全体的社会的現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 15:23 UTC 版)
モースは本書で「全体的社会的現象」をテーマとした。全体的社会的現象とは、社会集団の宗教的、法的、倫理的、審美的、政治的、経済的な側面が一気に表れる現象で、いずれか1つには還元できない。そうした全体的社会的現象として、モースは贈与と交換による全体的給付の体系を取り上げた。本書の結論にあるように、モースは全体的社会的現象が社会制度を活性化させると考えた。 贈与と交換の主な事例について、モースは民族誌学の資料からはポリネシア、メラネシア、アメリカ北西部を選び、古代法からはローマ法、ヒンドゥー法、ゲルマン法を選んだ。中でもアメリカ北西部の儀式であるポトラッチに注目し、競覇型の全体的給付と呼んでいる。マリノフスキが研究したトロブリアンド諸島の交易であるクラのほかに、ラドクリフ=ブラウンのアンダマン諸島研究、フランツ・ボアズのアメリカ先住民研究などを援用した。
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