ヒポクラテス全集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 06:19 UTC 版)
詳細は「ヒポクラテス全集」を参照 『ヒポクラテス全集』(羅: Corpus Hippocraticum、『ヒポクラテス集典』とも)は、紀元前3世紀ごろ編纂された、古代ギリシア語のイオニア方言で書かれた70余りの医学文書の集典である。編纂に至るまでヒポクラテスの没後100年以上経っており、どの文書も無記名であることから、ヒポクラテス自身がどの程度の文書にかかわったかという問題には答えが出ていない。ヒポクラテス学派(コス派)の医師たちの著作が多く含まれるが、クニドス派やその他の学派とみられる著作も含まれている。全集全体での著者の数を最大19人とする説もある。コス島の学校文庫に所蔵されていたものの写本がアレクサンドリア図書館にわたり編纂されたものか、巷間に流布していた無記名の医学文書がアレキサンドリア図書館に収められたものかは不明であるが、紀元前3世紀末までにはヒポクラテスの学説として認められた医学著作の一群が成立し、今日に伝わる形での全集となっていった。 ヒポクラテス全集には、臨床記録、医学の教科書、講義録、研究ノート、哲学的エッセイといった様々な種類の文書が順不同の形で収められ、医学の専門家から門外漢まで幅広い読み手を想定して書かれている。著名な文書としては、『ヒポクラテスの誓い』、『予後論』、『急性病の養生法』、『箴言』、『空気、水、場所について』、『流行病』、『神聖病について』、『古い医術について』などがあげられる。ただし『ヒポクラテス選集』(ロウヴ版)の編集者W.ジョーンズによれば、『予後論』、『急性病の養生法』、および『流行病』の1と3のみが「同じ人によって、ギリシアの偉大な時期が過ぎ去る以前に書かれた、迷信および哲学の残渣がない科学的な論文」とされる。
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