メッセンジャー探査機とは? わかりやすく解説

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メッセンジャー (探査機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/15 04:18 UTC 版)

メッセンジャー (MESSENGER)
水星周回軌道に乗ったメッセンジャーの想像図
所属 アメリカ航空宇宙局 (NASA)
公式ページ MESSENGER Home
国際標識番号 2004-030A
カタログ番号 28391
状態 運用終了
目的 水星周回観測
観測対象 水星
計画の期間 約8年間
打上げ機 デルタIIロケット
打上げ日時 2004年8月3日
2時15分56秒(EDT
軌道投入日 2011年3月18日
運用終了日 2015年5月1日
物理的特長
本体寸法 1.27 m × 1.42 m × 1.85 m
質量 1,093 kg
発生電力 450 W
(水星周回軌道にて)
主な推進器 2液式化学スラスタ
(645 N, 317 sec)
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メッセンジャー (MESSENGER; MErcury Surface, Space ENvironment, GEochemistry and Ranging) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のディスカバリー計画の一環として行われている水星探査ミッション、および探査機の名前である。2004年8月3日に打上げられ、2011年3月18日に水星周回軌道へ投入されて観測が行われ、2015年5月1日に水星表面へ落下してミッションを終了した。

概要

約2万7000 kmの距離からメッセンジャーが撮影した水星

メッセンジャー以前に水星に接近した探査機には1974年 - 1975年マリナー10号があるが、表面の僅か45%しか撮影されておらず、水星は太陽系で最も探査が遅れている惑星の1つであった。水星の探査が困難な理由に、太陽から受ける膨大な熱、電磁波による通信障害、水星の公転速度が大きいことなどがあったとされる。

2000年代に入って太陽系形成の理解を深めるため、ようやく水星へと興味が注がれて来た。そして、次々に探査機を水星へ送る計画が立てられた。その1つがメッセンジャーである。

マリナー10号の調査では、水星の物理的な性質以外殆ど分からなかったため、メッセンジャーでは水星を構成する物質磁場・地形・大気の成分、などが調査される。

探査機は燃料節約のため地球・金星・水星と複数回の減速スイングバイを行いながら水星周回軌道へ接近する。その結果、地球から水星まで最短距離では約1億 kmのところを、79億 kmもの軌道を辿ることになる。

日程

メッセンジャーの軌道。6回のフライバイを繰返しながら水星へ近付く。
デルタIIロケットによるメッセンジャー打上げ
  • 2004年8月3日ケープカナベラル空軍基地よりデルタIIロケットで打上げ。
  • 2005年
    • 8月2日地球でスイングバイ。2,347 kmまで接近。
    • 12月12日:DSM-1(Deep-Space Maneuver-1:第1回軌道修正噴射)を実施、524 秒間。
  • 2006年10月24日金星でスイングバイ。2,992 kmまで接近。
  • 2007年
    • 6月5日:金星でスイングバイ。338 kmまで接近。
    • 10月17日:DSM-2実施。
  • 2008年
    • 1月14日水星でスイングバイ。200 kmまで接近。その後 DSM-3実施。
    • 10月6日:水星でスイングバイ。200 kmまで接近。その後 DSM-4実施。
  • 2009年9月29日:水星でスイングバイ。200 kmまで接近。その後 DSM-5実施。
  • 2010年11月:ボイジャー1号以来21年振りに太陽系家族写真を撮影。
  • 2011年
    • 3月18日:水星周回軌道へ投入(約200 km×15,200 km 軌道傾斜角82.5度の軌道)。その後約1年間観測を行う計画であった。
    • 11月14日:予定していた2012年3月17日までの観測運用を1年間延長することを発表[1]
  • 2013年12月に、ミッションを2015年3月までさらに延長することを決定[2]
  • 2014年4月20日に、水星での3,000周目を迎えた。6月17日まで近水点を下げ続け、高度約120kmまで接近させる[3]
  • 2014年7月25日に、初めて高度を100 kmにまで下げた。8月19日には高度50 kmへ、9月12日には高度25 kmまで降りる予定で、25 kmまで高度を下げた後は94kmまで高度を上げる予定。その後も何度か近水点高度を上げることにより、水星表面へ落下するのを2015年3月以降まで延長[4]
  • 2015年5月1日:水星表面へ落下、ミッション終了。3月より計7回のスラスタ噴射を実施して高度を上げることで落下を1ヶ月以上遅らせた。なお落下直前まで観測は行われた[5]

探査機器

  • 水星撮像システム
  • ガンマ線・中性子スペクトロメータ
  • X線スペクトロメータ
  • 磁力計
  • 水星レーザ高度計
  • 水星大気・表面組成スペクトロメータ
  • エネルギー粒子・プラズマスペクトロメータ
  • 電波科学実験
など

画像

脚注

関連項目

外部リンク


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