鉄道車両用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 09:42 UTC 版)
鉄道車両においては、緊急事態が発生した場合に乗客を車両から避難させるため、車両によっては梯子を設置している。これは車両の床面と地上とは高さが約1mあり、飛び降りることは危険なためである。 主に地下鉄車両では緊急時において前面の貫通扉を開け、梯子をかけて乗客を避難させる。基本的に梯子は折りたたみ式の形状で、車両によっては併設して手すりも設置される。珍しい例では東京地下鉄において使用されている6000系・7000系・8000系においては、貫通扉裏側に直接非常階段を取り付けており、使用時にはこれを前に倒して使用する車両もある。 地上線を走る鉄道では緊急に乗客を避難させる場合には側面のドアを開け、座席シートを使用して避難させることを考慮していた。これは従来使用されていた脚台(蹴込み)で座席を支える方式では、座面は板状の骨組みに詰物・座席表地を巻いて脚台に固定してあるだけである。このため、これを外してドアに引っ掛けて「すべり台」のようにして乗客を避難させることが可能であった。しかし、2000年代になると片持ち式座席の普及で、このような避難の方式が不可能となった。これは片持ち式では、座面が壁で支持された骨組みに詰物・表地をかけただけで、脚台式のように取り外して使用することは不可能なためである。 この座席構造の車両ではさまざまな方法で梯子を用意している車両がある。座席の背ずりの裏側に梯子を取り付けてある車両(例:京王9000系)や背ずりを外すと梯子が収納されている車両(例:小田急3000形2次車以降)がある。そのほか、見られるのが床下へ設置する車両である。これは床下に梯子をつり下げておき、緊急時に引き出し、組み立てて使用するものである(例:東武50000系列・西武30000系・小田急4000形・東急3000系以降の新形式車両など)。また2010年代より近畿日本鉄道の車両にも梯子を取り付けを開始しているが、同社では運転席後部や妻面付近などの車内の空きスペースを活用して設置している。
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