猥褻行為の告発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 03:21 UTC 版)
「女子柔道強化選手への暴力問題」の記事における「猥褻行為の告発」の解説
2013年5月23日に静岡文化芸術大学准教授の溝口紀子が、都内で開催された日本スポーツ法学会のシンポジウムにおいて、代表チーム監督らによる暴力指導を告発した女子15選手に続く「16人目の告発選手が出ました」と発言して、現職の全柔連理事による猥褻行為の存在を明らかにした。それによれば、強化指定選手ではないものの全国大会に出場経験のある30代の女性が、2011年12月に開催された柔道大会の打ち上げの飲み会後に、都内の地下鉄駅構内にあるエレベーターの中で70代の全柔連理事と2人きりになった際に、無理やり抱きつかれたりキスをされるなどしたという。これに驚いた女子選手がトイレに駆け込み携帯電話で友人に助けを求めると、トイレ前で理事が「出てこい」と叫ぶなどしたので、迎えに来た友人とともに交番に駆けつけた。しかし、監視カメラなどの証拠映像がなかったので被害届けを出すことはなかった。また、以前からこの理事に何度かセクハラに近い行為を受けていたともいう。 その後、この女性は該当理事から擦れ違いざまの謝罪は受けたものの誠意を感じられなかったので、正式な謝罪や理事職の辞職を求めて全柔連の別の理事に相談を持ちかけた。しかし、これといった進展が見られなかったために、「暴力の根絶プロジェクト」でセクハラ問題も議題に上がったことを知り、この問題の部会長である北田典子経由で教諭の溝口純に相談を持ちかけた。女性は今なお精神科の通院治療を受けているという。この女性の弁護士である境田正樹によれば、この理事は今回の告発1ヶ月前に「やって(訴えて)も無理だよ」と女性に話しかけてきたともいう。続けて、この理事の辞任を求めて今後全柔連と交渉することになるが、今回の一件は強制わいせつに相当するので刑事事件になってもおかしくないと語った。一方、全柔連広報委員長の宇野博昌は、事態の把握に努めていると述べた。上村や副会長の藤田などの執行部もこの一件については何も知らなかったという。 5月24日に全柔連は専務理事の小野沢弘史を責任者とする特別調査チームを立ち上げて、この問題の調査に当たると発表した。続けて広報委員長の宇野は、女性が相談を持ちかけたという別の理事の存在に関して、調べた限りでは見当たらないと語った。加えて、調査チームのメンバーで「暴力の根絶プロジェクト」セクハラ根絶部会の責任者でもある北田は、准教授の溝口が被害女性を現役選手と発表したが、実際は理事と同じ職場の職員であり、猥褻行為が複数回あったとの言及に対しても1回だけの行為であったと否定した。さらに女性が別の理事に相談を持ちかけた事実も存在しないと指摘して、「溝口さんに“指導”ですね」と溝口准教授の誇張めいた発言の数々に苦言を呈した。この点に関しては溝口准教授も「すいませんでした」とメールで返答してきたという。これに対して溝口は、被害女性を選手と紹介したのは女性が職員であると同時に選手でもあり、本人が選手という肩書きに同意したので用いたまでのこと、女性が全柔連及び東京都柔道連盟の役員を兼任する人物には相談を持ちかけていたこと、セクハラではないものの、今年4月になって女性がこの理事と業務上の同行を求められたことで精神的に不安定に陥ったこと、北田にメールで謝罪したのは北田の同意を得ずにシンポジウムで猥褻行為の存在を公表したことだとの反論を行った。 続けて溝口が語るところに拠れば、全柔連理事による猥褻行為を被害女性からSNS経由で知ることになり、北田にこの件を知らせると、北田は被害女性から事情聴取して全柔連執行部に事件の概要を報告した。しかし、「現在は余裕が無く、ハラスメント規定も明確でないので対応できない」との返答を受けた。この対応により、全柔連は組織として独自調査する意思がなく、保身のための隠蔽に走るだけで自浄作用がないことを悟ることになった。助成金不正受給問題を調査するために立ち上げられた第三者委員会に対する全柔連の対応が、隠れ蓑ないしはアリバイ作りの感がありありと考えていたことも相まって、これでは一旦辞意を表明したはずの全柔連の上村の居座りが現実のものと化してしまうのではないかという思いをますます強くしていったという。
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