ヌナブト準州とは? わかりやすく解説

ヌナブト準州

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/01 15:11 UTC 版)

ヌナブト準州
Nunavut
準州旗 (準州章)
モットー: イヌクティトゥット語: ᓄᓇᕗᑦ ᓴᙱᓂᕗᑦ
"Nunavut Sannginivut"

英語: Our land, our strength
フランス語: Notre terre, notre force
基本データ
準州の花  パープル・サクシフレイジ
Purple Saxifrage
準州の木 なし
準州の鳥 ライチョウ
準州都 イカルイト
最大の都市 イカルイト
準州の公用語 イヌイット語イヌクティトゥット語イヌイナクトゥン語英語フランス語
面積
 - 総計
 - 陸地
 - 水域(割合)
最高標高
(国内第1位)
2,038,722 km²
1,877,787 km²
160,935 km² (7.9%)
2,210 m
人口2021年
 - 総計
 - 人口密度
(国内第13位)
36,858
0.02 人/km²
GDP2011年
 - 州合計
 - 1人当たり
(国内第13位)
19億6400万[1]カナダドル
5万8452カナダドル
連邦政府加入
 - 順番
 - 加入年月日

13番目
1999年4月1日
時間帯 【準州東部】

東部標準時(EST、UTC-5
東部夏時間(EDT、UTC-4
夏時間を採用していないエリアもある。
【準州西部】
中部標準時(CST、UTC-6
中部夏時間(CDT、UTC-5
【準州北西部】
山岳部標準時(MST、UTC-7
山岳部夏時間(MDT、UTC-6

郵便コード
郵便番号
ISO 3166-2:CA
NU(一時的に:NT)
X
CA-NU
公式サイト https://www.gov.nu.ca/
行政
弁務官 エヴァ・アリアック英語版
準州首相 P・J・アキアゴク英語版(無所属)
カナダ議会
 -下院議席数
 -上院議席数

1
1

ヌナブト準州(ヌナブトじゅんしゅう、英語: Nunavut 英語発音: [ˈnuːnəˌvʊt], フランス語: Nunavutイヌクティトゥット語: ᓄᓇᕗᑦ [ˈnunavut])は、カナダ準州の一つ。1993年連邦政府イヌイットの間に締結されたヌナブト協定(en)に基づき、1999年4月1日にイヌイットの自治準州としてノースウェスト準州の一部を分割して設立された。ヌナブト(ヌナヴト)とはイヌクティトゥット語で「我々の土地」を意味する[2]

西はノースウェスト準州、南はマニトバ州と接している。北東ではデンマークグリーンランドと国境を接し、ハンス島にはデンマークとの陸上国境がある。カナダ北部にある北極諸島の大部分(バフィン島エルズミーア島デヴォン島など)を含む。ハドソン湾ジェームズ湾に浮かぶすべての島もヌナブト準州に属する。人口は3万6858人(2021年国勢調査)[3]。州都はバフィン島にあるイカルイト

母語話者(ヌナブト準州) 2006
イヌクティトゥット語
  
69.54%
英語
  
26.75%
フランス語
  
1.27%
イヌイナクトゥン語
  
1.02%
人種構成(ヌナブト準州) 2006
先住民
  
85.0%
白人
  
13.6%
黒人
  
0.3%
その他の有色人種
  
1.1%

歴史

現在ヌナブト準州のある地域には、4000年前から人類が居住していた。多くの歴史学者はノース人サーガに記述されているヘルランド英語版バフィン島は同一のものと考えており、従ってこの地の住民はノース人と交流があった可能性がある。1576年には、マーティン・フロビッシャー北西航路の探検中に、現在フロビッシャー湾として知られる地域にたどり着いた。これが、ヨーロッパ人とこの地が接触した最初の記録である。

1950年代の冷戦時代には、コーンウォリス島およびエルズミーア島への関心が高まった。その地政学的な重要性から、政府はケベック州北部のイヌイットをレゾリュートおよびグリスフィヨルドへ移住させた。1976年には連邦政府とイヌイット団体の間でノースウェスト準州の分割についての議論が始まり、1982年には住民投票が行われ、分割賛成が多数を占めた。1993年には関連法案が連邦議会で成立し、1999年正式にヌナブト準州が成立した。

地理

タンカリー・フィヨルド
シロクマ

主要都市

  • 州都イカルイト。人口約5,500人。
  • 国内線の発着する空港のある町:
    • アルヴィアット(旧名:エスキモー・ポイント)
    • ホエール・コーブ
    • ランキン・インレット
    • チェスターフィールド・インレット
    • ベーカー・レーク
    • グジョアヘブン
    • ペリー・ベイ
    • スペンス・ベイ
    • リパルス・ベイ
    • ホール・ビーチ
    • イグルーリク
    • レゾリュート
    • グリスフィヨルド
    • クライド
    • ポンド・インレット
    • パングナータング
    • ケカートゥク
    • コパーマイン
  • 軍事基地など:

人口動勢

アルヴィアットのイヌイット

2006年の調査によれば、イヌイットが総人口の83.6%を占め、以下ファースト・ネーションが0.34%、メティが0.44%、先住民族以外の人々が15.0%となっている[4]

政治

準州は州と違って国王の名代である副総督(Lieutenant-Governor)がおらず、その代わり同等の権威を持ち連邦政府から派遣される官僚である弁務官(Commissioner)がいる。一院制の議会は政党制ではなく、個人で選出される議員で構成される。

教育

イカルイトには幼稚園、小学校、中学校と高校を合わせて5校あり、他に2つの大学がある。 一つはヌナブト北極大学で、アルビアトに本部があり、イカルイト、ケンブリッジベイとランキンインレットにキャンパスがある。もう一つはアキツィラク法科大学英語版で、イカルイトにある。すべて公立大学であり、前者はコミュニティカレッジを兼ねている。

脚注

出典

  1. ^ Gross domestic product, expenditure-based, by province and territory (2011)”. Statistics Canada (2013年11月19日). 2013年9月26日閲覧。
  2. ^ Maxine Snowden『北極・南極探検の歴史 極限の世界を体感する19のアクティビティ』丸善出版、2016年、78頁。ISBN 978-4-621-30068-8 
  3. ^ Population and dwelling counts: Canada, provinces and territories”. カナダ統計局. 2024年5月13日閲覧。
  4. ^ Statistics Canada. “Aboriginal Population Profiles”. Census 2006. 2009年2月1日閲覧。

関連項目

外部リンク


ヌナブト準州

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 17:09 UTC 版)

イヌクティトゥット語」の記事における「ヌナブト準州」の解説

ヌナブト準州は、地理的にカナダ最大イヌイット生活圏である(グリーンランド居住適さないアイス・シールド地域除外)。大陸部加え大河あるいはハドソン海峡など海峡隔てられ島々、年の一部凍結する海洋地域含まれるため、居住者方言見られる大きな多様性は、驚くに値しない。 ヌナブト準州の基本法では、公用語は英語、フランス語イヌクティトゥット語イヌイナクトゥン語4つ定めている。しかし、イヌクティトゥット語イヌイナクトゥン語別の言語として規定しながら、州の方針はこの二つ明確に区別していない。Inuktitut という単語は、しばしば両方を表すものとして使われるイヌクティトゥット語話者人口分析は、ヌナブト準州において特に多数占め2万4,000人のイヌイット居住者がおり、彼らのほとんど、2001年統計によれば80%がイヌクティトゥット語話者である。この人数には3,500人の単一言語使用者を含む。同統計データによれば高齢者にくらべ若者イヌクティトゥット語使用率は低いが、カナダ全体で見るとイヌクティトゥット語話者の減少傾向停止しており、ヌナブト準州においては増加をみせている。 イヌイナクトゥン語 ヌナブト準州の キティクメオト地域地域西部と、ノースウエスト準州ホールマン話されている。イヌクティトゥット語特定の方言として特徴多く、最も特筆すべき伝統的なイヌクティトゥット語音節欠乏である。ヌナブト準州当局公用語一つとしているのに対し世間人々イヌクティトゥット語単なるローマ字表記考えている。しかしながらヌナブト準州の西部では、独得イヌイナクトゥン語ローマ字記法を使う。 ナツィリング語 ナツィリクと呼ばれキティクメオト地域東部一部に暮らす人々が使う。研究者によっては、Utkuhiksalingmiutut 方言(ナツィリ語 Natsilingmiutut の派生)とみる。これは現在ではキングウィリアム島のジョアヘブンで話されるが、過去フランクリン湖及び Chantrey Inlet 地域話されていた方言で、別ののであるKivallir語 キヴァリク地域からマニトバ州境までの地域話されるAivilim語 もとアイリク語 (Aivilik) と呼ばれ、キヴァリックのサウサンプトン島レパルスベイおよびキキクタールク地域メルヴィル半島にかけて話される。この地域には、もともとサドラ族の人々暮らしたが、19世紀後期から20世紀初頭の間に消滅しその後イヌイット移住した何人かの言語学者は、個別方言として分けるには North Baffinあまりにも近いと指摘している。 北バフィン方言 (Qikiqtaaluk uannangani) バフィン島北部一部、イグルーリク(英語版)、メルヴィル半島近く一部地域、ヌナブト準州北部のイヌイット・コミュニティー(レゾリュートグリスフィヨルドなど)の一部話されている。この方言は、映画 "Atanarjuat: the Fast Runner"(邦題:「氷海伝説」)で聞くことができる。 南バフィン方言 (Qikiqtaaluk nigiani ᕿᑭᖅᑖᓗᒃ ᓂᒋᐊᓂ) 準州都イカリウト (en) を含むバフィン島南部一帯で話す言葉である。近年イヌクティトゥット語放送媒体多くがこの都市本拠地を置くことから、この言葉各地で耳にすることが増えた言語学者にはバフィン方言南北加え「東バフィン方言」つまりイヌヴィアルク方言区別する説もある。 2000年代初頭ヌナブトでは幼児期から小学校中学校レベル教育徐々に母語教育実施し、イヌクティット語をさらに保護し普及させた。2012年現在[update]、「イカリウトに『プルルビク』というイヌクティトゥット語訓練センターを置き、指導者研修新規目標設定したイヌクティトゥット語各種教授法は、ヌナブトの各コミュニティ指導者にそれぞれ母語研修し地元戻って教育活用してもらう」としている。

※この「ヌナブト準州」の解説は、「イヌクティトゥット語」の解説の一部です。
「ヌナブト準州」を含む「イヌクティトゥット語」の記事については、「イヌクティトゥット語」の概要を参照ください。

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