三職の兼任とは? わかりやすく解説

三職の兼任

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:49 UTC 版)

東條英機」の記事における「三職の兼任」の解説

大東亜会議開催され1943年昭和18年11月タラワ島陥落1944年昭和19年1月には重要拠点だったクェゼリンアメリカ軍上陸、まもなく陥落した。また1944年に入ると、戦力数的技術的に格段に増強したアメリカ海軍機動艦隊オーストラリアニュージーランド海軍艦艇太平洋各所出現し日本基地輸送艦隊に激し空爆加えようになった他、ビルマ戦線インド洋においてもイギリス軍活動活発化してきた。 戦局がますます不利になる中、統帥部は「戦時統帥権独立」を盾に、重要情報政府になかなか報告せず、また民間生活を圧迫する軍事徴用船増強などの要求一方的に出して東條悩ませた。1943年昭和18年8月11日付の東條自身メモには、無理な要求官僚主体政治などからくるさまざまな弊害を「根深キモノアルト」と嘆き、「統帥独立ニ立篭り、又之ニテ籍口シテ陸軍大将タル職権ヲカカワラズ、之ニテ対シ積極ナル行為ヲ取リ得ズ、国家ノ重大案件戦時即応処断ヲ取リ得ザルコトハ、共に現下最大難事ナリ」と統帥部への不満を述べるなど、統帥一元化深刻な懸案になっていく。 1944年昭和19年2月17日18日オーストラリア海軍支援受けたアメリカ機動艦隊大挙してトラック島来襲し、太平洋戦域最大日本海軍基地無力化してしまった(トラック島空襲)。これを知り東條はついに陸軍参謀総長兼任決意し2月19日に、内大臣木戸幸一対し陸海軍統帥一元化して強化するため、陸軍参謀総長自分が、海軍軍令部総長嶋田海相兼任すると言い天皇上奏した。天皇からの「統帥権確立影響はないか」との問いに「政治統帥区別するので弊害はありません」と奉答2月21日には、国務統帥一致強化唱えて杉山元総長勇退求め、自ら参謀総長就任する参謀総長辞めることとなった杉山は、これに先立つ20日麹町官邸第1部第3部部長たちを集め19日夜の三長官会議において「山田教育総監が、今東條に辞められては戦争遂行できないと言うので、我輩やむなく同意した」と辞職理由明かした海軍軍令部総長永野修身辞任要求抵抗したが、海軍長老格・伏見宮博恭王意向もあって最後折れ海相嶋田繁太郎総長兼任することになった2月28日には裁判官たちに戦争遂行障害与えるなら非常手段を取る旨の演説をした東條演説事件発生している。 行政権責任者である首相陸軍軍政の長である陸軍大臣軍令の長である参謀総長三職兼任したこと(および嶋田海軍大臣軍令部総長兼任)は、天皇統帥権抵触するおそれがあるとして厳しい批判受けた統帥権独立ロジックによりその政治的影響力昭和初期から拡大してきた陸海軍からの批判もとより右翼勢力までもが「天皇権限侵す東條幕府」として東條激しく敵視するようになり、東條内閣に対して評判はさらに低下した。この兼任問題機に皇族東條批判的になり、例え秩父宮雍仁親王は、「軍令軍政混淆、全くの幕府だ」として武官遣わして批判している。東條はこれらの批判対し非常時における指導力強化のために必要であり責任戦争終結後明らかにする」と弁明したこのころから、東條内閣打倒運動水面下活発になっていく。前年中野正剛たちによる倒閣運動中野への弾圧自殺によって失敗したが、この時期になると岡田啓介若槻礼次郎近衛文麿平沼騏一郎たち重臣グループが反東條連携し始める。しかしその倒閣運動はまだ本格的なものとなるきっかけがなく、たとえば1944年昭和19年4月12日の「細川日記によれば近衛は「このまま東条やらせる方がよいと思ふ」「せっかく東条ヒットラーと共に世界憎まれになってゐるのだから、彼に責任を負はしめる方がよいと思ふ」と東久邇宮具申していたという。

※この「三職の兼任」の解説は、「東條英機」の解説の一部です。
「三職の兼任」を含む「東條英機」の記事については、「東條英機」の概要を参照ください。

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