広島県立図書館事件とは? わかりやすく解説

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広島県立図書館事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/08 07:00 UTC 版)

広島県立図書館」の記事における「広島県立図書館事件」の解説

広島県立図書館事件(ひろしまけんりつとしょかんじけん)は、1984年昭和59年)に発生した事件である。この事件図書館現場だけでなく、広島県行政在り方にまで問題波及し1973年昭和48年)の山口県立山口図書館図書隠匿事件並び図書館の自由をめぐって問題巻き起こした。この事件の詳細は、『「広島県立図書館問題」に学ぶ「図書館の自由」 『長野市史考』の経験ふまえて』(日本図書館協会1985年ISBN 4820485172)の題で専門書出版されている。 事件発端となったのは、1984年昭和59年1月12日にある利用者が『同和問題実際』という図書閲覧複写申し込んだことであった同書部落問題検討のために広島県民生労働部社会課が1966年昭和41年)に編纂し県内422か所の被差別部落の名称・戸数・人口掲載し、「差別事件の解決方法」という他県資料転載し図書であった元来この図書同和行政のための内部資料として作成され、「差別事件の解決方法」には差別助長する恐れのある記述があったため該当部分撤回されていた。しかし、いつしか広島県立図書館所蔵し撤回箇所そのまま掲載した状態で一般市民利用可能な状態になっており、さらに図書館複写許可したことが問題となったのである部落解放同盟広島県連合会は、これに対して糾弾行い県立図書館調査乗り出したところ、別の事件発覚する。「表現内容問題がある」として本館図書137冊、移動図書館用の図書25冊、受け入れ保留図書22冊をロッカー入れて別置し、図書目録カードからも抜き取り事実上利用不能な状態にしていたのである。これは知る権利侵害に当たる重大問題であり、図書館による検閲と言える問題であった図書館側が図書別置したのは、県教育委員会から表現内容問題ある図書について16件の通知受け取っていたことが背景にある。この通知指導性・拘束性から、図書館側は図書具体的な問題検討することなく館長課長同和教育推進委員といった一部人間のみで別置決め一般職員には知らせていなかった。一般職員知ったのは同年1月27日のことで、翌1月28日から所蔵する郷土資料2万冊を総点検するよう命じられた。 総点検の過程でさらに事件発生した2月10日頃に担当課長問題となっていた別置図書25冊と受け入れ保留図書10冊から表紙奥付蔵書印押印部分除去し除籍済の図書とともに溶解処分しようとしたのである。この事件は、裁断機の前で不審紙切れ発見した職員により、これらの図書溶解される前に明らかとなったため、実際に破棄されずに済んだ。 この事件問題諸点次のように整理される。 知る権利表現の自由侵害する別置を行う一方で差別助長しかねない図書一般公開していた。 図書館側で検討加えず行政指導のままに図書抜き取っていた。 図書別置一部人間だけで行い、全職員問題として扱わなかった。 職員蔵書利用者対す取り組みが不十分であった事件受けて県立図書館では、1983年昭和58年9月28日制定した同和関係資料取り扱いについて」を廃止して人権またはプライバシーにかかわる関係資料取り扱いについて」を新たに制定した。このガイドラインにより人権にかかわる図書積極的な収集規定され一方人権プライバシー侵害する図書別置し、複写禁止することが決定した。 この事件には関係した図書館長の責任がほとんど不問処されたという問題もある。館長教育委員会背いてでも表現の自由図書館の自由への政治的干渉立ち向かうべきであったのにそれをしなかったが、司書資格有していなかったため責任免れたではないか耕一は指摘した館長司書資格持たない素人任命される現状が変わらなければ同様の事件再発しかねず、司書専門性必要性社会認知拡大大学での司書養成課程改善待たれている。

※この「広島県立図書館事件」の解説は、「広島県立図書館」の解説の一部です。
「広島県立図書館事件」を含む「広島県立図書館」の記事については、「広島県立図書館」の概要を参照ください。

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