報道経過・事件・裁判
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2013年8月末に香港紙が「中国共産党指導部は周永康・前政治局常務委員の汚職をめぐる調査を開始することで合意した」と報じた。周永康が2012年11月まで務めていた政治局常務委員は党最高指導部の一員であり、親しかったと言われる薄熙来の1ランク上に当たる。この時点で、中国当局は周がトップを務めていた中国石油天然ガス集団(CNPC)の幹部4人を調査していると発表していた。 この第一報以降共産党内序列第9位とされる「要人」であることから報道は慎重に展開し以下の通り断片的散発な続報となる。 2013年12月1日以降は消息が途絶え、当局に拘束され汚職問題で追及されているとの報道がある。2014年3月3日に周永康・前党政治局常務委員を巡る国内報道を解禁し、「問題」が生じていることを初めて報じた。京華時報は1面で「周永康問題」と明記し、中国の報道機関は周永康の弟や息子らが汚職などの容疑で拘束されたと伝えていたが、それが周の親族だとは明示せずに報じていた。 中国当局は2014年3月末までに周永康の親族・側近・部下ら300人以上を調査し、周永康の他に親族や部下の持つ900億元(145億ドル)相当以上の資産を差し押さえたとされる。周永康への調査は前年末から始まり(共産党が政権を握った1949年以降に汚職調査の対象となった高官らの中で最高位である)、5つの省にある自宅を捜索して総額370億元の銀行預金を凍結して総額510億元の国内外の債券や株式を差し押さえた他、約300軒のアパート・別荘・骨董品・現代絵画・自動車60台・現金などが押収された。同年2月には周永康の権力基盤である四川省の発電と観光分野で周永康の息子の周濱と協力関係にあった中国企業・四川漢龍集団の劉漢が殺人罪などで逮捕・起訴されていた。 2014年4月29日に周永康の側近であった李春城・元四川省党委員会副書記が党籍を剥奪され、公職から追放された。同年5月23日には、上述の四川漢龍集団主席の劉漢に死刑が宣告された。2014年に入ってから、周永康の周辺人物が相次いで突然死していると報じられる。 2014年7月29日に党中央規律検査委員会は周永康の「重大な規律違反」について立件したと新華社が報じた。その他の中国の報道機関も一斉に事件を報道し、周永康の失脚が確定した。 2014年12月5日に中国共産党中央政治局の会議で周永康の党籍を剥奪し、身柄を司法機関に移すという決定が下された。 2015年4月24日に湖北省咸寧市中級人民法院で李春城の第一審初公判が開かれた。土地開発で職務上の地位を利用リベートを受け取り、事業計画に便乗して別件で起訴済の曲松枝(李春城の夫人)など4人は合計3979万7597元相当(約7億9千万円)を不正会計などから利益供与された容疑の収賄と職権乱用で訴追され、このうち2001年9月から2011年7月末まで担当した成都市長と市党委員会書記の在職中に行った事件容疑では、周永康から直接指示を受けて法違反を認識の上である事業者に便宜を図ったとされた。こうして2015年4月に周永康は収賄・職権乱用・国家機密の漏洩の3つの罪で刑事訴追され、2015年5月22日に天津市第一中級人民法院で初公判が開かれた。 新華社報道によると収賄は職務を利用した一連の事件で周永康は石油政策で直接蒋潔敏から73万1100元(約1千458万円)の金品を受け取る一方で呉兵・丁雪峰・温青山・周灝とそれぞれの関係と立場で便宜を図り、こちらの謝礼は夫人の賈暁曄と子の周濱は4人から別々に計約1億2904万元(約25億7千万円)相当を受け取ったとされた。 職権乱用は閣僚・党幹部の蒋潔敏・李春城と共謀して周濱・周鋒・周元青・何燕・曹永正らが行った土地開発や事業計画に支援協力する見返りに21億3600万元(約425億円)の収益を家族で受取り、これによって14億8600万元(約296億円)に上る経済損失を発生させ国家と人民に重大な損害を与えたとされる。国家機密漏洩は国家秘密法の規定に反し5件の極秘級の文書と1件の機密級の文書を私的関係にあった一般人実業家曹永正に提供したとされる。 2015年6月11日、一審判決で無期懲役に処され、同時に政治的権利の終身剥奪に個人財産没収が言い渡された。周永康は起訴内容を認め、上訴しないと意思表明した。 裁判は非公開で半ば秘密裏に行われ国内マスコミの扱いも小さく結審の内容のみ伝えた。
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