一家殺傷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 06:04 UTC 版)
「愛知県蟹江町母子3人殺傷事件」の記事における「一家殺傷」の解説
Lはその後もひったくりの標的を見つけられず、空き巣狙いに切り替えて周辺を物色。駅へ向かって歩いていたが、21時30分ごろ - 22時ごろまでの間に被害者A宅(事件現場)付近を通りかかったところ、A一家の飼い猫が施錠されていなかった玄関からA方に入るのを見た。家の玄関ドアが少し開いていることに気付いたLは、A宅に近付いたところ、リビングには照明が点灯しておりテレビも点いていることを確認した。しかし、玄関ドアの隙間から屋内の様子を伺ったところ、玄関の照明は消えており、中に誰もいなかったため、「A宅で金品を窃取しよう」と考え、土足で玄関ドアからA宅に侵入した。 照明が点灯していたリビング・廊下を挟んで反対側の照明が点灯していなかった和室に入ると、Lは同室内を観察し、室内にあったコートなどのポケットを調べるなどして金品を物色していたが、背後から家主の女性A(事件当時57歳)に「誰やお前」と声を掛けられた。驚いたLは玄関から逃走しようとしたが、Aに服を掴まれたため、金品を強取する意図と殺意を持った上で、Aの頭部を多数回モンキーレンチで殴り、Aを頭蓋骨骨折・脳挫傷などによる外傷性脳障害で死亡させて殺害した(強盗殺人罪)。 しかしAに暴行を加えていた途中、Aの次男B(事件当時26歳)がLに飛び掛かった。そのまま約1時間にわたり、Lはリビング・和室などでBと揉み合った末、自己の後頭部を勢いよくBの頭部にぶつけたことで優勢となり、Bの服をまくり上げて近くにあった電気コードでBの両手を縛り上げた。Lは揉み合いの最中、着用していたマスクが外れたため、「Bに顔を見られたから、殺すしかない」と考え、殺意を持ってA宅の台所にあった包丁(刃渡り約17.2 cm)でBの左背部を数回突き刺すなどして、被害者Bを左肺動脈切断による出血性ショックにより死亡させて殺害した(強盗殺人罪)。 A・B両被害者を殺害後、LはA宅の床の血痕・足跡を拭き取ったり、血液の付着した衣服を洗濯したりして証拠隠滅を図っていた。しかしその途中(2009年5月2日2時25分ごろ)、Aの三男C(事件当時25歳)が帰宅した。これに驚いたLはCへの殺意を持った上で、玄関に座ってブーツを脱いでいたCを背後から襲い、首やその周辺などを立て続けにクラフトナイフで数回突き刺した。しかし、Cに「殺さないでくれ」と命乞いをされたことや、顔を見られていなかったことから殺害を思い留まり、Cにそれ以上の暴行を加えることはなかった。LはCを死亡させるには至らなかったが、全治2週間の怪我を負わせた(強盗殺人未遂罪)。 刺されたCは背後を振り返り、廊下に立っていたLを取り押さえようとして揉み合いになり、両者はクラフトナイフを奪い合った。一時は反撃したCがLの足を刺すなどした後、両者の話し合いによる結果、Lはクラフトナイフを離れた場所に投げ捨てた。帰宅から約30分後、負傷したCはLに「出て行け」と迫ったが、Lは「まだやることがある。血を拭いたり、指紋を消したりする」と拒否し、Cの手首を電気コードで縛り上げたり、頭をパーカーやガムテープで包んで目隠しをし、抵抗不能な状態に陥ったCを床に寝転がした。そして金品を物色してLは財布を見つけ、入っていた現金(Aほか2名所有の現金約20万円・腕時計1個〈時価約1,200円相当〉)を強取した。この間、CはLから金品のありかを尋ねられて「うちには金はない」と答えたところ、Lからの「家に入って女性 (A) に見つかった。揉み合っているとき、男性 (B) が入ってきて…ごめん」という返答で母親A・兄Bが死亡したことを悟った。また警察が駆け付ける前(2009年5月2日早朝)、母親Aの知人がA宅(現場)を訪れ、玄関インターホンを押したが、Lは応対しようとするCを制止していた。この間、Cは何度も意識が途切れたが、警察官が来たことで目を覚ました。 初動捜査では犯人が証拠隠滅・現場偽装を入念に図ったかのように思える点(血痕を拭き取るなど)と、ずさんな面(凶器や自身の着ていたパーカーを現場に残したり、2階を物色しなかったりなど)がそれぞれ確認されたが、捜査幹部は「犯人は犯行後、現場を事件前のように装い、証拠隠滅を図ったが、息子たちが相次いで帰宅した上、最後に警察官が来たため、中途半端なまま逃走した可能性が高い」と指摘している。
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