ミラビリス・リベルとは? わかりやすく解説

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ミラビリス・リベル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/08 06:17 UTC 版)

ミラビリス・リベル』 (Mirabilis Liber) は、1520年代フランスで刊行された編者不明の予言集である。フランスで最初に出版された予言アンソロジーで、古今の著名な聖人たちの予言を集めたという体裁になっており、実質的に中世キリスト教終末論を独自の視点で総括したものになっている。何度も再版され、同時代の占星術師神秘思想家たちに対し、直接・間接的に少なからぬ影響を及ぼした。


注釈

  1. ^ 預言」と「予言」は別の語だが、未来について語られている場合には基本的に「予言」で統一する。
  2. ^ 「世界最終皇帝」はリーヴス (2006) による訳語で、ほかにコーン (1978) では「〈終わりの日〉の皇帝」、マッギン (1998) では「世界を治める最後の皇帝」、(ミノワ(2000)) では「末日の皇帝」と訳されている。
  3. ^ フリードリヒ2世は「世界最終皇帝」だけでなく、そのほぼ対極の存在「反キリスト」と位置付けられることもあった(ミノワ(2000), p. 209-212)。
  4. ^ 以下で示す葉 (folio) の番号は、Britnell & Stubbs (1986) に従ったもので、初版が基準になっている。
  5. ^ 実際に10人の名が挙げられているが、本文には「8人」と書かれている。
  6. ^ 『ミラビリス・リベル』では詳述されていないが、そこで名の挙がっているフォルモススなどは、死後に行われた裁判で位を剥奪され、死骸はローマ市中引き回しの上で川に打ち捨てられたほどである(竹下節子 (1998) 『ローマ教皇』 筑摩書房ちくま新書〉、p.98)
  7. ^ マージョリ・リーヴスは、書名を記録しているらしい部分に見られる Cataldi はカタルドゥスのことでなく、他の語の誤植に過ぎない可能性も示した(リーヴス (2006) p.494, n.27)。
  8. ^ 第81葉は誤って「第80葉」となっているため、以降で丁付けがすべて1つずつずれている。全88葉なのに第87葉で終わるのはそのためだが、出典である{{harv|Britnell & Stubbs (1986)に従い、数字の訂正は行わない。
  9. ^ 1345年、火星木星土星を形成した。この三重合は1348年になってペストが大流行してから、その原因と位置付けられたことで広く知られていた(ミノワ(2000), p. 276)。
  10. ^ フランスでは復活祭を境に新年と見なすことが行われていたので、「1514年1月」は現代式の「1515年1月」を示している。1564年のルシヨン王令で1月1日が元日と定められた(柴田三千雄 樺山紘一 福井憲彦 『フランス史2』 山川出版社、1996年、巻末年表)。
  11. ^ lucidaire は白水社の『仏和大辞典』などにも載っていない。しかし、ゴドフロワの古フランス語語彙集によると、「問題解決を目指す書物の題名」とされている (Frédéric Godefroy (1901), Léxique de L'Ancien Français, H.Welter, p.310)。
  12. ^ (Britnell & Stubbs (1986))では Fairfax Murray 389 と記載されている。
  13. ^ ダニエル・ルソ (Daniel Ruzo, 1900-1991) はノストラダムス関連書の世界的な蒐集家として知られていたが、没後に蔵書が行方不明となった(エルヴェ・ドレヴィヨン、ピエール・ラグランジュ 『ノストラダムス - 予言の真実』 創元社、2004年、pp.73, 93)。2007年にその一部がオークションにかけられ、そこに『ミラビリス・リベル』が含まれていた。その目録での書誌情報は、(Britnell & Stubbs (1986))のC2に一致している (SWANN (2007), Nostradamus / Early Printed Books, April 22, 2007, f.16v, no.99)。ただし、落札者は不明である。
  14. ^ (Britnell & Stubbs (1986))では Rothschild I, 209 と記載されている。
  15. ^ 「年々」の原文は an で、これを複数としている古版本はないが、ans の誤記であろうと推測されている (cf. Brind'Amour (1996) p.117, Lemesurier (2010) p.101, Bruno Petey-Girard (2003), Nostradamus - Prophéties, Flammarion, p.74 etc.)。
  16. ^ ここでいう「フランス語訳版」とは、元々フランス語だった第2部はそのままで、ラテン語で書かれていた第1部をフランス語訳したものである。
  17. ^ この研究の全文はこの外部サイトから入手可能である。ただし、2011年11月時点のバージョンは、解像度にいささか難がある。

出典

  1. ^ Britnell & Stubbs (1986) pp.126-127
  2. ^ Britnell & Stubbs (1986) p.130
  3. ^ マッギン (1998) p.125 etc.
  4. ^ ミノワ(2000), p. 209-212.
  5. ^ Reeves (1984) p.57, Britnell & Stubbs (1986) p.128
  6. ^ 池上俊一 (2004) 「天使教皇の面影を求めて」 『UP』 2004年7月号、東京大学出版会、pp.6-7
  7. ^ Britnell & Stubbs (1986) pp.146-147. なお、タイトルページに書かれた出典は章までだが、前掲論文に従って節まで補完した。
  8. ^ a b Britnell & Stubbs (1986) p.133
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  15. ^ マッギン (1998) p.120, 伊藤(2009), p. 4
  16. ^ Carozzi & Taviani-Carozzi (1999), p. 31-32.
  17. ^ 内容紹介に当たっては、主として(伊藤(2009), p. 7-12)の日本語訳を参照した。
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  22. ^ Carozzi & Taviani-Carozzi (1999), p. 24-25, マッギン (1998) pp.135-136
  23. ^ Carozzi & Taviani-Carozzi (1999), p. 25-26, マッギン (1998) pp.135-136
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  25. ^ マッギン (1998) pp.134-136
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  83. ^ a b c d 個別に断りのない情報は(Britnell & Stubbs (1986), p. 146-149) に基づいている。
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  97. ^ a b Britnell & Stubbs (1986), p. 137.
  98. ^ ミノワ(2000), p. 560.
  99. ^ この記事の編集で利用された文献の例では、Brind'Amour (1996), Lemesurier (2010), ミノワ(2000) などが、『ミラビリス・リベル』関連の参考文献としてこの論文を挙げている。
  100. ^ リーヴス (2006), Secret (1968)。リーヴスの原書は1969年。


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