展示再開への動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 14:14 UTC 版)
「あいちトリエンナーレ」の記事における「展示再開への動き」の解説
8月3日、日本ペンクラブは、『平和の少女像』などの撤去を求めた河村市長の発言に対して「人類誕生以降、人間を人間たらしめ、社会の拡充に寄与してきた芸術の意義に無理解な言動と言わざるを得ない」と批判し、展示続行を求めた。 8月4日、日本軍『慰安婦』問題解決全国行動は、日本軍「慰安婦」制度という戦争犯罪について日本が事実を認め、再発防止のための教育と記憶・継承をたゆまず続けて行くことで被害者たちの赦しを得ることができるのに、政治家をはじめとする一部の人々が再び逆の言動をとっていると批判し、即時再開を求めた。同日に「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センターも、「平和の少女像」が美術館の中に芸術作品として展示されたことにより、慰安婦問題日韓合意で慰安婦像を撤去する理由である「公館の安寧・威厳の維持の観点からの懸念」はなくなったとし、「平和の少女像」を含む表現の不自由展の展示の再開を求めた。 8月5日、女たちの戦争と平和資料館は、高江ヘリパッド問題に愛知県警が協力したことを引き合いに「表現の不自由展・その後」に対する脅迫犯を検挙することを要請。 8月6日、日本YMCAが「『平和の少女像』の撤去を求めた河村市長の発言は、日本の植民地支配下で性奴隷とされた元「従軍慰安婦」女性の人権と尊厳を侵害する行為に他なりません。」「加害者としての責任を問うことなく、真実を覆い隠しては、 真の平和はつくりだせません」として『平和の少女像』展示再開を求めた。 8月9日に日本キリスト教協議会の金性済総幹事が「平和の少女像への不当な攻撃を恐れず「表現の不自由展その後」を再開してください」と大村に要望書を提出、8月21日には、日本バプテスト連盟の加藤誠理事長も抗議声明を発表した。 8月12日、あいちトリエンナーレに参加するアーティストは、以下の声明文を発表し、作品の展示中止を宣言した。 The main target of the attack in this case is the work “Statue of a Girl of Peace “, by Kim Seo-kyung and Kim Eun-sung: a sculpture that attempts to repair historical memory focusing on Japan’s military sexual slavery (euphemistically called “comfort women”) a historical issue that is continuously repressed in Japan. We consider it an ethical obligation to stand by the exhibiting artists voices and their work being exhibited. Freedom of expression is an unalienable right that needs to be defended independently of any context. 8月21日、アムネスティ・インターナショナル日本は「特に『平和の少女像』が、攻撃の対象となっている」とし、河村たちの発言を「日本軍性奴隷制について、その歴史的事実のみならず、人権侵害に対する国家責任や被害者の尊厳などをも否定する言動である。」と批判し、「日本政府は『平和の少女像』の展示を攻撃する今回の公人の言動に対して、これを是認することなく公式に反駁し、日本軍性奴隷制の被害者の尊厳を傷つける発言をくい止めるための具体的な措置を取らねばならない。」と声明を発表した。 また、平和の少女像の展示中止を歴史修正主義との闘いとする運動も行われた。8月7日、法学者の田島泰彦が「公権力が許す範囲で表現の自由を認めようとする流れが安倍政権にはある。その流れの中でテロ予告や脅迫があり、さまざまな規制・統制が進んでいる。この展示を全力で守り抜こう」と国会内集会を開催すると、荻野富士夫小樽商科大学名誉教授や醍醐聰東京大学名誉教授らが加わって「歴史修正主義とのたたかいでもある」と決起した。また、日本史研究会も2019年度の大会で「歴史の学術研究の成果を無視し、隣国への差別意識を助長する歴史修正主義及び排外主義に反対するとともに、昨今の事態に深い憂慮を表明し、表現・言論・学問の自由の重要性を強く社会に訴えるものである。」と声明を発表した。国外では『希望のたね』理事の山口智美により、この騒動は日本政府と新ナショナリスト軍による慰安婦の歴史を排除する歴史戦であると喧伝された。
※この「展示再開への動き」の解説は、「あいちトリエンナーレ」の解説の一部です。
「展示再開への動き」を含む「あいちトリエンナーレ」の記事については、「あいちトリエンナーレ」の概要を参照ください。
- 展示再開への動きのページへのリンク