十三年式村田銃とは? わかりやすく解説

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十三年式村田銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 14:48 UTC 版)

村田銃」の記事における「十三年式村田銃」の解説

十ヶ月に及ぶ欧州留学から帰国した村田経芳は、グラース(グラー)M1874やボーモンバーモン)M1871を参考に、1880年明治13年)に日本独自国産小銃完成させ、日本陸軍によって制式採用され、制式名称を「紀元五四年式村田銃」(後の1885年明治18年)に、改良型の「十八年式村田銃」に合わせて、「十三年式村田銃」(正式には「明治十三大日本帝國村田銃」)に改称)とされた。 十三年式村田銃はボルトアクション式単発銃であり、使用弾薬は11mm村田(11x60R Japanese Murata有縁リムド弾薬装薬黒色火薬)を使用したが、これはシャスポー/グラース銃使用された11mmx59.5弾薬とほぼ同寸のものだった。 これは、村田銃生産並行して手持ちシャスポー銃村田式(金属薬莢用)へ改造する作業同時に行われていたため、弾薬共通化するための措置であり、これら改造されシャスポー銃は“シヤスポー(シアスポー)改造村田銃”と呼ばれ1885年明治18年)の時点村田銃呼ばれていた物の相当数がこの改造であったことも記録されている。なお、当時薬莢製造工程起因するためか、今日リムド弾薬異なりリム底面雷管周辺部のみが僅かに突き出した形状となっている。リム底面には寛永通宝等の江戸時代通貨同様の文字配列四文字の刻印記された。一般的には明治を表す「明」と、二桁年号一文字分に縮小した「廿三」(23)等の漢数字製造年号として必ず刻印され残り二文字は「実包」あるいは村田読み仮借した造語である「邑手(むらた)」のどちらか用いられた。 最重要部品である銃身ベルギーからの輸入頼っていたが、その他の部品全て日本国内加工されていた。 村田十三年式がシャスポー/グラース銃異なる点は、日本の気候合わせて表面仕上げ白磨きではなくブルー仕上げ酸化処理)とされ、ボルト後端ノブ単純な円形にローレット加工のみとされ製造容易になっている点と、ボルト内部スプリング松葉バネ使用していた点である。 当初参考としたシャスポーやグラース同様にコイルスプリング用いた機構考えてスプリング製造装置輸入して試作してみたが、良質な鋼材そのもの輸入頼っていた当時日本では満足なものを作ることができなかった。しかし松葉バネなら江戸時代から続く国産技術存在したため、妥協的松葉バネ使用して製造された。耐久性メンテナンスの問題があったが、当時日本技術水準では一番確実な選択をしたと評価できるバネはボルト・ハンドル部の内側仕込まれ、そのためボルト・ハンドル部が太く平たくなっており、これが村田銃外観の特徴になっている。尚、参考にされたのは同様のV字バネ機構を持つ、オランダボーモンM1871歩兵銃である。 薬室密閉金属薬莢膨張作用薬室内に挿入されボルト先端部で行い大きく平たいボルト本体機関部先端の溝に填り込むことで強固な固定が行われるため、ボルト先端には閉鎖機構噛み合いラグの類は特に装備されていないボルト90垂直に起こすことでコッキングが行われ(コック・オン・オープニング方式)、十三年式十三年式参考にした村田式散弾銃場合には、ボルト後退した際にはボルト先端側面にマイナスネジで固定されたボルトストッパーが機関部後端に当たることでそれ以上後退阻止される。このボルトストッパーを取り外すことで簡単にボルト機関部から抜くことができるが、古い銃の場合にはボルトストッパーが変形脱落しての際にボルト後方すっぽ抜けることもあった。十八年式では機関部左側面にマイナスネジ状のストッパーねじ込むことでボルト抜け止めが行われる形に変更された。 撃針ボルト後端円形出っ張り(コッキング・ピース)と一体化した長い複雑な形状のものが用いられコッキングした際にはこの円形出っ張り後方突き出すことで、コッキングされているか否か容易に判別できた。後年村田式散弾銃においてはこの円形出っ張り指してデベソと呼ぶ場合があったという。コッキング判別自体容易に行える上、コッキングされた撃針をゆっくり戻すには一旦ボルト後方に引き、引き金引いたままボルト再度前進させることで簡単に行えたことから、後述村田騎兵銃除き十三年式十八年式共に安全装置の類は一切装備されなかった。 エキストラクターボルト側面設けられた溝に簡易嵌め込まれただけのものであり、ボルトを抜く際にはエキストラクター脱落注意する必要がある。このエキストラクター薬莢薬室から引き抜くだけの役割しか果たさず後年の銃に見られるような薬室外に薬莢蹴り出す機能存在しないため、引き抜かれた空薬莢排除するには銃を斜めに倒すか、ボルト操作した手で直接薬莢排除する必要がある。しかし、熟練した射手であれば引き金操作する右手中指薬指の間に数発の予備弾挟んでおき、小指と掌でボルト操作しながら素早く装填することでかなりの速度連射することもできたという。 銃身機関部銃身側に外ネジ機関部側に内ネジ切られねじ込み構造によって固定される銃身後端には照星正確に銃身直上合わせるためのごく薄い微調整用金属製ガスケット挿入され銃身機関部シールが行われた。薬室後端上面には異常腔圧により薬莢破断した場合撃針側から燃焼ガス吹き抜け起きないように非常用ガス抜き穴が設けられた。このガス抜き穴は日本軍後継ボルトアクションライフル多く引き続き採用され続けた歩兵銃菊の御紋刻印されようになったも本銃が始まりである。西南戦争における退却の際、小銃放棄して逃げる兵が続出したため、銃を捨てることがないようにとの村田配慮刻まれと言われている。この菊の御紋海外現存する村田銃では×の字の刻印を後から打刻するなどの方法消されたものがあり、後の有坂銃における終戦後海外流出品と類似した処置が、村田銃払い下げ段階から既に行われていた事を示している。 十三年式は約6挺が製造された。日清戦争では十八年式とともに主力小銃であった

※この「十三年式村田銃」の解説は、「村田銃」の解説の一部です。
「十三年式村田銃」を含む「村田銃」の記事については、「村田銃」の概要を参照ください。

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