レイティングに関する意識と意見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 00:49 UTC 版)
「コンピュータエンターテインメントレーティング機構」の記事における「レイティングに関する意識と意見」の解説
「Z」区分を除いて購入に対する制限が設けられていないため、「D」以下に区分されるゲームソフトはその年齢を満たしてなくても購入できる(販売店によっては『「D区分」までならどなたでも購入可能』とその旨を告知していることもあるほか、コンビニや一部の量販店では「Z」区分を取り扱わないところもある)。 2020年現在、家庭用ゲームハード向けのソフトについて、SIEはCEROのレーティングを受けていないソフトの発売を認めていない。ただし、ニンテンドーDS用ソフト『DSで読むシリーズ手塚治虫 火の鳥』や、ニンテンドー3DSのeショップで配信されている一部のソフト(内容的にゲームといえないもの)にはCEROのマークが表記されていない。2020年現在、マイクロソフトと任天堂のダウンロード専売作は国際年齢評価連合(IARC)を採用している。 PC用ゲームソフトの場合、一般向けのソフトであってもCEROの審査を受けずに発売に至るソフトも存在する。SteamやMicrosoft Storeで配信されているPCゲームにおいても、一部のソフトにCEROのレーティングが記載されているが、一部審査の信憑性に疑問があるものも存在する。 一部のゲームソフトの公式サイトにおいてCEROのレーティングが記載されていないものもあり、この場合オンライン上では、CEROが公式サイトに設置しているタイトル検索か、ゲームハードメーカーによる商品情報ページからCEROのレーティングの情報を得る必要がある。 雑誌への掲載について カプコンが開発・販売を手がけるモンスターハンターシリーズは「C」に区分されているが、小学生を主な読者とするコミック誌である『月刊コロコロコミック』などで毎号のように取り上げられている。また2019年からは同じく「C」に区分されている「フォートナイト」の特集を組んでいる。編集部は「レーティングは知っているが、読者からの要望もあり独自の判断で取り上げている」としており、開発者は「小学生にもゲームを知ってほしいという気持ちはある」とした上で「レーティングはあくまで目安。法律の規制ではなく、問題はない」と述べている。それに対してある保護者は「小学生の購買意欲をあおっている」と批判した。 さらに2009年8月にはバンダイナムコゲームス(のちのバンダイナムコエンターテイメント)のDS用ソフト『アイドルマスター ディアリースターズ』が「C」区分であるが、小学生女児を主な読者とするコミック誌『なかよし』や未就学男児を主な読者とする『テレビマガジン』で取り上げられたり、バンダイナムコ自体が編集・発行するゲーム販売店向けフリーペーパーの『Side-BN』に本作を「女の子にもオススメの注目ゲーム」と宣伝したりするなど、低年齢女児向けの販促を公然と行っていた。 任天堂もファミ通クロスレビューのメーカーアンケートにおいて「B」・「C」区分のソフトに関しても「どなたでも楽しめる」旨を紹介している(『ファミ通』では「Z」区分のソフトも特集することはあるが、掲載時には「『ファミ通』の掲載基準に従い、考慮している」旨の断り書きを欄外に記載している)。任天堂も初の「D」区分のゲームソフト『斬撃のREGINLEIV』を発売するなど、レイティングに配慮したゲーム制作とは一線を画する動きを示してきている。 レイティング制度による影響 日本PTA全国協議会が2007年に一部の小中学生および保護者を対象に調査した「子どもとメディアに関する知識調査」によれば、レイティング制度を知らないという保護者が約52%に達している。 子供がこのレイティングを参考にゲームを購入しているかというと実はそうでもなく、コール オブ デューティシリーズのシリーズの一部やグランド・セフト・オートシリーズの全作品などは、Z区分になっているにもかかわらず、特に中高生の間で人気が高く、保有数も多く問題となっている。 『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のCEROレーティングがAであることから、桜井政博は「『スマブラSP』は良い子のCERO Aなので、出すことができませんでした。お許しください。」と、不知火舞の登場を断念せざるを得なかった理由を明かしている。 2020年4月、日本マイクロソフトは2017年よりサービスを開始したサブスクリプション「Xbox Game Pass」およびその関連サービスが約3年遅れた理由としてCEROの存在を挙げている。 メーカー側からの意見 ゲームクリエイターの側から現行のレーティング制度に対する意見もある。名越稔洋は『龍が如く』の制作にあたり、基準の曖昧さについて意見を出している。シリーズ1作目は当初「18才以上対象」とされていたが、2006年3月以降の変更に伴い、1段階低い「D」に変更された。以降のシリーズ全タイトルも「D」に区分されている。また稲船敬二もカプコン在籍時に受けたインタビューの中でCEROの審査基準に対して同様の意見を出している。 桜井政博は『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』の制作の際、CEROの審査で登場キャラクターのスカートの中が見えて性的であるとの指摘を受け、何度もキャラクターを作りなおしたとしている。これについて桜井は「海外の審査で拳銃がダメというのは理解できるが、日本の審査はパンツが見えたの見えないってあまりにも低レベルでくだらない」と発言している。 欠損表現の修正 国産タイトルの一部には「C」・「D」区分であっても欠損や出血の表現が含まれているケースがあるのに対し、外国産タイトルの場合「Z」区分でも何らかの表現規制が行われることがある。たとえば国産タイトルのモンスターハンターシリーズ、『ゴッドイーター』や『斬撃のREGINLEIV』、『バイオハザード4』・『5』、『NINJA GAIDEN 2』では身体の切断による欠損や出血表現があるのに対し、外国産タイトルの『ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜』や『Borderlands』、『Gears of War』・『2』では欠損表現が削除されている(ただし『Gears of War』シリーズでは爆発やチェーンソーでの欠損表現はそのままで、ムービーでは削除されていない)。 また、Z区分であっても国産・外国産を問わず欠損表現が削除されるケースがあり、『デッドライジング』と『Fallout 3』では欠損表現が削除されている。『CONAN』や『F.E.A.R.2』(PS3・Xbox 360版)のように、オリジナルから大幅に表現が変更されたソフトも存在する。 『ドラゴンボールZ 真武道会2』などドラゴンボールシリーズを題材とした作品で、片腕のキャラクターである未来世界の孫悟飯が両腕に修正されているのを過剰な自主規制と批判する意見もある。 外国製のタイトル(FPS、クライムアクションなど)の場合、前述の欠損表現の修正以外にも、一部のアクションができなくなるよう変更が加えられる場合もある(民間人への攻撃や、死体への追い討ちなど)。これらの規制が大幅なものに及んだ場合、マルチプレイ対応作品では日本国内限定でのマッチングを余儀なくされるケースもある。 この他『マンハント』など、残虐すぎて修正困難と判断されたため、日本国内での発売を取りやめたソフトも少なくない。 Z指定ソフトの公式大会で15歳のプレイヤーが優勝 2017年10月9日にユービーアイソフトが開催したイベント「UBIDAY2017」にて、「Z」区分である『フォーオナー』の大会で15歳のプレイヤーが優勝した。これを受けて大会を運営したJCGは年齢制限などのルール改定を行うと発表した。
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