ディスポーザ排水処理システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 15:57 UTC 版)
「ディスポーザー」の記事における「ディスポーザ排水処理システム」の解説
ディスポーザ排水処理システムとは「ディスポーザ」+「専用排水管」+「専用浄化槽」の3つの部位を組み合わせてのシステム製品として公益社団法人日本下水道協会から規格適合評価及びに製品認証を受けた製品で建物対象敷地内に設置設備されます。1998年、改訂前の建築基準法38条に基づく建設大臣認定が開始、その後の建築基準法の改正により認定制度が消滅した為に日本下水道協会が策定した「下水道のためのディスポーザ排水処理システム性能基準(案)」において第3者機関により性能評価試験を実施、現在は「下水道のためのディスポーザ排水処理システム性能基準(案)」を「平成25年3月版」で継承しました。試験機関は一般財団法人茨城県薬剤師会検査センターで行い、規格適合評価として日本下水道協会が審査する仕組みになります。「ディスポーザー」を組み込んだディスポーザ排水処理システムは3つの部位(ディスポーザー+専用配管+専用浄化槽)の組みせでひとつのシステム製品として成立させており、一般的なディスポーザー(通常はディスポーザーと呼称されますが一部の団体や自治体では単体ディスポーザーと呼称する)とは別物として区別されています。 「ディスポーザ排水処理システム」の法的な強制力はありません。「ディスポーザ排水処理システム」として使用する場合はガイドラインに沿った自治体への届け出や維持メンテナンスが原則として必要になります。 課題 ディスポーザ排水処理システム(以下、排システム)は専用処理槽を建物敷地内に埋設しなければならない為に事実上、新築時の設置が前提となります。既築住宅への設置は専用処理槽の埋設場所の確保、埋設に関連する高額なコストの諸問題が事実上、障壁になっています。 排システムには定期メンテナンスが必要でガイドライン通りに専用処理槽の汚泥を引抜き、水質の検査結果を自治体へ提出した場合、年間で20~40万円前後(戸建ての場合)の排システム維持費用が発生し集合住宅の場合は専用処理槽を多くの世帯で管理する為に世帯当たりの負担が軽減される傾向にあります。単体ディスポーザーの場合は維持費用が電気代程度の為、この費用の較差から単体ディスポーザーの方が消費者より選ばれる主要因になっています。排システムとしてディスポーザーが標準装備されている集合住宅ではマンション積立費用による修繕費から排システムの専用処理槽などの共有維持管理費用を捻出されている場合が多く、実際はどれほどの費用負担になっているのか居住者は承知していないケースがほとんどになります。 通常、単体ディスポーザーからの放流排水は水洗トイレからの排水との組み合わせにより下水道を経て汚水処理施設等で問題なく処理されることが分かっています。これに対し排システムの場合はディスポーザー部位で砕いた生ごみを専用処理槽において汚水を処理、この専用処理槽に溜められた汚泥の廃棄物取扱を厚生省では一般廃棄物として扱うように見解をだしています(一部の自治体では産業廃棄物として取扱)。この中で最も排システムが分譲マンションに普及している都市が東京になります。液状廃棄物となった排システムの汚泥は90%以上が水分でありながら、その多くが清掃局の焼却炉で焼却することになります。これは排システム利用者から出た汚泥という「水分」を都税を投じて燃やしていることになります。また一部の排システムの汚泥は下水道に再投下されるケースもあります。これは単体ディスポーザー+下水道との組みあわせでの汚水処理のプロセスを汚泥吸引車(バキュームカー)で迂回させながら単体ディスポーザーと同じ最終地点まで運搬、処理がされます。これでは何のために一旦、排システムの専用処理槽に汚泥をため込んで汚泥吸引車を使用して汚水処理施設まで運搬する必要があるのか不明で、非合理的で行政コストや環境に対しても意味をなさない排システムを推奨する事により単体ディスポーザーを排除しようとする東京都の姿勢が見えます。これは単体ディスポーザーが普及する事による都民の社会的メリット(衛生、害虫獣、高齢化対策、都政コスト削減)よりも従来通り、人を介し車両によりごみを回収することによる予算の獲得・維持を目的としたもので、何よりも役人組織としての東京都の立場からは権限や予算を自ら減じる事になる議論は認められず都民より行政組織を優先する組織浄化作用の無い負の一面が伺える事案になります。 また別の問題として2017年、ディスポーザー専用浄化槽の排気口から出る悪臭が原因で部屋に住み続けられないとして、部屋を購入したばかりの居住者が売り主の不動産会社に対して損害賠償を求める訴訟を起こした。現在国内ではディスポーザー専用浄化槽及びその排気口については設置基準が定められていない。 「悪臭で住めない」提訴、バルコニーの上にディスポーザー排気口 5200万円で購入の男性 大阪地裁」2017.3.16付 産経新聞より
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