分析と影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 08:34 UTC 版)
「Stucky (ファンダム)」の記事における「分析と影響」の解説
ファンダムにおける現象としてのStuckyはファン作品を創作するオンラインコミュニティから現れた。主流の漫画ファンダムが大多数の男性で構成されているのに比べて、これらのオンラインコミュニティは通常、主に女性で構成されている。Stuckyを取り上げるファン作品は、ファンアートやファンフィクション、ファン動画(英語版)を含む広範囲のメディアで創作されてきたが、通常、感情の修辞表現や恋愛の主題といった題材を大きく扱い、マーベルの漫画や映画がアクションと対立中心の物語になっている原作の題材とは対照的である。 従ってStuckyのファン作品は「映画にされなかったがファンが見たい物語の瞬間すべてを実現する」。その実現のために1940年代のニューヨークにおけるロジャーズとバーンズの家庭生活の描写を用いる。その描写は原作の題材で大部分は明らかにならないが、Stuckyのファン作品ではありふれた修辞技法である。これらの作品はたいてい実社会のニューヨーク市における戦前のゲイカルチャー(英語版)の歴史に忠実であり、『Gay New York』は、LGBT歴史家のジョージ・チョーンシー(英語版)による社会学のテキストであるが、原作でロジャーズが住んでいたブルックリン地区に存在した実社会の時代固有のゲイバーを含めて、歴史の側面を正確に描写するため何人かのファン作家に使われている。 Stuckyファンダムは「キャラクターの客体化(英語版)と同一視の複雑な組み合わせ」の結果であり、ロジャーズとバーンズの性的もしくは恋愛的なシナリオを見たいという願望は、ある程度ファン自身が有するキャラクターへの性的なもしくは恋愛的な関心に基づくとフランチェスカ・コッパは論じた。コッパは続けて、Stuckyは単に二人の身体的に魅力的な男性のキャラクターを客体化するだけでなく、「ファンが彼の政治観や過去と現在の親密な関係、宗教、セクシュアリティを具体化する物語を書くことで」キャラクターとしてスティーブ・ロジャーズを主体化することも意味すると論じている。『Captain America, Masculinity, and Violence: The Evolution of a National Icon』の中で、著者のJ・リチャード・スティーブンスは同様に、キャプテン・アメリカのファンは「自分自身の人生における文化的な意味合いを再現し、設定し直すために」キャラクターを使っていると論じ、「キャラクターの歴史のあらゆる場所で、超国家主義の好戦的愛国主義から人種差別とテロリズムの布教事業における国家主義の役割の批評までのメッセージを含むが、(キャプテン・アメリカの)物語は非常に明晰な反応を引き起こす」と述べている。Stuckyの特有の事例で、原作におけるロジャーズとバーンズの関係について、マーベルがクイア・リーディングを認める見込みのないことは「たくさんのファンのエネルギーがクイアなスーパーヒーローの関係がどのように見えるか視覚化するために使われることを意味する」とコッパは述べている。sippingの現象としてのStuckyはゲイもしくはバイセクシャルといったキャラクターの仮想の性的アイデンティティにかなりの集中力をささげるという点において顕著であり、「人気のあるキャラクターをゲイという固定観念やアイデンティティさえも遠くに置き」、その代わりキャラクターを「ジェンダーの境界を除去した大きく卓越した愛情を共有する」として描写する方を選ぶ1970年代と1980年代のスラッシュファン作品とは対照的である。 ファンダムでのStuckyの人気は主流のポップカルチャーとエンターテインメントの発信源で広くコメントされた。Tumblrの(リブログ(英語版)の数によって評価される)その年で最も人気のあるshipという年1回のランキングで、Stuckyは2014年に17位、2015年に9位、2016年に8位、2018年に10位、2019年に16位だった。2020年4月現在、45,000を超えるStuckyのファン作品がArchive of Our Own(英語版)で公開されている。
※この「分析と影響」の解説は、「Stucky (ファンダム)」の解説の一部です。
「分析と影響」を含む「Stucky (ファンダム)」の記事については、「Stucky (ファンダム)」の概要を参照ください。
- 分析と影響のページへのリンク