半ドン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/29 13:35 UTC 版)
半ドン(はんドン)とは、午前中に業務・授業が終了して午後が休みの早期終業のことを指す俗語。午後半休のこと。
語源
諸説あるが、1876年(明治9年)に公官庁で土曜半休となった折に、「半分のドンタク(休日)なので『半ドン』と呼ばれるようになった」と新聞が報じており[1]、近年では国語辞典においても同様の説明が掲載されている[2][3]。なお、ドンタクが休日や休業を意味するようになったのは、江戸時代末期に長崎出島に伝えられた「zondag」(オランダ語で日曜日を意味する言葉)が訛って伝播したことに由来している[4][5]。
異説として、以下のようなものがある。
- 明治時代から太平洋戦争中にかけ、正午に午砲(空砲)を撃つ地域があり、半日経った時間に「ドン」と撃つことから「半ドン」と呼ばれるようになった[6]。
- 半分休みの土曜日という意味で「半土」という言葉が生まれ、それが転じて「半ドン」と言われるようになった[6]。
経緯
土曜半休は1850年のイギリスの工場法改正によって立法化され、日本には1876年(明治9年)に日曜日全休(1月4日を除く、28年に4回)と合わせて官公庁に導入された。
かつて、日本の多くの官公庁・企業・学校で土曜日は半ドンであった。1928年(昭和3年)7月10日には、銀行でも土曜半休が実施された[7][要ページ番号]。 しかしながら日中戦争が始まると国民精神総動員運動が始まり、銀行や会社の多くが半ドンを返上。1938年(昭和13年)には中央官庁でも半ドンの廃止が決まった[8]。
第二次世界大戦後、1960年代からは土曜日を8時間労働にして週休二日制を導入する自治体が現れた[9]。1980年代以降は完全週休二日を導入する企業が増え、1992年には国家公務員に週休二日制が導入された。定期的な早期終業が少なくなり、今日では死語になりつつある[6]。
一方、医療機関では現在でも土曜日は午前中のみ診療するところがあり、水曜日または木曜日も午前中のみ診療するところがある。午後診療の場合、時間外診療として診察代が高くなる場合がある。水曜日や木曜日に関しては医療界特有の事情として、土曜診療との振り替えもあることや、医療機関が所属している学会や勉強会が水曜日もしくは木曜日に開催されるところがあるためとされている[10]。なお、診療時間の設定は医療機関側の自由であるため、医師会などが強制するなど、明確な決まりがあるわけではない。
関連用語
- プレミアムフライデー
- 花金(はなきん)
- 小田急小田原線#土曜急行
- 1970年代に小田急小田原線で運行されていた列車で、文字通り半ドンの帰宅の足として運行されていた。
脚注
- ^ “オヤ今日ハ大そう御愉快でしたねへ…”. 読売新聞: 3面. (1876年5月25日). "前から休日をドンタクと心得てゐるところから土曜日ハ半日の休みゆゑ半どんト云ふ通言だそうで有ります"
- ^ 『広辞苑』第六版、岩波書店、2008年。
- ^ 『日本国語大辞典』第二版、小学館、2000年 - 2002年。
- ^ a b 和田垣謙三「一七三 漢学者が和蘭語に下したる意外なる解釈」『意外録』南北社出版部、1918年、雪の原 15-17頁。NDLJP:959196/137。
- ^ a b 高橋康文「半ドン」『教師の手帖:随筆集』三教書院、1938年、291-295頁。NDLJP:1461898/153。
- ^ a b c “半ドン”. 語源由来辞典. 株式会社ルックバイス. 2016年4月6日閲覧。
- ^ 三井銀行八十年史
- ^ 大蔵省が率先して廃止決める『東京朝日新聞』(昭和13年5月9日夕刊)『昭和ニュース辞典第6巻 昭和12年-昭和13年』p70 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
- ^ 高まる週休二日制熱 ためらう国よそ目に『朝日新聞』昭和49年(1974年)10月3日朝刊、21面
- ^ 歯医者の定休日はいつが多い?素朴な疑問に即、お答え致します! - どくらぼ
- ^ “花金”. 日本語俗語辞書. 株式会社ルックバイス. 2016年4月6日閲覧。
半ドン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:25 UTC 版)
「半ドン」も参照 かつて日本の官公庁や公立学校は午後だけが休日となっていて、これを「半ドン」と称していた。 現在は、官公庁や公立学校、ほとんどの会社が週休二日制を採用し、土曜日は終日休みとなっている。ただし、日曜日と異なり、この日が国民の祝日になった場合でも、振替休日は設けられない。 カレンダーでは平日と同様に黒色で表記したものもあるが、日曜日・国民の祝日と同様の赤色、または青色や灰色や緑色など平日と区別できるようになっている例が多々ある(大半は青色か灰色あるいは緑色で、日曜日や祝日と同じ赤色になることはほぼまれである)。 鉄道や路線バスのダイヤは、週休二日制が普及する1970年代以前は、土曜日は平日ダイヤで運行されていたが、週休二日制の普及により、都市圏では1980年代以降に主に夕方の運行本数の削減をする形で土曜専用のダイヤの新設を経て、1990年代以降休日ダイヤに統合された路線が多い。 鉄道では「土・休日ダイヤ」として休日扱いとしていることが多いが、現在でも能勢電鉄など路線によっては土曜日を独立のダイヤにしている場合もある。 バスでは休日扱いする場合のほかに、独立の土曜ダイヤが組まれる場合と、平日ダイヤから朝夕のバスを間引く場合がある。週休二日制が普及したとはいえ、私立の学校や病院・医院などでは、土曜日に午前中だけの授業や診察を行っているところもあり通勤通学時の利便性を考慮している。 銀行などの金融機関では、1983年7月までは全ての土曜日で、1989年1月までは特定の土曜日の午前中 (9:00 - 12:00) に窓口営業を行っていた。 金融機関の営業土曜日にはATMは、9:00 - 14:00 の時間帯に稼動していた。その後に各金融機関で土曜日のATM稼働時間が延長されても、その名残で当初はこの時間帯 ( - 14:00) は時間外手数料がかからなかった。現在は週休二日制の普及により「土曜日も休日である」として、自行カードでも終日時間外手数料がかかる金融機関が主流だが、まだ「土曜14時までは時間外手数料がかからない」金融機関も存在する。
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