛けるくらいなら、初めから本気で月面着陸を試みた方がはるかに有用ではないのだろうか。アポロ計画で使用されたサターンV型ロケットや司令船は、その後のスカイラブ計画などにも流用されている。 アポロ計画では月着陸船を小型化するため、着陸船下部の台座を月面に残している。探査装置のみならず、月面車や宇宙飛行士が記念品として多数の物品も置いて来たことも公に発表されている。もしそれらが捏造であれば、後年に月面の再探査が行われた際、これらのものが実在しないことは確実に判明する。本当に捏造であるならば、わざわざ月面にこれらの物品を残すようなストーリーの創作を行う必要があるだろうか。事実、LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)が、これらの残存物の撮影に成功している。
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