効力の増加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 03:14 UTC 版)
現在の大麻は品種改良や栽培技術の向上によって、過去に比べて効力が増加しているとする社会的意見がある。 イギリス政府は「スカンク」と呼ばれるTHCが30%を超える高効力の大麻が蔓延し、深刻な精神病に陥ると主張しているが、押収されたスカンクのTHC(テトラヒドロカンナビノール)の平均含有率は14%であり、20%を超えたのは全体の4%のみで、30%を超えるスカンクは無かった。アメリカの薬物乱用予防教育 (DARE) は「現在の大麻は30年前(1970年代)と比べて効力(THCの含有量)が20倍に増している。」と指摘しているが、2007年のホワイトハウス麻薬撲滅対策室 (ONDCP) の発表では大麻の効力は20年で2倍程度増えたとしている。国立薬物乱用研究所 (NIDA) の調査 (NIDA-sponsored Marijuana Potency Monitoring System) でも連邦麻薬取締局 (DEA) が押収した大麻のうちTHC濃度が15%を超えていたのは10%以下で、20%以上のものはサンプル全体の2%であった。2008年、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学と国立ドラッグ&アルコール研究センター (National Drug and Alcohol Research Centre) の世界中で実施された9つの研究のデータをメタ分析した研究では「社会では効力が過去よりも20〜30倍も強力になってメンタル・ヘルスに悪影響を及ぼしているとする主張されているが、今回の証拠はその主張を支持していない。」としている。また、ヨーロッパ麻薬監視センター (EMCDDA) の報告では効力の強い大麻が健康被害リスクを増やすことを示す証拠はなく、個人や社会、公共の秩序又は犯罪行為など全体において効力の強い大麻が普通の大麻よりもリスクが大きいということはないとしている。 個別の研究であるが、2017年にフランスで発表された論文では、同国内でマリファナ中毒のため緊急治療室に運ばれる子供の数が増加傾向にあることを報告。取りまとめた小児科医は、原因を大麻に含まれるTHCの濃度変化にあることに言及し、「2004年には9%だったTHCの濃度が、2014年には20%に跳ね上がった」ことを指摘している。 カナダで医療用に発売されている大麻のTHC含有量は10〜14%であり、オランダの医療用大麻のBedrocanは19%である。効力の強い大麻のほうが少量の吸引量で望む陶酔状態が得られるので、煙の害を抑えることができるという指摘がある。
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