レイズ旋風
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 14:12 UTC 版)
2007年11月に球団名を「タンパベイ・レイズ」に変更するとの発表がなされた。これに伴い、球団イメージもこれまでのエイ(Devil ray)から、光線(Ray)に変更され、ユニフォームやロゴも一新、チームカラーはこれまでの緑と白からネイビーと薄い青色に変更された。「Ray」は地元フロリダ湾に多数生息するエイの意味も併せ持つため、ユニフォームの左袖にはこれまで通りエイの図柄が残っている。なお、前チームカラーの緑は地元名産のグレープフルーツの葉の緑を表していた。これはトロピカーナフィールドのネーミングライツを持つ、トロピカーナ社を意識したものと言われる。 新しいチーム名を発表したスチュアート・スターンバーグオーナーは「(名称やチームカラーなどの変更は)新たなレベルと成功を目指すチームを後押しするはずだ」と述べ、新ユニフォームを披露したクロフォードは「ここからスタートを切るような、初めて学校に行くときのような、すがすがしい気分だ。『気持ちがプレーに出る』と言うから、いいプレーができればいいんだが」と低迷を続けるチームからの脱却を誓っている。しかし、この新作ユニフォームに対する周囲からの評判は、今一つである。また、2012年開場を目指し新本拠地の建設計画も発表されていた (2021年現在も計画中)(en:Rays Ballpark)。 しかし、チームは球団名から「デビル(悪魔)」を取った途端に別人のような姿を見せた。その要因として、前年軒並みにワースト記録を更新していた投手陣がこの1年で完全に好転(前年のチーム防御率5.53→3.82)した。特に先発陣はエース格のカズミアーやシールズだけでなく、前年デビューのアンディ・ソナンスタイン、長年期待されながら殻を破れなかったエドウィン・ジャクソン、新加入のマット・ガーザが揃ってブレークし、先発陣5人全員が10勝以上を成し遂げる好成績を残した。 それだけでなくJ.P.ハウエルやグラント・バルフォア、ダン・ウィーラーなどのリリーフ陣も成績が大きく向上した結果、従来からは考えられないほど接戦に強くなり、1点差や2点差で勝利をものにする試合が格段に増えた。 野手陣は岩村明憲とジェイソン・バートレットの新二遊間コンビに象徴される強固な守備力で投手を助けた。打撃面では前年の打撃力の中心を担ったアップトンやペーニャが前年程の結果を残せず、後半戦にクロフォードの戦線離脱で低調になったが、リードオフマン岩村の安定した活躍や、彼の代わりに三塁に入った新人エバン・ロンゴリアが本塁打を量産し新人王を獲得した。 他はウィリー・アイバーやゲイブ・グロス、エリック・ヒンスキーなど、レギュラー・準レギュラーの垣根を越えた選手達の活躍で乗り切った。そのため、レイズは非常に選手の日替わり起用が多く、ペーニャもそのことについて語っている。また、8月にロンゴリアは骨折で約2ヶ月間という長期離脱を強いられるも、ペーニャが復調し、前年通り主砲の役目を果たしたため、痛手は最小限となった。 投手陣と堅実な守備になった野手陣の「守りの野球」で開幕から好調を保ち、近年毎度のようにニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスが優勝争いをしていた、MLBで最もハイレベルな地区と言われるア・リーグ東地区で前年覇者のレッドソックスと首位争いを展開した。春先は前年までのこともあって「春の珍事」・「勢いだけ」・「いつか落ちるだろう」などとレイズの突然の快進撃について周囲からは冷ややかな反応が多かったが、その後もそういった声をあざ笑うかのように着実にレイズは白星を積み重ねていった。7月の球宴直前に今季ワーストとなる7連敗を喫して一度首位から陥落すると、「レイズもここまでか」と思われたが、球宴明けからの後半戦に入ると再び勢いを取り戻し首位を奪還。一時は2位レッドソックスに最大で5.5ゲーム差をつけるなど、着実に首位を快走していた。 しかし、9月に入って初優勝への重圧がかかり始めたのか、負けが込み始めた。そこへ前年覇者のレッドソックスが9月中旬には0.5ゲーム差、下旬にはゲーム差なしまで肉薄してきたが、直接対決ではいずれも2勝1敗と勝ち越して首位陥落を阻止し続けた。9月20日に球団創設11年目で初となるプレーオフ出場の切符を手にすると、地区優勝までM1で迎えた9月26日、試合はデトロイト・タイガースに敗れたものの、2位のレッドソックスがヤンキースに敗れたため、遂に球団創設11年目で初の地区優勝を飾った。最終的に、これまでのチーム最多勝である2004年の70勝から27勝も多い97勝65敗 勝率.599でシーズンを終え、球団新記録を樹立した。 アメリカンリーグディビジョンシリーズ(ALDS)ではシカゴ・ホワイトソックスと対戦。投手を中心とした守りの野球をシーズン通り忠実に行い、3勝1敗で突破。 アメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)では同地区で優勝争いを展開したレッドソックスと対戦。アップトンとロンゴリアが本塁打を量産するなど打線が爆発し、4戦で3勝1敗と善戦していた。しかし、勝てば初のワールドシリーズ進出となった第5戦、7回2死まで7点をリードしながらその後に一気に8点を失い、悪夢の逆転サヨナラ負けを喫した。続く6戦もホームに戻ったものの、敗れて逆王手と追い詰められる。しかし、第7戦では3-1でレッドソックスを振り切り、球団創設初の地区優勝に加え、アメリカンリーグ優勝を成し遂げた。最高殊勲選手賞にはシリーズ2勝のマット・ガーザが選ばれた。 球団創設11年目にして初のワールドシリーズは15年ぶりにナ・リーグを制したフィラデルフィア・フィリーズと対戦することになった。ホームでの第1戦を落としたが、第2戦を勝利し、1勝1敗とタイにして敵地シチズンズ・バンク・パークに乗り込んだ。しかし、敵地での初戦となった第3戦にサヨナラ負けを喫し、第4戦では天候不良の影響もあってワールドシリーズ史上初となるサスペンデッドゲームとなった第5戦も敗れ、敵地では3連敗を喫し、結果1勝4敗で敗れた。オフにはロンゴリアが球団史上初となる新人王を受賞した。 2009年は主力の不調で3位に終わる。
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