世界的な歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 10:50 UTC 版)
ディーゼルエンジンは1897年にドイツで発明されている。またディーゼルエンジン以外の内燃機関は電気機関車よりも早く、19世紀半ばごろに開発されている。しかし、内燃機関は蒸気機関や電気モーターと異なり、回転数に関わらず発生トルクがほぼ一定である特性があるため、発進から加速に移行する速度域で大きな力を必要とする鉄道車両に内燃機関を用いる場合、トルクを増大させる装置を別に必要とする。これが枷となり、鉄道車両への導入には長い年月を要した。 世界で初めてディーゼルエンジンを鉄道車両用に用いたのもやはりドイツで、1912年にプロイセン州州営鉄道向けに最初のディーゼル機関車が製作されている。これはディーゼル=ズルツァー=クローゼ式熱機関車(Diesel-Sulzer-Klose-Thermolokomotive)と呼ばれ、ディーゼルエンジンと動輪軸を直結して駆動させる方式であったが使い物にならず、起動には空気圧縮機を使用することとなった。牽引力や速度も思うような成果が出せず、クランクシャフトやシリンダーの破損が相次ぎ、エンジン自体も凄まじい轟音を発したことから苦情も大きく、2年後の1914年に廃車され失敗に終わった。 1924年にはロシア鉄道向けに大型機のGe-1形が製造された。これは現在[いつ?]サンクトペテルブルクの鉄道博物館で静態保存されており、現存する最古のディーゼル機関車となっている。 1929年、ディーゼルエンジンを動力としてコンプレッサーで圧縮空気を作り、その空気を使いシリンダー・主連棒・連結棒で車輪を駆動する方式の機関車(すなわち、蒸気機関車の蒸気の代わりに圧縮空気を用いたもの。蒸気機関車の構成要素も参照。)がドイツ国鉄(現ドイツ鉄道)向けに製造され、V3201という形式を与えられたが、本格的な実用化には至らなかった。また、蒸気機関車は発進時の発生トルクは高いが、取り扱いはディーゼル機関車の方が優れているため、両者の長所を生かすべく、蒸気機関とディーゼルエンジンを搭載したキトソン=スティル蒸気ディーゼル機関車(Kitson-Still Steam-Diesel Locomotive)も製造されたが、出力と経済性で蒸気機関車を超えることができず開発が放棄された。 その後、機械式・電気式・液体式の動力伝達機構の開発が進められ、これにより1930年代から電気式ディーゼル機関車が米国などで本格的に実用化された。1950年代からドイツが大型の液体変速機開発し1960年代以降は2,000 PS級のエンジンを搭載した機関車が多数製造されるようになり、幹線での列車牽引に多く使用されるようになった。 現在[いつ?]、先進国・発展途上国の別を問わず、世界各国の非電化路線で用いられている内燃機関車の多くはディーゼル機関車である。国によっては5,000 PSを超える出力をもつ機関車もある。動力伝達機構としては、運転や保守が容易で伝達効率の良い電気式が主流である。形態としては、運転台を一か所にまとめたものが多い。 近年[いつ?]、環境問題(機関車からの排気ガスによる大気汚染・酸性雨・地球温暖化など)の高まりとともに、従来、環境負荷の少ないとされてきた鉄道車両にもエネルギー効率の向上が求められつつある。発電機、電動機の交流化、コンピューター制御の大幅な採用等、技術革新の成果を取り入れて改良が進められつつある。
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