ニューエイジ運動と精神世界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 05:18 UTC 版)
「スピリチュアリティ」の記事における「ニューエイジ運動と精神世界」の解説
「ニューエイジ」および「精神世界」を参照 元々spiritualityは、religiousness(信心深さによる敬虔な行為)などと同じ意味で使われていた。霊性、霊的といった、宗教性と重なり合いつつも異なる意味での使用は、ヘレナ・P・ブラヴァツキーらの神智学協会を源流として、1960年代に米国で始まった対抗文化の流れを汲むニューエイジ運動に起源があるとされる。 大阪大学教授川村邦光は、1960年代終わり頃から若者を中心にスピリチュアリティへの覚醒が大きな潮流となり、瞑想、密教、ヨガ、神秘主義、アメリカ経由の東洋宗教、超能力の開発、占星術や血液型占いなどの占い、心霊写真、超常現象などのオカルティズム、精神世界、1910年代からの霊学(霊術)ブームを継承したスピリチュアリズムなどが流行し、こうしたスピリチュアリズムについて「霊性、心霊世界、異次元の世界を志向する超近代スピリチュアリズム」とも述べている。ポール・ヒーラス は、ニューエイジに典型的に見られる文化的諸実践は、社会や文化に抑圧された本来の自己の聖性を取り戻す探求行為と捉え、「自己のスピリチュアリティ(self spirituality)」と名づけた。バーモント大学教授のエイドリアン・イバクヒブ(Adrian Ivakhiv)はニューエイジ・スピリチュアリティとも呼び、この運動の支持者には、ネオペイガニズムや神智学の信奉者、地球外生物(ET)との交信者、オカルティスト、自由主義キリスト教などが入り交じっており、オルタナティブ・スピリチュアリティ(代替霊性)のハイブリッド化や交雑育種がみられるとしている。この他、LSDなどの幻覚剤の使用を中心としたサイケデリック・スピリチュアリティという見方もある。 また、新しいスピリチュアリティが興隆していった1970年代には、医療過誤や医薬品問題が注目され、近代医療の限界を批判する声が民間で高まり、近代医療で迷信として否定されてきたユナニ医学やアーユルヴェーダや中国医学などの伝統医療法や代替医療、鍼灸・ヨーガ・指圧などの東洋的身体技法などが脚光を浴びていった。1970年代に米国で1980年代には日本でも、体・心・気・霊性の有機的統合や、自然治癒力による癒やしを重視したホリスティック(全的)な健康観を提唱するホリスティック医学の協会が設立された。 内面探求への欲求の広がりを受け、欧米ではおおむね1980年代以降に意識的・意図的にスピリチュアリティの用語は用いられるようになった。外来語として入ってきた日本では1990年代に「精神世界」への関心がブームとなり、スピリチュアリティという言葉も使われるようになった。精神世界とは、1970年代以降ブームとなったアメリカの対抗文化「ニューエイジ」における思想の多くの部分を含む日本のジャンルである。1980年の『別冊宝島16 精神世界マップ』ではエニアグラムの九分類に基づき、「精神療法」「悟りの心理学」「魂とからだの訓練療法」「幻視宇宙学」「環境のデザイン学」「神秘学ーアメリカ・ヨーロッパ編」「ニューエイジ・アカデミズム」「 伝統をつぐ賢者たち」「神秘学一アジア編」と章立てがなされ、現代日本のスピリチュアリテイにおいてもそのまま通用する内容であった。マンガやアニメでは北斗の拳、AKIRA、風の谷のナウシカなども若者のスピリチュアリティの覚醒に影響した。 こうして台頭してきた新しい宗教現象は、既存の組織的な宗教とは異なって非組織的であり、1990年代以降に既存の宗教と対置させる意味で、「スピリチュアリティ」という語を用いて研究する試みが多くなった。
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