テック右派
(テクノ・ファシズム から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/05 03:07 UTC 版)
テック右派[1][2](テックうは)とは、自由市場主義と技術革新を支持しながら、権威主義的な体制を支持する、もしくは反リベラル的な態度を取る政治的潮流である[3]。テックライト[4]、テクノ・ファシズム[5]とも呼ばれる。
内容
カーティス・ヤーヴィンの民主主義を否定する「暗黒啓蒙」と呼ばれる国家論が源流であり、2020年代ごろからテクノロジー界の有力者に浸透し始めた[6]。特に米国の右派は伝統的に自由主義・小さな政府を嗜好する傾向にあり、これがテック系と右派との結びつきを強めているとされる。
イーロン・マスクのようにMAGAと親和的なテック右派もいれば、ナショナリズム・ポピュリズムの傾向が強いスティーヴン・バノンなど「MAGA右派」とは対立するテック右派も存在する[5]。
ヤーヴィンは『日本経済新聞』のインタビューで、現代社会は、官僚機構による「ディープステート(闇の政府)」と、学術界とジャーナリズムの「カテドラル(大聖堂)」による支配体制が敷かれ、少数のエリートでルールをつくってきた寡頭政治であると答えている[6]。
また、かつてリベラルだった人物が反転してテック右派へと転向する例も珍しくなく、有名な例ではイーロン・マスクや[7]、バイデン政権を「検閲」「ディープステート」と批判し、政治観を反転させたマーク・ザッカーバーグや、トランプ政権を「世界に平和をもたらしてくれる」「偉大なリーダー」と絶賛し、DEIプログラムを廃止した孫正義などがいる[8][9]。
政治学者である井上弘貴によると、テック右派には2つの型があるとされる[10]。
- 自由主義型
- 権威主義型
関連項目
脚注
注釈
出典
- ^ 高野, 遼 (2025年8月11日). “「トランプ主義」に走る亀裂 テック右派参入はいかに不和を招いたか”. 朝日新聞. 朝日新聞社. 2025年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
- ^ 上村, 剛 (2025年6月26日). “アメリカを席巻する「進歩を掲げる右派」から何を学ぶか”. 新潮社 Foresight(フォーサイト). 新潮社. 2025年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
- ^ 「「トランプ連合」危うい関係 マスク氏ら「テック右派」とコア支持層」『朝日新聞』2025年1月18日。2025年4月12日閲覧。
- ^ “トランプ政権で台頭「テックライトの教祖」が語る“野望”とは”. NHKニュース. NHK (2025年8月9日). 2025年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
- ^ a b c d Chayka, Kyle (2025年4月6日). “日本で生まれたテクノ・ファシズムが米国にやってきた”. WIRED.jp. Condé Nast Japan. 2025年4月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月12日閲覧。
- ^ a b c 「「米国はやがて君主制に」 テック右派の教祖ヤービン氏」『日本経済新聞』2025年3月1日。2025年4月12日閲覧。
- ^ “左派から右派へ、イーロン・マスクの政治思想20年の歴史”. Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン). 2025年4月12日閲覧。
- ^ 「メタCEO バイデン政権を批判「コロナ情報を検閲するよう圧力」」『NHKニュース』日本放送協会、2024年8月28日。2025年4月12日閲覧。
- ^ 「蜜月演出のトランプ氏と孫正義氏 本当に15兆円投資? 懐疑的な目も」『毎日新聞』。2025年5月10日閲覧。
- ^ De-Silo (2025年4月5日). “【販売期間残りわずか/アーカイブあり】Academic Insights「アメリカン・ダイナミズムの精神史」──政治学/哲学/宗教学/思想史から、激動するアメリカの「深層」を読み解くレクチャーシリーズ(全7回)”. De-Silo. 2025年4月12日閲覧。
- ^ 奥原慎平「「保守比べが分断生む。包摂的に」自民・萩生田光一氏、排他的な「SNS保守」を疑問視」『産経新聞』2025年1月9日。2025年1月9日閲覧。
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