ニューエイジにおける意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 00:46 UTC 版)
「チャネリング」の記事における「ニューエイジにおける意味」の解説
根本的なニューエイジ信条の多くは、まずチャネルされたメッセージとして定式化されており、チャネリングはニューエイジ宗教の生成において「決定的な重要性」を持っていた。ハーネフラーフは、ほとんどのニューエイジャーは、霊的権威の信頼できる唯一の源泉は「自分自身の内的自己」であるとみなすものの、ニューエイジ運動はかなりの程度において「啓示に基づく宗教」(Offenbarungsreligion)と性格づけることが可能であるとしている。宗教学者の島薗進は、「エンティティ」に対するチャネルの関係は受動的なものではなく、あくまで主体は「自分」にあり、「エンティティ」は手助けをするに留まると述べている。 チャネルで伝えられるメッセージは、①その人の過去や未来 ②宇宙観や人間観、歴史観などの真理に関する教説・啓示 ③チャネリングの実践自体が示す世界の構造(物理的現実だけでなく2つ以上のリアリティーがある、人の心はつながっており全体でひとつ)に分けられる。②の教説(啓示)の要点は、キリスト教の立場のエリオット・ミラーの要約によると、次の6つである。 あなたはあなたの神である / あなたはあなた自身のリアリティーを創造する。これが教説の中心である。神は遍在し、人は神の性格を分有するという汎神論的世界観。 あなたはあなた自身の救い主である。外部の救いの力は必要ない。自らを探求することで救いに近づく。(表象文化研究者の加藤有希子は、自分を知れば何かすごいことが起こるという期待があり、ソクラテスの「汝自身を知れ」の含蓄とは区別されるべきと述べている) 愛。まず自分を愛することが大事で、自分を愛せなければ他者を愛せないとされる。正邪を全く問わずすべて受け入れる「無条件の愛」も強調される。 死は存在しない。死は幻想である。死と呼ばれるものは、より高いレベルへの移行であり、おそらく生まれ変わって地上に戻る。 大いなる自己・上位自己と人生の目的。大いなる自己は人生全体の目的を知っており、それは過去生(前世)のカルマを返し、魂の向上・霊的レベルアップに必要な教訓を得ることだとされる。カルマという用語が使われるが、インド思想のカルマの概念は完全に「換骨奪胎」され、カルマの支配に代わって、自分で自分のリアリティを作ることが可能という楽観的な論調である。チャネリングを学ぶものは、大いなる自己と融合しチャネルできるようになることを目指す。 大いなる自己をサポートする指導霊(守護霊)の存在。指導霊は霊的レベルアップの歩みを助ける。指導霊と接触できれば、いつでも彼らの指示を得られるようになり、その指導でもっとはっきりしたチャネルも可能になる。島薗進は、指導霊は救済者というより、いつもそばにいて助けてくれる心強い友達のようなものと評している。 これ以外に、よく見られるものに「恐怖」に関する教えがあり、恐れは人を不幸にするため、一切の恐怖をやめれば自己の望みが実現するとされる。また、地球と人類の未来についての予言もあり、危機を告げるものもあるが、大体は楽観的で、危機は移行期の「浄化」の現れとされる。このように、チャネルされた思想はかなり一致があるため、信憑性があると考える人も多く、現代アメリカではある程度まとまりのある現象となっている。共通のパターンは、典拠となる文献や指導者養成システムで作られている訳ではなく、メディアを通して相互に真似し合い、修正し、学ぶことで形作られ、その時々の人気の「ソース」やチャネラーによって新しい路線が現れ、変容し続けている。チャネラーの数は80年代に急増し、1986年にロサンゼルス・タイムズは、10年前にはわずか2人だったプロのチャネラーの数は、数千人を超えているだろうと書いている。 帝京大学の進藤英樹は、ニューエイジ宗教の中心となる啓示の大部分は、チャネルになることを学んだのではない生来のチャネルによって作られており、こうした啓示の場合、チャネリングの過程は、たいてい霊媒の不意を襲うような形で、自然発生的に開始すると指摘している。そして、このようなチャネリングは、多く意図的なチャネリングに発展・移行するが、コントロールできないままのこともある。
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