四体液
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「中世ヨーロッパの医学」の記事における「四体液」の解説
詳細は「四体液説」を参照 中世ヨーロッパの医学の基礎をなす根本原理は、体液に関する理論であった。これは古代の医療の著書に由来し、19世紀まで西ヨーロッパの医学界を支配していた。この理論は一人一人の人間の体内に主要な液体というべき4種の体液が存在すると説明する。すなわち黒胆汁・黄胆汁・粘液・血液である。これらは体内のさまざまな器官で作られ、人間が健康を維持するためにはそのバランスが保たれていなければならない。例えば、粘液が多すぎる場合には肺機能に問題を生じるので、身体は咳き込んで粘液(痰)を吐き出しバランスを修復しようとする。人間の体液のバランスは食事療法、内服薬、またはヒルを使った瀉血により改善できる。また四体液は四季にも関連付けられており、黒胆汁は秋、黄胆汁は夏、粘液は冬、血液は春に対応する。 体液気質器官性質四大元素黒胆汁 憂鬱質 en:Melancholia 脾臓 冷・乾 地 粘液 粘液質 en:Phlegmatic 肺 冷・湿 水 血液 多血質 en:Sanguine 脳 熱・湿 空気 黄胆汁 胆汁質 en:Choleric 胆嚢 熱・乾 火 また西洋占星術における十二宮のサインも対応する体液と関連付けられている。現代においても「胆汁質」「粘液質」「多血質」「憂鬱質(メランコリック)」という言葉で性格の個性を表現することがある。
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四体液
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ヒポクラテスなどの古代ギリシャの医師たちは、患者の体から出てくる液体を観察し、人間の体内には、栄養摂取による物質代謝の産物であるいくつかの体液があると考えた。 血液(Gk. haima)は、体内の熱が適当で、食べ物が完全に調理(消化)された時に生成され、生命維持にとって重要であるとされた。一方、粘液と胆汁は悪い体液と考えられた。体内の熱の過少によって生じる粘液(Gk. phlegma)は、ギリシャ語のphlego(燃える)という動詞からきている。古代ギリシャでは、体の中で燃えるのは「炎症」または「消化」であると考えられたことから、冬に起こる炎症の産物が粘液と呼ばれた。 また、脳は粘液による保護が必要で、脳に達して適度な冷えと潤いを与える。脳からあふれた粘液は、鼻汁となって出てくる。体内の熱の過剰によって胆汁が生じるが、数合わせのために黒胆汁が加えられ、黄胆汁(Gk. chole)・黒胆汁(Gk. melan chole)となったという。黄胆汁は血液の泡状のもので、軽く熱い。黒胆汁は、鬱状態の人の排泄物の色から名付けられたと言われる。黒胆汁には酸味があり、体を腐食させるとされた。 体液の種類は、最初から4種類で統一されていたわけではない。『ヒポクラテス全集』に収録された論文「人間の自然性について」の中では、四大元素説の影響を受けて、人間は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4つからできていると述べられており、これが主流の分類である。しかし「疾病について」の中では、血液、粘液、胆汁、水、また「疾患について」で、病気はすべて胆汁と粘液の作用であるとしており、定まっていない。どちらを採用するかは学派によって異なり、ヒポクラテスのコス派は血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁の四体液説で、クニドス派は胆汁・粘液説であった。ローマのガレノスが、四体液説を継承しギリシャ医学をまとめ上げたため、後世に残ったのは四体液説だった。 また、フォーレウス・リンドクヴィスト効果(英語版)の発見者の一人である病理学者ロビン・フォーレウス(スウェーデン語版)(1888-1968)は、四体液説は、血液の観察に由来すると示唆した。血液を容器に入れ、空気にさらし室温で放置すると、上澄みと凝固部分に分かれる。この血清、白血球、赤血球、血餅が、黄胆汁、粘液、血液、黒胆汁の由来ではないかと推測した。
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四体液
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 20:26 UTC 版)
詳細は「四体液説」を参照 4つの基本体液は「血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁」で、それぞれの量、混合、成熟の度合いなどによって、人間の病気と健康が決まると考えられた。体液にはそれぞれ性質があり、血液は熱性・湿性、粘液は冷性・湿性、黄胆汁は熱性・乾性、黒胆汁は冷性・乾性である。 また、どの体液が優位であるかによって、人の気質は「多血質、粘液質、黄胆汁質(胆汁質)、黒胆汁質(憂鬱質)」の4つに分けられた。
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