延伸事業中に発生した陥没事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 17:28 UTC 版)
「福岡市地下鉄七隈線」の記事における「延伸事業中に発生した陥没事故」の解説
詳細は「博多駅前道路陥没事故」を参照 全ての座標を示した地図 - OSM全座標を出力 - KML 表示 これまでに、当線新設工事中の2000年(平成12年)、さらに延伸工事中の2014年(平成26年)および2016年(平成28年)の計3度、道路陥没事故が発生している。特に、2016年11月8日に発生した博多駅延伸工事における博多駅前2丁目交差点付近での大規模な道路陥没事故は、全国的にも大きく報道された。陥没現場地下の電気・ガス・上下水道管が崩落して切断され、周辺のライフライン、企業の営業等にも影響が及んだ。現場周囲の道路は終日通行止めとなり、陥没箇所に近接する建物に一時避難勧告が発令された。また、避難中に1名が負傷した。同日、福岡市は地下鉄工事との関連を認めて謝罪した。 事故原因を究明する国土交通省の第三者委員会に提出された事故報告書(案)によると、事故発生当時、地下工事現場ではトンネル掘削の際の補強工事中に異常出水が見られ、上部から崩落してきた地下水混じりの土砂が「津波のように押し寄せてきた」などの証言が見られた。事故後に改めて行われた地質調査によって、掘削現場の岩盤上部において、想定よりも岩盤厚さが薄かったこと(想定約3mに対し約2m)、さらに風化し亀裂や脆弱な箇所があったと考えられること、岩盤の上には地下水により水圧の掛かった砂質層があり、岩盤の掘削により水漏れや崩落が連続して大規模な陥没に繋がった事が判明した。岩盤の脆弱な部分の位置とその程度、上部から掛かる水圧等による耐力の評価が不十分であったと指摘し、また地盤改良工法が不十分であったこと、更に設計変更によりトンネル天井の扁平度増加により強度が低下したことや、施工中に鋼管を一部切断した事により強度不足となった事が間接的な要因として考えられると結論づけた。 2017年(平成29年)6月には、工事再開に向けた調査工事が開始。また、発注者である福岡市と大成建設を主体とするJVとの間で、陥没部の埋め戻しその他の工事費用、周辺の企業等の営業補償等をJVが全額負担するとの合意に達した。埋め戻し工事費用に約1.3億円。営業補償は、6月時点で当事者の8割と合意しており、約3.7億円。ライフライン復旧費用に約6000万円。補償額は合計で既に約5.6億円にのぼっており、今後も増える見通し。なお、再開以降の工事費についてはこれまでどおり発注者である福岡市が負担する。 当初の延伸開業予定は2020年度とされていたが、この陥没事故の影響により2017年12月、開業時期を2022年度に変更することが決定された(後に2023年3月開業予定と発表)。これにより将来の乗車人員予測、収支計画や債務償還計画に影響が出ると見られている。 参考文献 “博多駅前で道路陥没”. 西日本新聞. 2017年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月31日閲覧。 『博多駅前陥没に関するトピックス』 - 朝日新聞デジタル 建設中の陥没事故発生日時場所道路位置陥没規模備考典拠幅長さ深さ2000年6月20日16時50分頃 中央区薬院3丁目 城南線城東橋西交差点付近 地図 05m 10m 08m 橋本駅 - 天神南駅間工事 2014年10月27日17時頃 博多区祇園町 はかた駅前通り博多警察署入口交差点付近 地図 03m 03m 03m 天神南駅 - 博多駅間延伸工事 2016年11月8日5時20分頃 博多区博多駅前2 - 3丁目 はかた駅前通り博多駅前2丁目交差点付近 地図 27m 30m 15m 天神南駅 - 博多駅間延伸工事
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