踏面ブレーキ
ユニットブレーキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/08 14:11 UTC 版)
ユニットブレーキとは、ブレーキシリンダと制輪子の取り付け部が一体となった片押し踏面式ブレーキのことである。 この方式は、ブレーキシリンダ、ブレーキてこ、シューヘッドなどの機構を一体化することで構造の簡素化、小形化、軽量化、整備時間の短縮などが図れる利点がある。機能的には(ユニット形の)片押し式踏面ブレーキであるが、単にユニットブレーキと呼ばれる。また、ユニットブレーキを両抱き式の配置として使用している車両もある(両抱き式のユニットブレーキ)。 従来のブレーキシリンダを用いた複雑なリンク機構を作用させる従来方式(リンク式)と比較して、ブレーキシリンダとブレーキシューが一体となっていることから、ブレーキ作用時の応答性は高くなっている。特にATO装置を使用した運転路線の場合、駅停車時には頻繁なブレーキノッチ操作(手動7段をATO使用時には31段の多段ステップ化)を行うため、ユニットブレーキはその応答性に優れていることから対応は容易であるが、従来方式(リンク式)の場合、頻繁なブレーキノッチ操作への対応が難しい面もある 。 さらに制輪子が摩滅した場合でも、自動で車輪踏面と制輪子の隙間を一定に保つ「自動隙間調整機構」が実装されており、隙間の調整が不要となることで保守の容易化を図ることができる。 採用時期の早いものでは営団地下鉄(現・東京地下鉄)において1961年(昭和36年)登場の日比谷線用3000系や1964年(昭和39年)登場の東西線用5000系にセミユニットブレーキ方式が採用されている。これは台車構造の簡素化と保守性の向上が目的とされている。営団地下鉄ではこれ以降、ユニットブレーキ方式の開発を継続し、1988年(昭和63年)登場の日比谷線用03系や東西線用の05系において本格的な採用が開始されている。 また、日本国有鉄道(国鉄)では1980年(昭和55年)に新製した201系試作車の一部車両においてユニットブレーキが採用されている。ただし、量産車では不採用となり、試作車においても量産化改造時に撤去している。 その他の私鉄では2000年代以降に製造された通勤形車両ではこのブレーキシステムを採用しているものが多い。 JRでは、電気機関車のEH200形や貨車のコキ107形、コキ200形などで採用されている。 保守のために取外され並べられたユニットブレーキ。 ユニットブレーキのカットモデル、左下に組み込まれている物が自動隙間調整機構の調整器体。
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