事業化までの動き
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「Mitsubishi SpaceJet」の記事における「事業化までの動き」の解説
2007年(平成19年)2月、三菱はそれまでの仮称・三菱ジェット(MJ)から、間に「地域の」、「地方の」と言う意味の「リージョナル」を加えたMRJ(三菱リージョナルジェット)とし、4月に本社の航空事業本部とMRJ開発の拠点となる名古屋航空宇宙システム製作所を横につなぐ準備室も設置した。 同月、「第47回パリ航空ショー」(6月18日 - 24日開催)において、エアラインの評判がよい実物大の室内モックアップ(長さ8.89 m、幅2.90 m、座席1列4席)を、日本企業として初めて海外の航空ショーで展示することを決定し、6月11日に正式に発表した。6月11日のNHKニュース7では、三菱が公開したMRJのCG映像を放映すると共に、ライバル社より20パーセントの燃費削減、横4列の座席と薄いシートによる足元空間の確保などを謳い、6月12日の読売新聞朝刊でも同様の記事が載った。また6月より自社公式サイトにMRJのページを開設し、航空ショー開催日の18日よりウェブ上でスペックとCG映像を公開した。同日に航空ショーと併せて、駐仏日本大使公邸において飯村豊駐仏大使主催によるレセプションが開かれ、三菱・経産省の関係者、各国エアラインの幹部など、航空宇宙産業関係者など267人が参加し、MRJプロジェクトの説明が行われた。三菱の戸田信雄航空宇宙事業本部長は会見で、「需要数によるが、当初は年間生産15機で始め、最終的には3500機以上の生産を目指す」とした。開催中、三菱の展示には航空会社10から20社が訪問した。 経産省は6月13日に、2008年(平成20年)度から2011年(平成23年)度の4年度で、MRJの開発総額1200億円のうち3割程度(400億円)を資金援助する方針を明らかにした。秋には平成20年(2008年)度予算に開発支援として102億円を計上し、また将来MRJに搭載する「革新的航空機用エンジン」の研究開発(海外製品への共同開発参加)にも予算要求を行った。MRJの海外展開に対しては、経産省所管の独立行政法人日本貿易保険が支援を検討している。 7月3日には、米ボーイングがMRJ事業主体への出資を検討している事が明らかになった。ボーイング日本法人社長ニコール・パイアセキは5月31日の記者会見で、MRJが狙う100席以下の市場分析でボーイングが協力している事を公表し、MRJがボーイングの手がけない100席未満の機体である事を指摘、三菱は同クラスでのパートナーとしつつも、「現時点でボーイングがMRJ開発・生産に投資することは無い」としていた。 10月9日、三菱は記者会見を行い、MRJ事業化への重要なステップとなる正式客先提案(ATO:Authorization to Offer)を開始することを発表し、今後はMRJの本格的販売活動、パートナー候補先との調整、販売金融の仕組み確立、事業体制の整備などを進めていくとした。これらの結果を反映し、2008年3月に計画続行かどうかを最終決断をする。エンジンなど主要コンポーネントの調達先は9月までに決定、エンジンは既存機の改良で提案するGE、新エンジンを提案するRR(RB282系エンジン)、同じくP&Wの3社から1社に選定するとしていたが、この記者会見でP&Wの新型GTFエンジンの採用を発表した。 2008年に入ると、2月12日に国際的な航空産業・エアラインの業界3団体、ERA(European Regions Airline Association)、RAA(Regional Airline Association)、IATA(International Air Transport Association:国際航空運送協会)への加入を発表、2月14日にはシステム製作に参画する主要パートナー5社(油圧システム:米国パーカー・エアロスペース社、電源・空調・補助動力(APU)・燃料タンク防爆・高揚力装置・防火の各システム:米国ハミルトン・サンドストランド社、フライト・コントロールシステム:米国ロックウェル・コリンズ社および日本のナブテスコ株式会社、降着システム:住友精密工業)の指名を発表した。これらに先駆け、1月9日には読売新聞などで日航と全日空が合わせて数十機から100機程度を購入する方針を示していると報道し、また3月15日には朝日新聞がトヨタ自動車がMRJ事業会社へ100億円程度の出資を検討していると報じた。そして3月28日、全日空が自社のサイトで合計25機(うち10機オプション)の発注を公式発表した。
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