全体観(holism)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 06:23 UTC 版)
古代ギリシャ人やインド人は、体の一部が病んでいるのではなく、全体が病んでいるのであり、病気は一つだけで、それが色々な形で表れているのだと考えた。このような考え方を全体観(holism、ホーリズム)と言う。体液は体中に偏在しているため、体液病理説とはすなわち全体観の医学だった。病気は一つなので、病気はどこにあるか、病気はなんであるかという問いはあまり重視されず、診るべき対象は患者の体全体であると考えられた。 古代ギリシャ医学をまとめた『ヒポクラテス全集』の論文を見ると、病気の経過について詳細な記録が残されているが、病名はほとんど記されていないことがわかる。体液病理説のヒポクラテスはコス派というグループに属しており、ライバルにあたるクニドス派は、病気の所在は身体の固体部分、つまり臓器にあるとする固体病理説(または局在病理説、臓器病理説)だった。クニドス派では、診断が重視され、病気が細かく分類されたが、この時代には病気の分類を行う十分な知識・技術がなかったこともあり、より大きな成功を収めたのは全体観(holism)の体液病理説に基づくコス派だった。
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