ディスポーザー付マンションでの本体交換の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 15:57 UTC 版)
「ディスポーザー」の記事における「ディスポーザー付マンションでの本体交換の問題」の解説
本来マンション契約者の専有部に該当する居室内(キッチン)に設置されたディスポーザーは、居住者の責任で撤去・交換購入ができる範囲である。その一方で契約者による選択において次の問題が起きている。 故障した機種を撤去し、通常の排水に戻すことを禁止しているケース マンション入居時の規約・約款でディスポーザーの撤去を認めていない場合がある。故障した場合のディスポーザー交換費用は居住者の負担である一方、その費用が高額ゆえに直ちに対処することができない。ディスポーザーはその構造上、故障したまま放置するとやがて排水不良を起こすので、やむなく高額な交換費用を負担せざるを得ない。 ディスポーザーの撤去を認めない理由として「配管や処理槽に影響が出る」といった説明をされることがあるが、この根拠は無い。マンション標準に導入されているディスポーザー排水処理システムは「ディスポーザー排水」と「台所排水」の両方を処理できるように設計・製造されている。ディスポーザー排水がなくなったところで、配管・排水処理システム共に支障は無い。 またマンションの資産価値を理由している場合には、宅地建物取引業法によって義務付けられている「重要事項説明」に該当している可能性が高い。ディスポーザー装備の有無がマンションの契約に影響するためである。マンション販売事業者がディスポーザーの標準装備を利益として告げている場合は、その逆の不利益事実(故障時に発生する高額な居住者負担等)も告げる必要がある。不利益事実の不告知(消費者契約法第4条2項)に該当する場合は契約の解除が可能になる。 <参考資料> 下水道のためのディスポーザ排水処理システム基準(案)平成25年3月 ディスポーザーシステムの使用実態と使用者の評価 消費者契約法第4条 交換する機器のメーカーや仕様が指定されているケース 専有部に設置されているディスポーザーは居住者の財産として様々なメーカーや価格帯の中から選択することができる。これに反しメーカーやマンション管理会社の説明情報により機器が特定されている場合がある。 説明例「接続されている配管や処理槽へ影響から、○社の機種しか設置ができない。」 市販されている家庭用ディスポーザーはその構造上、いずれの機種も生ごみを数ミリに粉砕する。メーカーを変えることによって配管や処理槽に影響を与えることはない。同じ排水管を利用する他の台所機器(食洗機やフードプロセッサー等)にはメーカー及び仕様の指定はない。ディスポーザーだけメーカーを指定させる根拠とはいえない。 説明例「自動給水式のディスポーザーでなければ認めない」 自動給水式のディスポーザーは一般のディスポーザーに比べ高額である。自動給水式はディスポーザーの使用方法を知らない居住者の為の措置である。機種交換する居住者はメーカーを通じて使用方法を知る機会があり、自動給水式を購入する必要はない。また「マンションの配管構造が自動給水式に合わせてある」といった説明も日本の下水道法に照らし合わせた場合に矛盾が生じる。 説明例「マンションの規約で〇社の機種と決めている」 独占禁止法第3条前段で禁止されている排除型私的独占(マンション管理側が事業者と共同し、競争相手の排除や新規参入者を妨害する行為)に該当する可能性がある。ディスポーザーはどのメーカーの機種にも交換が可能である。それによる共同配管や浄化槽への影響なども確認されていない。 これらの問題はディスポーザーについての情報が限定されていることから起きている。不実告知(事実と違うことを告げての販売)に該当する可能性もある。前述通りマンション契約者の専有部である居室内に設置されたディスポーザーは、居住者の責任で撤去・交換購入ができる範囲といえる。 <参考資料> 国土交通省「マンション標準管理規約別表第2(共用部の範囲) 公正取引委員会「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律ガイドブック 横浜市排水設備要覧 独占禁止法の関わり http://www.jftc.go.jp/ippan/part2/act_01.html
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