効力関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 07:52 UTC 版)
(この法律違反の契約) 第13条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。 「就業規則#効力関係」および「労働協約#労働契約・就業規則・労働協約の関係」も参照 労働契約が就業規則や労働協約で定める基準に達しない場合はその部分が無効となり、当該基準によることとなる(第93条、労働組合法第16条、労働契約法第12条)。たとえば、個々の労働者を「月給16万円」との条件で雇い入れた場合でも、就業規則に月額賃金を18万円以上とする旨定めている場合は18万円を支給しなければならず、さらに賃金を月19万円以上とする旨の労働協約を締結した場合には、19万円を支給しなければならないのである。最低賃金法等の強行規定に違反する場合も同様である。船員にも同趣旨の規定がある(船員法第31条)。 労働契約、就業規則、労働協約、法令の効力関係については、上位から順に、法令、労働協約、就業規則、労働契約の順となる(ただし、就業規則よりも労働者に有利な労働契約は無効とはならない(有利原則))。
※この「効力関係」の解説は、「労働条件」の解説の一部です。
「効力関係」を含む「労働条件」の記事については、「労働条件」の概要を参照ください。
効力関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 04:25 UTC 版)
第92条(法令及び労働協約との関係) 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。 第93条 (労働契約との関係) 労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成19年法律第128号)第12条の定めるところによる。 労働契約法第12条(就業規則違反の労働契約) 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。 労働契約法第13条 (法令及び労働協約と就業規則との関係) 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。 「労働協約#労働契約・就業規則・労働協約の関係」も参照 就業規則で定めた労働条件は、その事業場における労働条件の最低条件としての効力を持つ。就業規則に定める労働条件は、労働基準法に定める基準以上かつ合理的なものとしなければならない(労働契約法第7条)。使用者側が労働者代表等との意見を聴取するだけで一方的に作成できる点で労働協約とは異なる。使用者が任意に記載した事項であっても、最低条件としての効力は認められる。 労働組合の専従職員であっても、その者が従業員たる身分を有する限り、一般に当該職員に就業規則を適用し得ることは当然であり、その定に基いて懲戒処分をなし、或は配置転換を命じ得るものと解する。ただし、専従職員は、会社に対する労務提供の義務を免除されているものであるから、その限りにおいて就業規則中適用し得ない部分がある(昭和31年6月19日労収第1045号)。 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないが(第15条第1項)、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとなる(労働契約法第7条)。相対的必要記載事項の8.を除き、就業規則の必要記載事項は労働条件の明示事項と基本的に同様となっていることから、第15条による明示は、実際には就業規則の交付によって行われている。日本の労使慣行では労働契約の重要事項のほとんどは就業規則に記載されていて、労働契約の締結は労働者による就業規則の一括承認として行われる。 労使協定を締結した場合、その内容が就業規則への記載を要するにもかかわらず言及がない場合、就業規則の変更手続きが必要となる。労使協定はあくまで法の定める罰則からの免罰効果しかなく(昭和63年1月1日基発1号)、労働者への指揮命令の根拠は就業規則等にあり、それへの記載によって有効となる。たとえば、変形労働時間制を採用する場合、労使協定の締結だけでは不十分で、就業規則への記載があってはじめて、協定の内容に基づいた指揮命令をすることができる。逆に、就業規則に明記しながら、労使協定の締結に瑕疵があると、処罰の対象となりうる。 就業規則は、労働基準法その他の法令 及び労働協約 に反してはならない(第92条1項)。反する部分がある場合、その反する部分については当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については就業規則は適用されず(労働契約法第13条)、行政官庁は当該抵触する就業規則の変更を命ずることができる(第92条2項)。一方、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準による(第93条、労働契約法第12条)。仮に法令に反する就業規則が受理されたとしても、そのことをもって就業規則が適法であると主張することはできない。労働協約に反する就業規則が適用されなくなるのは当該労働協約の適用を受ける労働者に限られるが、行政官庁が命じて変更された就業規則は当該労働協約の適用されない労働者にも及ぶ。 これらのことから、効力関係については、優先されるものから順に、法令、労働協約、就業規則、労働契約となる。ただし、就業規則よりも有利な労働条件を定める労働契約は有効となる(平成24年8月10日基発0810第2号)。
※この「効力関係」の解説は、「就業規則」の解説の一部です。
「効力関係」を含む「就業規則」の記事については、「就業規則」の概要を参照ください。
- 効力関係のページへのリンク