入内問題とは? わかりやすく解説

入内問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 17:39 UTC 版)

大姫 (源頼朝の娘)」の記事における「入内問題」の解説

源義高殺害され直後元暦元年1184年8月後白河法皇台頭する頼朝との関係を強化すべく、摂政近衛基通頼朝の娘を嫁がせる意向示した(『玉葉同年8月23日条)。近衛家には頼朝乳母である比企尼外孫である惟宗忠久島津氏の祖)が仕えており、法皇や基通が惟宗忠久を介して頼朝周辺働きかけ可能性がある。しかし、基通に代えて叔父九条兼実摂政として推す意向に傾いていた頼朝最終的に拒絶している。 『玉葉』によると、建久2年1191年)、頼朝が娘を後鳥羽天皇入内させようとしているという噂が兼実の耳にも入っている。だが、翌建久3年1192年)の後白河法皇の死とそれに伴う兼実の政権獲得原因か、1度沙汰止みになっている建久5年1194年8月頼朝の甥で貴族である一条高能鎌倉下ってくる。17歳になった大姫病状一時小康状態となった際、頼朝政子は高能との縁談勧める大姫は「そんな事をするくらいなら深淵身を投げる」と一言のもとに拒絶頼朝それ以上話を進める事をあきらめる。 頼朝はその年の10月から上洛準備始め、翌建久6年1195年2月政子大姫頼家の子女を伴って京へ上る表向き目的東大寺落慶供養であったが、都では大姫後鳥羽天皇への妃にするべく入内工作行っていた。頼朝宮廷実力者である土御門通親丹後局さかんに接触を図る。3月29日5月10日)には丹後局招いて政子大姫対面させ、銀製蒔絵の箱に砂金300両を納め白綾30反など多く派手な贈り物をし、その従者たちにまで引き出物送った前回の上洛では胸襟を開いて語り合った盟友の兼実には一度しか面会せず、雑事ばかりを語って政治的な話はせず、贈り物は馬2頭のみであった。兼実は娘がすでに後鳥羽天皇中宮になっており、土御門通親丹後局とは政敵であった頼朝妹婿重用していた一条能保との参詣予定も突然反故にし、丹後局同行している。頼朝はかつて後白河法皇死去直前院近臣の通親や丹後局勝手に院の荘園として分捕ろうとした国衙領を、兼実とともに断固たる処置元に戻した丹後局接触した頼朝は、この兼実の決定を突然取り消したのである翌年、兼実は一門と共に失脚する建久七年の政変)。 頼朝多大な犠牲払って大姫入内計ったが、大姫は病から回復する事なく建久8年7月14日1197年8月28日)に死去した享年20大姫入内運動は、頼朝が通親・丹後局利用され結果的に朝廷の反幕府派の台頭を招く重大な結果もたらしたとされることが多い。頼朝大姫死後次女三幡入内工作進めて女御とするも、自身三幡相次ぐ病死頓挫する。これらは、それまで常に冷徹な政治家であった頼朝最大失策とされ、それは父親としての思いからとも、娘を天皇の后に立て自らが外戚になるという、中央貴族末裔としての意識捨てきれなかった限界とも評されている。その一方で政権基盤脆弱な通親が頼朝敵対したひとたまりもなく、通親は実際に頼朝頼家最大限配慮をしており、反幕的公卿指摘当たらないとの指摘がある。御家人統制王朝権威利用し始めた頼朝にとって朝廷統制不可欠であって、その最も直截的方策こそ娘の入内外孫即位であり、入内頓挫娘たち及び頼朝自身相次ぐ病死という想定外事態よるものに過ぎない3度目の上洛が実現していたら頼朝三幡後鳥羽後宮送り込むことに成功していただろうとする見解もある。 常楽寺大姫の墓と伝えられる塚が残るほか、大姫守り本尊であった地蔵祭った地蔵堂岩船地蔵堂)が扇ヶ谷に残る。

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