全柔連の対応
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「女子柔道強化選手への暴力問題」の記事における「全柔連の対応」の解説
3月18日に全柔連は講道館で理事会を開き、第三者委員会による答申をもとにした改革案を協議した結果、「改革提言具体化検討プロジェクト」の設置を決めるとともに、「暴力・暴言根絶宣言」を採択することになった。複数の女性理事や外部理事を執行部に登用するなどの具体的な改革案は6月の理事会までにまとめ上げるという。理事会前に開かれた執行部会(会長と副会長2名と専務理事の計4名による陣容)では、会長である上村春樹の「改革優先案」が第一副会長の藤田弘明と専務理事小野沢弘史に支持されて、同じく副会長の佐藤宣践が提案した「執行部刷新案」は退けられる格好となった。その後の理事会では冒頭で、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎の孫に当たる講道館名誉館長の嘉納行光が「一枚岩でやっていきましょう」と呼びかけた。この発言の影響力は大きく、執行部会に続いて佐藤が執行部の責任を改めて取り上げて進退に言及したものの、佐藤の弟子に当たる山下をも含めた他の22名の理事からは一切賛同を得られることなく、結果として上村を始めとした理事全員が留任することになった。上村は今回の問題で責任を認めたものの、この難局を乗り切るためには辞職するのではなくて、第三者委員会の提案を実行していくことこそがわれわれの仕事であると語った。この決定に対してJOCの市原則之専務理事は、JOCとしては全柔連の人事にまで介入できないと語った。一方、告発選手をサポートしてきた山口は「世間は全柔連を自浄作用のない組織と見るでしょう。女性は今まで理事に加われなかったんですが、このような組織なら入っていなくて良かった。この組織は何が起きても変わらないと実感しました。」と批判した。 また、全柔連は第三者委員会からの報告書を公開した。そこでは2010年から2012年にかけて、園田による特定の選手に対する暴力や暴言行為が7件認定されていた。具体的には2010年の広州アジア大会や2012年のグランドスラム・パリ大会の試合終了後に数回殴打して「死ね」と暴言を吐いた行為や、2012年に釧路で行われた強化合宿での体幹トレーニングの最中に髪の毛を引っ張ったり、別の合宿で箒の柄で殴打したことなどが記されていた。加えて、2012年の世界団体の直前には園田が「俺に何か文句があるのか。俺を嫌いなんだろう。」といった趣旨の発言をすると、近くにいた強化委員長の吉村が「監督を訴えてやれ」などと茶化すやり取りもしていたことがあきらかになった。 さらにこの日、強化委員会はバルセロナオリンピック銅メダリストで筑波大学でコーチを務める増地千代里が新設の女子強化部長のポストに起用することになった。増地は強化副委員長も兼任することになった。女子の新監督に関しては当初、強化の継続性や今年から試験導入された新ルールを2月のヨーロッパ遠征で実際に体験している点なども踏まえて、選手からの信頼も厚いとされる監督代行の田辺を次期監督に昇格させる意向だったものの、暴力行為に関わっていなかったとはいえ、辞任した園田や強化コーチの徳野と一緒に行動していたかのように受け取られかねないといった意見が上がるなど、実業団や大学の指導者からの反対意見が多かったこともあり、結果として起用を断念した。代わりに、全柔連女子ジュニアヘッドコーチで仙台大学柔道部総監督でもある南條充寿を昇格させることになった。強化委員長の斉藤は「非常に優秀で、みんなが納得してくれる監督」と評した。南條新監督の任期は2014年の世界選手権までを予定しており、その後は第三者委員会の答申で求められた女性監督が起用される可能性もあるという。また、暴力行為とは無縁とされながら連帯責任で戒告処分を受けた監督代行の田辺及び女性コーチである貝山・薪谷両氏の処分撤回が決まった。
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