強行規定とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > > 法概念 > 規定 > 強行規定の意味・解説 

きょうこう‐きてい〔キヤウカウ‐〕【強行規定】

読み方:きょうこうきてい

強行法規


強行規定(きょうこうきてい)


”強行規定”とは、当事者合意したとしても、規定違反契約できない法律の規定をいう。強行規定に違反した契約無効となる。これに対し任意規定であれば、これに反するような契約当事者間で交わすことができる。

著作権法においては複製可能な場合著作権法47条の2)、同一性保持権例外著作権法第20条2項3号)が、強行規定であるか任意規定であるかが問題となっている。


強行法規

(強行規定 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 13:43 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

強行法規(きょうこうほうき)とは、法令の規定のうちで、それに反する当事者間の合意の如何を問わずに適用される規定をいう。強行規定ともいう。 契約などによって変更することが認められている規定をいう「任意法規(任意規定ともいう)」と対になる用語である。

通常は、公序良俗に関する内容など、それに反する合意をすることが内容的に認められるべきではない場合に用いられる。例えば、契約の双方当事者の立場の強さの違いに基づいて、弱者保護のために用意された規定については、それに反する合意を当事者間が行うことを認めるならば保護規定を置いた意味が減殺されてしまうことから、通常、強行法規として理解される。

日本法における強行規定

民法第91条(任意規定と異なる意思表示

法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。

法令の規定の中には、公の秩序に関するもの(強行規定)とそうでないもの(任意規定)とがあり、そして後者に反する意思表示も有効である。これは契約自由の原則の表れである。この反対解釈から、前者の規定に反する内容の意思表示は、不適法であり無効と解される[1]。公の秩序に関する法規は、個人の意思によって左右することを許さないものであるから、法律行為の内容がこれに違反するときは、その法律行為は無効である。このことは、法律行為制度の理想からいって当然のことであるが、91条は間接的にこのことを規定している[2]

法律のどの規定が強行規定であるかは、明文上明らかな場合もあるが、規定の趣旨から判断して決めなければならない。民法では、債権法の規定は、その多くが、当事者がはっきりと決めておかなかった場合のための補充の規定であるから、任意規定であるが、民法総則の規定は、その多くが市民社会の基本的ルールを定めるものであり、強行規定が多い。また借地借家法第9条のように、一方当事者に不利な特約を禁ずる強行規定(片面的強行規定)もある[1]

行政上の考慮から一定の行為を禁止または制限し、その違反に対して刑罰や行政上の不利益を課す規定(取締規定)もある。これらの規定に違反すれば行政上の制裁を科されることは当然である。しかし、取締規定の多くは、違反して締結された契約の効力がどうなるのかについては定めていない。そこで、取締規定違反が私法上の契約にどのような効果をもたらすか(取締規定が強行規定であるか否か)が解釈上の論点となる[1]。取引行為に一定の資格を要求する性質の取締規定は、行政法規上の処罰は別として契約はなるべく有効に扱われるが、資格に公益性が強いと効果が否定される場合もある[3]。一方、取締規定が取引行為そのものを禁止・制限している場合には無効とされる。また、法律による規制が特に厳格な分野でみられる、いわゆる「名義貸し」について、このような契約は法律がその企業ないし取引をする者を監督しようとしている趣旨に反するから、一般的に無効である[2][4]

国際私法と強行法規

公益性の強い強行法規(労働法による規制など)は、公法と同様に、当事者による準拠法選択の如何を問わず適用される。このような強行法規を絶対的強行法規という。 一方、そうでない強行法規は相対的強行法規と呼ばれ、当該強行法規の属する法が国際私法によって準拠法として指定されたときのみ適用される。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 内田貴『民法I(第3版)総則・物件総論』東京大学出版会 2005年 p.270~
  2. ^ a b 我妻栄『民法総則(民法講義I) 』岩波書店、1963年、p.223~
  3. ^ 最判昭和38年6月13日では、弁護士法第72条に違反して非弁護士が結んだ委任契約を無効とした。
  4. ^ 大判昭和19年10月24日では、鉱業法に違反する、いわゆる斤先掘契約を無効とした。

関連項目


強行規定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 08:09 UTC 版)

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」の記事における「強行規定」の解説

明文は無いが、弱者保護として強行規定性が推定されている。

※この「強行規定」の解説は、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」の解説の一部です。
「強行規定」を含む「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」の記事については、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「強行規定」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「強行規定」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



強行規定と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「強行規定」の関連用語

強行規定のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



強行規定のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
古谷国際特許事務所古谷国際特許事務所
(C)1992-2025 FURUTANI PATENT OFFICE
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの強行法規 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS